オールスターは「野球の価値」を高める絶好のチャンス

2016-07-02 00:00 「パ・リーグ インサイト」新川諒

日本のプロ野球は、オールスター開催を7月15日(福岡)・16日(横浜)に控えている。7月4日の監督選抜選手の発表を残しているが、すでにファン投票と選手間投票での選出選手が発表され、首位の福岡ソフトバンクからは12球団トップの得票数となった柳田悠岐選手など、計5選手が選出。独走中の勢いを見せつける形となった。

一方、メジャーリーグは7月13日に試合を開催予定だ。メジャーのオールスターの試合は平日の夜開催となるが、ファンフェスタなどの催しは週末から開催されている。さまざまなイベントで彩られた開催地は大いなる盛り上がりを見せる。「ファンフェスタ」には開催地の球団(今年の場合はサンディエゴ・パドレス)を中心に、球団の歴史を築いてきた往年のレジェンドを中心に子供たちへのクリニックやサイン会などを開催する。

今回の顔ぶれで言うと、7度オールスターに選出され、通算601セーブを記録したトレバー・ホフマン氏やオールスターに12度選出され、背番号「31」がパドレスの永久欠番となり、野球殿堂入りしているデーブ・ウィンフィールド選手など、豪華な元パドレスの面々が名を連ねる。

ファンフェスタだけでなく、野球ファン以外でも楽しむことができるスポンサー企業主催の音楽祭などもオールスター期間中は開催される。野球を見て楽しむオールスターだけでなく、この期間中は健康促進を考える「オールスター・フィットネスウィークエンド」 週間と掲げていて、今年はオールスター期間中初となる、MLB主催のヨガイベントも開催予定だ。さらにサンディエゴの中心部では色とりどりのカラーパウダーを浴びながら5kmのコースを走るカラーランも開催される。「地球上で最もハッピーな5km」をモチーフとするイベントには、各球団のマスコットやレジェンドたちも参加する予定だ。このカラーランは2009年のセントルイスのオールスター期間中の開催に始まり、今回で7度目を迎えることとなる。

オールスター期間中、MLBはスポンサー企業と力を合わせ、さまざまな取り組みを行う。「プレーボール・パーク」と題したイベントで子供たちに野球やソフトボールに触れる機会を作る。米国野球連盟、そしてソフトボール連盟などと共同で、子供たちへの野球教室などさまざまな催しを行う。近年野球人口の減少が懸念されているため、野球に注目が集まるこの期間に普及活動へも力を入れる。

メジャーリーグのオールスターはただの野球界のお祭りではなく、全米、そして世界が注目する一大イベントとなる。これは開催地にとっても街の魅力を世界に発信する機会であり、野球にとっても競技以外の価値を提供する絶大なる場になっている。

一方、日本のオールスターでも、次世代の野球ファンを取り込む催しは企画されている。そのうちの1つがドリームキッズチャレンジだ。応募者の中から選出された子供たちがグラウンド上でホームランダービーの捕球を経験できたり、オールスター出場選手のノック捕球を体験したりすることができる。

さらには第2戦の横浜スタジアムで開催されるのは、「キャッチボールクラシック」だ。小学校でのキャッチボール普及の観点から始められた取り組みで、今回の開催で4度目を迎える。キャッチボールの要素を競技化し、オールスター試合前のエキシビションとして開催される。子供たちにいろいろな形で野球に触れてもらう場を提供している。

日米ともに、オールスターのイベントを活用して次世代への野球普及を一つのテーマとして掲げていることが期間中の催しを見ても理解することができるだろう。

さらにプロ野球では、第1戦のヤフオクドーム、そして第2戦の横浜スタジアムには東日本大震災以降継続している復興支援招待を今回も実施する。被災地より福岡県、神奈川県に避難されている方々500人ずつを招待する。毎年開催地恒例な復興支援の形となっているが、これも一つ、野球の新たな価値の提供となっている。

ファンや関係者が選ぶ最高の選手たちが一度に見られる「夢の球宴」ではあるが、野球をテーマに開催されるグラウンド外のイベントに目を向けてみるのも面白い。野球普及活動、そして健康促進と改めて「スポーツの価値」を考えさせられるものも多い。

今年は横浜ではプロ野球界初となるオールスター体験型イベントも開催する。さまざまな事象と、スポーツとの融合。オールスター期間中ならではのさまざまな取り組みも今後増えていくだろう。