楽天・来季に向けて

2017-11-12 00:00 「パ・リーグ インサイト」編集部

昨年のオフに岸投手とハーマン投手を獲得し、ドラフトでは即戦力投手を中心に指名するなど、明確な課題意識を持って今季に臨んだ楽天。打線に外国人選手を3人並べ、「1番・茂木選手、2番・ペゲーロ選手」という斬新な戦略も当たり、圧倒的な強さで前半戦を首位で折り返した。後半戦は主力の故障離脱が相次ぎ、10連敗を経験するなど苦しんだものの、最終的には4年ぶりのAクラスとなる3位でシーズンを終えている。

クライマックスシリーズファーストステージでは、2位・埼玉西武を下してファイナルステージに進出。リーグ王者・福岡ソフトバンクの前に敗れたが、チームの成績を大きく伸ばしつつ多くの経験値を得たシーズンだったことは間違いない。ここでは、2013年以来のパ・リーグ制覇も大いに期待できる来季、さらなる活躍が期待される選手たちを紹介していく。

楽天の期待の選手と言えば、茂木選手を外すことはできないだろう。ルーキーイヤーの昨季から正遊撃手を務め、チーム最高打率を叩き出し、もはや若手ではなく主力としての重責を担った今季。先頭打者本塁打に象徴される「長打を備える1番」として起用されると、5月には球団生え抜き史上初の2桁本塁打に到達する。

後半戦は右肘痛に悩まされ、欠場や指名打者としての出場が続いたものの、クライマックスシリーズでは1番・遊撃手として全試合に出場。遊撃守備でファインプレーを見せ、史上初となるファーストステージ、ファイナルステージでともに初回先頭打者本塁打を記録するなど、自身初の大舞台で躍動した。

最終的にはリーグ3位の打率.296をマーク。球界屈指の俊足、成長著しい守備、初球からフルスイングして確実に失投を仕留める打撃技術に加え、生真面目な練習態度でもチームメイトの信頼を得ている23歳。その小柄な身体が秘める可能性は無限大だ。右肘のクリーニング手術を受け、万全の状態で挑む来季はどのような活躍を見せてくれるだろうか。

また、今季のチーム盗塁数がリーグ5位の42個と、機動力に課題が残る楽天。打線は俊足巧打の選手を多く擁しているが、長打力や得点力の面では外国人選手に頼っている部分が大きいことは否めない。長打以外の方法で好投手から得点をもぎ取るためには、走塁技術に長けた選手が必要だ。今は荒削りでも、俊足を備える若手の将来に期待がかけられている。

立教大学出身のドラフト3位ルーキー・田中選手は、俊足と強肩を誇るスイッチヒッター。5月半ばに一軍に昇格すると、同20日の千葉ロッテ戦でスタメン起用され、延長12回表にプロ初本塁打にして決勝2ランとなる一発をかっ飛ばす。その後も一軍で代走、守備固めとして試合に出場。打率は1割台に終わったが、チームトップタイの7盗塁をマークした。

俊足と言えば、大器の片鱗を見せ付けているオコエ選手も挙げられる。2年目の今季は怪我の影響で出遅れたものの、8月に一軍登録されて以降はレギュラーの座をつかむ。前年1割台と苦しんだ打撃も今年は3割をマークするなど、飛躍のシーズンとなった。

大きな期待を背負って、今季一軍で経験を積んだ両選手。オフにレベルアップを遂げ、来季は楽天の「機動力」の核としての活躍を見せてほしい。

ここ数年、エース・則本投手の孤軍奮闘が取り沙汰され、中継ぎ陣の層の薄さに悩まされてきた楽天だったが、今季のチーム防御率はリーグ2位の3.33だった。昨季がリーグ5位の4.11だったことを考えれば、投手中心の補強が功を奏したと言える。頂きを目指す来季は、今季確かなポテンシャルを見せ付けた2人の新人投手に、期待しないわけにはいかない。

まずは46試合に登板して防御率1.03という素晴らしい成績を残し、勝ちパターンの一角を担った高梨投手。開幕一軍に抜擢された今季の序盤は制球に苦しみ、一時二軍調整を余儀なくされるが、6月に一軍へ復帰すると、変則フォームから繰り出されるスライダーを武器に圧巻の17試合連続無失点。ルーキーらしからぬマウンド度胸と非の打ち所がない安定感を保ち続け、クライマックスシリーズでも7試合に登板して防御率0.00を記録した。

ドラフト1位で指名された高卒ルーキー・藤平投手は、将来のエース候補として存在感を発揮した。開幕は二軍で迎えるものの、6月に今季の高卒ルーキーの中で最速の一軍デビューを飾る。8月22日の千葉ロッテ戦で5回を無失点に抑えプロ初勝利。最終的には8試合に先発し、3勝4敗、防御率2.28の好成績を収めた。

残した数字は高卒ルーキーとしては申し分のないものだったが、チームの大型連敗を2度止め、ハキハキと質問に答えるヒーローインタビューでもファンの心をつかんだ藤平投手。将来のエース候補が来季、どのような進化を遂げるか。ドラフト1位への期待は大きい。

則本投手、岸投手、美馬投手の3本柱に加え、藤平投手、安樂投手、左腕の塩見投手、辛島投手と、楽天の先発の駒は揃いつつある。「勝利の方程式」の一角を担った森原投手、ハーマン投手、高梨投手が中継ぎの層を厚くし、菅原投手、宋投手、青山投手、福山投手、松井裕投手を擁するブルペンは、改めて見ても充実の陣容だ。打線には、プロ野球史上初の外国人選手20本トリオが誕生。上に挙げた若手の台頭が目立つ中、銀次選手や藤田選手などのベテランもしっかりと存在感を示している。

今季、大方の下馬評を覆し、4年ぶりのAクラス入りを果たした楽天。そこには確実な戦力強化に努めてきたという背景がある。シーズンでは長期間に渡って首位に座り、リーグ優勝を射程圏内に収めていただけに、夏場からの失速には悔しさが残っていることだろう。2013年以来の栄冠を貪欲に追い求める来季の楽天に、期待せずにはいられない。