【石垣島キャンプ日記】指揮官の「初心を思い起こさせてくれる場所」 今年も子どもたちに誓った健闘

2019-02-06 09:00 「パ・リーグ インサイト」マリーンズ球団広報 梶原紀章
写真提供:千葉ロッテマリーンズ

写真提供:千葉ロッテマリーンズ

「みんな大きくなったかな」

 井口資仁監督は、練習が終わるといつもより少し早めに帰りの車に乗り込んだ。この日は前から決めていた予定が入っていた。石垣市内の児童養護施設の訪問だ。

「毎年、訪問するのを楽しみにしている。子供たちが成長していくのを見ることができる。コアラのマーチとかロッテのお菓子がもらえるから喜んでくれているのではないかな」

 グラウンドでは厳しい目で選手たちの動きを見つめる指揮官の表情が久しぶりに和らいだ。その柔和な表情こそ本来の顔。この時ばかりはマリーンズの大将という肩書きを置いて、子供たちと笑顔で接した。

 同施設の訪問は千葉ロッテマリーンズに入団した2009年から毎年行い今回で11年目となる。チーム宿舎の近くに児童養護施設があると聞き「それならばぜひ訪問したい」という強い希望で実現し、監督となった今も続く。この日を待ちわびた子供たちからは歓声が上がる。施設内には「いつも夢をありがとう」という手作りの、のぼり旗も設置されていた。

 今回は毎年、一緒に訪問をしている地元石垣島出身の大嶺祐太投手のほか、初訪問となる荻野貴司外野手、藤岡裕大内野手、岩下大輝投手、種市篤暉投手を誘った。

「こういう活動も含めて若い選手たちには教えていきたい。いいキッカケになればと思った」と井口監督はその意図を話した。

 キャッチボールに質問コーナー、サイン会に写真撮影、そしてコアラのマーチにトッポなどのロッテのお菓子をプレゼントし、手作りの首飾りをもらった。気づけば楽しい時間はあっという間に過ぎていた。
 
「子供たちも非常に頑張っていますし、僕らも勇気と希望をなんとか与えたいと思っている。いつも子供たちがボクたちの姿を見てくれていると思ってシーズンを戦っていきたい。どんな場面でも諦めずに戦い、勇気や希望を与える存在になりたい」

 就任1年目だった昨年はキャンプイン前日の1月31日に訪問。子供たちに健闘を誓った。そして今年、またこの場所を訪れ子供たちに勝利をプレゼントしたいという想いをもう一度、新たにした。ここは大事な初心を思い起こさせてくれる場所にもなっている。

受け継がれていく“ゴールデンスピリット”

 井口監督は昨年、そんな社会貢献活動を評価され「第20回ゴールデンスピリット賞」を受賞。アマ時代から開始し、20年以上にわたる活動の継続性と多岐性が評価された。

「生きている間はずっと活動をしていきたい。ずっと継続してやっていくことも大事。そういうことを若い選手に伝えることも大事。たとえ自分がマリーンズからいなくなっても、この交流を続けてほしい」

 訪問後にマスコミに囲まれた指揮官は想いを熱く口にした。誘われた選手たちは率先して社会貢献活動を行う指揮官の背中にきっと想うことがあったはずだ。

 6日は休日。7日からは第2クールが始まる。ここでもシート打撃など実戦を繰り返し、実戦感覚を養っていく。応援をしてくれる子供たちに勇気や希望を与えられる存在になるためには、練習の中で確かな手ごたえを掴んでいくしかない。来年こそは最高の報告をしたいと願う。雨のち曇り、22度。南の島にしては少し肌寒い一日。指揮官のぬくもりはきっと子供たちに届いたであろう。