熱き“パ・リーグ魂”を胸に、日々是育成。田口壮二軍監督兼打撃コーチインタビュー(前編)

2017-11-29 00:00 「パ・リーグ インサイト」藤原彬

今季からオリックスの二軍が拠点を移した舞洲サブ球場を主戦場に、就任2年目の田口二軍監督兼打撃コーチがチームを率いている。新シーズンを前に出版された自著の中で、田口監督は一軍に上がる選手は「目」が違うと説き、試合に臨む際の「集中力」の重要性を強調した。それらの要素は、他ならぬ指揮官自身の姿に最も説得力があるものだ。

9月上旬、新しい本拠地の打撃ケージ後ろから、田口監督はグラウンドに視線を注いでいた。暑さの厳しいデーゲーム前だったが、微動だにせず、その表情は変わることがない。汗を流す選手たちを凝視する様子には、現役時代にNPBで12年、MLBで8年を戦い抜いた百戦錬磨のキャリアが滲み出ていた。そこで培ったものを、田口監督は指導者として、いかに還元しようと考えているのだろうか。日頃から身を置くファームと、自らを育んだパ・リーグの魅力とともに語ってもらった。

本拠地移転によるメリットと選手指導のメソッド

-舞洲への本拠地移転は春先から話題を集めましたが、そのことで変化はありましたか。

(田口監督)僕自身はそんなに変わっていないですね。

-練習設備などがとても充実しました。

(田口監督)それはありますね。ロッカー、室内練習場、グラウンドが近くなりました。施設もトレーニング器機も良くなっているし、室内練習場も広くなったので、その点では凄く便利になりましたね。効率良く練習できるようにはなったと思います。

-選手からそのような声は上がっていますか。

(田口監督)選手とは、あまりそういう話はしないですよ。ただ、当たり前のように彼らは施設を使用していますが、便利さというのは感じていると思いますね。

-今季はチーム防御率が1点以上も良くなっていますが、本拠地球場が広くなった影響もあったのでしょうか。

(田口監督)本拠地球場が変わったから防御率が良くなるかといえば、そうではないと思います。おそらく、ひとつの要因として考えられるのは競争が激しくなったこと。チームに投手が41人もいて、一軍と二軍のベンチ枠を皆で競争して取り合うわけですから。去年はそんなことはありませんでした。若干名は試しで入る選手もいますけど、二軍でも勝負できる選手がベンチに入っていく。あとは徹底的に勝負ができるように、去年のオフシーズンから「真ん中でいいからしっかりストライクを取れ」という指示を出してやってきました。秋のキャンプではとにかく真ん中だけで、春のキャンプは真ん中からボール1個分ぐらいずらすように。「コースは絶対狙うな」ということをやってきたので、その結果として四球の数が減っています。

-現役時代に走攻守で活躍した田口監督は、どの分野での指導が多いのでしょうか。

(田口監督)どれぐらいタッチしているかな。ちょっとですよ。基本的には全部、担当コーチに任せるようにしています。その中で一応、打撃コーチの肩書がついているので、バッティングだけはまあまあ言いますけど。ただ、僕も打率3割を打っていたバッターではありません。それを考えると、3割を打たなくてもこの世界で20年ぐらいは生きられる術というのは色々あるので。

-技術面に加えて、自身の経験も伝える機会があるのではないですか。

(田口監督)経験を伝えるということはなかなか…。聞かれないと言えないですよね。あまり自分から「俺こうだったから」というのは嫌じゃないですか。昔の話を引っ張り出してくるみたいで。時代が違うし、僕がやっていたのは過去の話だし。聞かれたら「こんなことがあったよ」という話はできますけどね。

-様々な課題を挙げていた就任1年目の昨季を踏まえて、今季はどのようなことを意識して臨まれましたか。

(田口監督)基本的に「いろんなことをやりたいし、やってもらいたい」。ただ、すべてを詰めようとすると、迷ってできなくなるというのが二軍の選手の現状。そうならないように、なるべくシンプルにと思っています。ピッチャーにしてもそうだし、野手にしてもすべてシンプルに。常に言っているのは「ピッチャーはストライクを投げて勝負してください」、「バッターは形をしっかり作って思いっきり打ってください」という単純なことですね。それにちょっと枝葉がついてくるぐらいで、基本的なことばかりやっています。

-監督2年目は試合中に感情を表に出さないようにしたいとも語っていました。

(田口監督)そうですね。今、ようやく出さなくてよくなりつつあるかなと思っています。去年はベンチが静かだったり、ピッチャーも意図が見えなかったりしたので、結構怒鳴っていたし、自分から声も出していました。今年に入ってからは、僕が何も言わなくてもベンチで声が出るようになってきたので、そういうところは変わりつつあります。