日本人内野手の米移籍は2012年オフが最後 メジャーで待ち受ける壁とは

2018-12-22 20:52 「Full-Count」編集部
広島・菊池涼介※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

広島・菊池涼介※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

広島菊池が来オフのメジャー挑戦の意思を表明、日本人内野手が苦しんできたものとは…

 21日に広島市内の球団事務所で契約更改交渉を行った広島の菊池涼介内野手。球団へ来オフにポスティングシステム(入札制度)による米大リーグ挑戦の意思を球団に伝えた。

 これまで日本人内野手としてメジャー挑戦した選手は8人いるが、2012年オフに渡米した中島宏之(埼玉西武からFAでアスレチックス)、田中賢介(北海道日本ハムからFAでジャイアンツ)が最後。19年オフに菊池がメジャー挑戦を目指せば7年ぶりとなる。日本人内野手の活躍は難しいとの見方が占める中、日本球界を代表する二塁手の菊池に何が必要なのかを探った。

 まず菊池が求められるのは安定した守備だろう。野球日本代表「侍ジャパン」の一員として参戦した17年のWBC。2次ラウンドのオランダ戦ではボガーツの二遊間の強烈な打球をダイビングキャッチし、素早く二塁へグラブトスするスーパープレーを見せ、大リーグ公式サイトからも「世界クラスの守備」と称賛された。滑りやすいと言われるメジャー球も国際経験豊富な菊池なら即アジャストできるはず。ただ、問題は激しいボディコンタクトだ。

 二遊間は接触プレーの多いポジション。大リーグでは、16年シーズンから併殺阻止を目的とした危険なスライディングを禁止するルールが導入されているが、同年5月にはブルージェイズのバティスタがレンジャーズ戦で二塁手のオドルの足を削るようにスライディング。4人の退場者が出る大乱闘に発展にしている。

 メジャーを代表する強打者のマチャド(ドジャースからFA)はオリオールズ時代の17年4月にペドロイア(レッドソックス)の左膝を負傷させ、ドジャースの一員として参戦した今年のブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズ第3戦でも併殺崩しのスライディングを見せた。守備妨害が取られるとはいえ、危険なスライディングが“完全撲滅”となってないのが実情だ。また、日本では確実に守備妨害を取られるような激しいスライディングでも、メジャーでは問題なしと判定されるケースが多い。日米でその基準は大きく違う。

 これまで日本人内野手では05年にメッツの松井稼頭央が左膝打撲、09年にはレイズの岩村明憲が左ヒザ前十字靱帯断裂を負い、11年にはツインズの西岡剛が左足腓骨を骨折している。これらのプレーは現在のルールでは守備妨害と判定される可能性が高いが、日本よりも激しいスライディングを受けることになるのは間違いない。抜群の身体能力を生かした驚異的な守備力が自慢の菊池が、このメジャーの洗礼を乗り越えられるかが成功の鍵を握っている。

160キロ越えの剛速球は当たり前…今季はエンゼルス大谷も苦戦

 打撃の壁は何と言っても相手投手の剛速球だろう。今季打率.233だった打撃の改善は確実に必要だが、現在のメジャーでは100マイル(約161キロ)を超える剛速球は決して珍しくない。オープン戦で打率.125と苦しんでいたエンゼルスの大谷翔平は、シーズン開幕直前に右足を上げていた打撃フォームをすり足に改良。「ボールが速いのが一番。平均したら数マイルの差だが、打席ではかなり違う」と明かしていた。大きく左足をあげてタイミングを取る菊池は大谷と同じように打撃フォームの変更を求められるかもしれない。

 さらに、カットボール、ツーシームのような動く球への対応も不可欠だ。菊池は今季まで3年連続2桁本塁打を記録し、国際大会でも17年WBC準決勝、米国戦で右越え本塁打を放つなどパンチ力を秘める。さらに、バント、エンドランなど小技も使える。フライボール革命が全盛のメジャーで、その魅力をどうアピールするかがレギュラー奪取の鍵を握る。

 今季、メジャーの二塁手で規定打席に到達した20人。その内訳は20代が目立ち、30代はマリナーズの30歳ゴードン、アスレチックスからFAとなっている34歳ラウリー、フィリーズからFAとなっている33歳カブレラ、パドレスの36歳キンズラー(今季はエンゼルス、レッドソックスでプレー)、ブルージェイズからFAとなった31歳ソラーテの5人だけ。若くしてメジャーの経験を積んできた選手が多い。早くても30歳の“オールドルーキー”となる菊池には、早くから定位置獲りへのアピールが求められる。

 2年連続でセ・リーグMVPに輝いた丸佳浩がFAで巨人へ移り、「お兄ちゃん」と慕ったベテラン新井貴浩も現役引退。菊池には来季主軸としての役割が求められる。菊池はその中でどのような進化を見せ、メジャーへアピールするのか。まずは来季の大活躍を期待したい。

(Full-Count編集部)