「クォ・ジュンリン」として迎える4年目。背番号と登録名の変更が契機となるか

2017-12-13 00:00 「パ・リーグ インサイト」望月遼太

「オリエンタル・エクスプレスの再来」と謳われて3年。埼玉西武の郭俊麟投手が、2つの変化を迎えている。同姓の名投手にあやかった背番号・登録名と決別する選択からは、現状を打破しようという明確な決意が見て取れるだろう。

郭投手は、国立台湾体育運動大学時代に台湾代表として活躍。国際大会における実績と若さに期待をかけられ、2014年に埼玉西武に入団した。「西武の郭」といえば、来日1年目からノーヒットノーランを達成し、2度のリーグ最高勝率に加えてシーズンMVPの受賞経験を持つ「オリエンタル・エクスプレス」こと郭泰源氏を想起するだろう。その泰源氏から指導を受けたという郭投手も、入団会見では目標とする投手として泰源氏の名前を挙げ、「彼のマウンドでの投げっぷりを真似して、立派な選手になりたいです」と抱負を語っていた。

郭投手には泰源氏の入団時と同じ背番号「12」が与えられ、150キロを超える快速球と台湾代表における実績から、かつての名投手の再来として期待が寄せられた。しかし、1年目となる2015年から多くのチャンスを与えられながら、17度の先発を含む21試合に登板して3勝7敗、防御率5.31。79回2/3で10本塁打を浴びるなど持ち前の球威が通用せず、苦しいシーズンを送ることになった。

翌シーズン以降も苦闘は続き、2016年には先発登板が3試合にとどまる。そこでも5回4失点、1回2/3で8失点、2回1/3で4失点(自責点3)と、試合を作れず。中継ぎでの登板を合わせても12試合で0勝3敗、防御率8.46と、さらに数字を悪化させてしまった。辻監督の下で新体制が始動した今季は、一軍での登板機会が一度もなく、さらに厳しい立場へと追い込まれる形となる。

そんな中で迎えたオフ、11月23日、球団は郭投手の登録名と背番号の変更を発表。登録名は日本語読みの「かく・しゅんりん」から台湾読みの「クォ・ジュンリン」に、背番号は「12」から「69」へとそれぞれ一新されることになった。偉大な先達にあやかった登録名と背番号から離れて心機一転し、プレッシャーからも解放することが目的のひとつかもしれないが、あるいは同時に験を担ぐという狙いもあるのかもしれない。

かつて西武で活躍した許銘傑氏が、好調時のピッチングを取り戻せずに苦しんでいた2010年末、登録名を本名から「ミンチェ」に変更したことがある。「来年は新たな気持ちで気合を入れ直したいと思います」という言葉通り翌年は中継ぎとして新境地を開拓し、49試合に登板して6勝2敗22ホールド1セーブ、防御率1.98という大活躍を見せて見事に復活を遂げている。

近年では、北海道日本ハムの陽岱鋼選手(現・巨人)が伸び悩んでいた2009年に「陽仲壽」から現在の名前に改名を行っている。そして、「来年は勝負の年だと思っています。一軍に上がることだけではなく、レギュラーを取るしか考えていない」という言葉通りに翌年ブレイクを果たし、見事に外野のレギュラーを奪取。以降はリーグを代表する外野手の1人として活躍を続け、球団史上初の盗塁王に輝くなど、スターダムを駆け上がっていった。

以上の例からも、台湾出身の選手にとって改名というものは縁起の良さを感じさせるものと言えるかもしれない。上記の2人同様に難しい時間を過ごしている郭投手にとって、今オフの変化が現状を打破するための起爆剤となり得るだろうか。「郭泰源の再来」ではなく「クォ・ジュンリン」という1人の選手として迎える来季、台湾で将来を嘱望された大器の覚醒に期待したいところだ。