オープン戦は調整の場か、それとも。過去の首位打者のオープン戦打率を振り返る

2019-03-01 11:30 「パ・リーグ インサイト」望月遼太
2012年と2016年の2度、首位打者に輝いている千葉ロッテの角中勝也選手

2012年と2016年の2度、首位打者に輝いている千葉ロッテの角中勝也選手

2011年以降の首位打者と、獲得年のオープン戦での打撃成績を改めて比較

 シーズン前には過去の実績から「今季の首位打者」が毎年のように予想されるものだが、各リーグにひしめく数多くの好打者たちの中から、1人だけしか手にできない栄冠を的中させるのは容易なことではない。そういった面ではオープン戦での成績は大きな参考要素となりそうだが、実際に首位打者に輝いた選手がオープン戦で残した数字はどのようなものだったのだろうか。

 そこで、今回は2011年以降のパ・リーグ首位打者とその年のオープン戦の成績を紹介し、実際の数字から見えてくる傾向について考察していきたい。

 2011年から2018年までの各シーズンのパ・リーグ首位打者と、同年のオープン戦の打撃成績は以下の通り。(所属は当時)

2011年 内川聖一選手(福岡ソフトバンク)
オープン戦成績: 13試合 37打数 12安打 打率.324 1本塁打 9打点
シーズン成績:114試合 429打数145安打 打率.338 12本塁打74打点

2012年 角中勝也選手(千葉ロッテ)
オープン戦成績: 2試合 3打数 1安打 打率.333 0本塁打 0打点
シーズン成績:128試合 477打数149安打 打率.312 3本塁打61打点

2013年 長谷川勇也選手(福岡ソフトバンク)
オープン戦成績: 5試合 15打数 3安打 打率.200 0本塁打 2打点
シーズン成績:144試合 580打数198安打 打率.341 19本塁打83打点

2014年 糸井嘉男選手(オリックス)
オープン戦成績: 5試合 12打数 4安打 打率.333 0本塁打 1打点
シーズン成績:140試合 502打数166安打 打率.331 19本塁打81打点

2015年 柳田悠岐選手(福岡ソフトバンク)
オープン戦成績: 14試合 49打数 12安打 打率.245 2本塁打 8打点
シーズン成績:138試合 502打数182安打 打率.363 34本塁打99打点

2016年 角中勝也選手(千葉ロッテ)
オープン戦成績: 13試合 33打数 8安打 打率.242 0本塁打 4打点
シーズン成績:143試合 525打数178安打 打率.339 8本塁打69打点

2017年 秋山翔吾選手(埼玉西武)
オープン戦成績: 2試合 6打数 2安打 打率.333 0本塁打 3打点
シーズン成績:143試合 575打数185安打 打率.322 25本塁打89打点

2018年 柳田悠岐選手(福岡ソフトバンク)
オープン戦成績: 13試合 37打数 12安打 打率.324 0本塁打 6打点
シーズン成績:130試合 475打数167安打 打率.352 36本塁打102打点

オープン戦2割台前半と不振だった選手が、開幕後はキャリアハイを記録したケースも

 こうやって数字を並べた際にまず目を引く点のひとつが、出場試合数が1桁と少ない選手が実に半数を占めていることだろう。チームの主力選手は、オープン戦の序盤に出場しないケースも少なくないことが一因とも考えられるが、2012年の角中選手はやや趣が異なってくる。

 角中選手はこの時点では2011年の51試合出場が自己最多とチームの主力とは言えない立ち位置で、オープン戦でも満足な出場機会は与えられず。開幕後もしばらくは出番がなかったが、4月下旬からスタメン出場のチャンスを得られるようになっていった。

 ここが角中選手のキャリアを変えるターニングポイントとなり、水を得た魚のように持ち前の打撃センスを発揮した打撃職人は一気に5番打者へと定着。初めて規定打席に到達しただけでなく、首位打者に輝くほどの大ブレイクを遂げた。オープン戦でチャンスが得られなかった理由の違いも含めて、なかなか珍しいケースと言えそうだ。

 また、2013年の長谷川選手、2015年の柳田選手、2016年の角中選手はそれぞれオープン戦の打率が2割台前半と不振にあえいでいた。そのため、この3シーズンに関しては、いわゆる「オープン戦の成績があてにならない」ケースと形容できるだろう。

 しかし、それ以外の5年に関しては、そもそも打数が少ないものも混ざってこそいるものの、オープン戦でも打率.320以上と好調なバッティングを見せた選手がそのまま首位打者に輝いている。オープン戦首位打者が開幕後に苦しむケースはまま見られるが、高打率を残した選手がその状態の良さをシーズンに持ち込んで活躍を続けることもまた少なくはない。

 移籍初年度に試金石となるオープン戦でさっそく結果を残し、そのまま史上2人目の両リーグ首位打者に輝いて球史にその名を刻んだ内川選手のようなケースもあれば、オープン戦で打率.200と絶不調だった長谷川選手が、シーズンに入ってからは全試合に出場して198安打を放ち、キャリアハイとなるすばらしいシーズンを送ったケースもある。

 オープン戦の結果が開幕時点での序列を左右することも少なくないが、選手としての評価基準となるのはレギュラーシーズンで残した成績のほうだ。果たして、2019年に首位打者へと輝くことになる選手がオープン戦で見せるバッティングは、どのようなものになるのだろうか。シーズンが終わった時に、改めて開幕前のことを振り返ってみるのもまた一興だろう。