「もし野球好きのおっさんがデータ分析を学んだら」開講 データを紐解けば、今シーズンの選手の活躍が予想できる!

2019-03-01 11:00 「パ・リーグ インサイト」武山智史
写真:武山智史

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老若男女の「野球好きのおっさん」、ここに集結!

 2019年2月6日、東京・大手町の日本経済新聞社内の「SPACE NIO」に約90名の野球ファンが詰めかける。集まったのは性別、年齢問わず自らを「野球好きのおっさん」と感じる人々。男性だけではなく、若い女性の姿も1割ほど見られた。

 この日開催されたのは、PLM(パシフィックリーグマーケティング)と日経電子版による共催イベント「もし野球好きのおっさんがデータ分析を学んだら」。野球の楽しみ方のひとつであるデータに基づいた成績予測や、基本的なデータの考えについて野球データの専門家である岡田友輔氏(DELTA代表)。そして元東北楽天の投手で引退後は球団の戦略室に所属した川井貴志氏がゲストとして登壇した。イベント開催発表後、その日のうちにチケットは完売し、追加販売された10枚のチケットも即日完売になるほど、野球ファンの関心の高さをうかがわせた。

 今回のイベント開催にはあるきっかけがあった。昨年10月に開催された「パ・リーグ×パーソル ベースボールデータハッカソン」に日本経済新聞の記者チームが参加。新規ファン獲得や、球団の売り上げアップの施策を提案する「コンサルティング部門」で『ようこそ、おっさん』と題したプレゼンを展開した。ファンクラブのデータを分析してみると、女性ファンは消費が多い一方で買う人と買わない人の差が大きい。

 一方、男性ファンは消費こそ少ないがデータのばらつきは小さい傾向にあった。男性ファンは20代で一度離脱しても再び戻ってくるデータもあり、伸びしろのある「おっさん」をメインターゲットにした施策を打ち出す。さらに「おっさん」の持つ野球うんちくにデータ分析が加わったら、野球がもっとおもしろくなるのではという話にも及んだ。結果、日本経済新聞記者チームが優勝。その後、「おっさんのためのデータ講座」の機運が高まり、開催の流れとなった。

写真:武山智史

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例えば、丸選手の今シーズンの成績予想は……

 今回の主なテーマとなったのは「順位予想をするために必要なデータを導き出す」。野球解説者の順位予想はデータ分析があまり活用されていない現状を踏まえ、岡田氏は「チームの得点と失点がわかれば、順位予想ができる」とまず口火を切った。

 具体例としてセイバーメトリクスを発案したビル・ジェームズ氏によって生み出された、ピタゴラス勝率(勝率=得点の2乗÷(得点の2乗+失点の2乗))を紹介。得点の重要な要素として出塁と進塁がポイントと続けた。

 そしてチームの得点と失点を求めるため、チーム全選手の予測された個人成績を算出する必要があると岡田氏は言う。その予測の材料として選手の過去5年間の成績をベースとし、新しい年ほど数字の価値を重くする。そこに年齢、球場などの環境、選手のタイプ、身体情報などを加味し予測した数字が算出されていく。

 個人成績予測の一例として広島からFAで巨人に移籍した丸佳浩選手を挙げ、予測された2019年の成績は「打率.294、28本塁打」。続いて巨人外野陣の成績予測一覧が表示され「丸選手は583打席で得点は104。やはり攻撃力がありますね」と岡田氏が解説すると、「すごい……」と場内がざわめく一幕も。最終的には「丸選手の加入でチームは30点から40点得点が増加。3、4勝改善される」と予測が発表された。

 一方でデータには想定にはない「ブレ要素」も存在する。その要因として岡田氏が挙げたのは「新外国人選手」「新人選手」「起用方針の変化」だった。ここで川井氏は「外国人選手の場合、海外リーグでの成績は評価できない。新人選手はプロの生活に慣れることが活躍するには不可欠」と現場の意見として解説を加えた。

MLBの傾向も、データで丸わかり

 また日本だけでなく、MLBのデータに関する話題にも及ぶ。一つは昨年12月、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏が検討すると報じられた「守備シフトの制限」について。投高打低が続く打開策として考えられたが、岡田氏は守備シフト回数とBABIP(本塁打を除きフェアゾーンに飛んだ打球の安打の割合)のグラフを紹介。「年々、守備のシフト回数は上がっているが、BABIPはほとんど変わりない。MLBの打率が下降しているのは守備シフトの影響ではないとアナリスト界隈では常識となっています」と伝えた。 

 もう一つは昨年、MLBで話題となった「オープナー」。リリーフ投手が先発し1回を投げ、2回からは本来の先発投手が長いイニングを投げる起用法だ。岡田氏は「投手のベンチ入り人数がMLBより多い、人材が投手に集まっているなど日本でもオープナーは有効なのでは。北海道日本ハムの栗山英樹監督が『具体的に検討したい』という話も出ているため、今年は注目して見てほしいです」と語った。

 質疑応答では「ZOZOマリンは球場改修したことでデータに影響が出るのか?」「観客や応援は成績に反映されるのか?」など、さまざまな質問が飛び出し、最後まで熱気にあふれる1時間半となった。イベント後、岡田氏は「マニアックな話だったので『大丈夫かな』と思いましたが、皆さん好意的に捉えていたのかなと感じますね。皆さんいろいろな情報を見ているなと思いました」と振り返った。

写真:武山智史

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3月20日、続編が開催決定!

 また、本イベントの続編となる「もし野球好きのおっさんがデータ分析を学んだら 2回表」が3月20日に開催されることがイベントの最後に発表された。参加者に対して「宿題」として課せられたのは「データから順位を予想してみよう」「2019年、セパ両リーグの1位チームは?」。ちょうど時期は開幕直前。「2回表」はさらに深みのあるデータ分析が議論されるだろう。