選手兼任コーチは日本特有? 米国でコーチ兼任が少ないわけワケ

2017-12-24 00:00 「パ・リーグ インサイト」新川諒

日本が誇る二刀流は大谷翔平選手だけではない。

打者・投手の二刀流ではなく、選手兼コーチとしての二刀流をこなす現役選手は毎年のように存在する。来シーズンに向けてもパ・リーグでは埼玉西武の松井稼頭央選手、千葉ロッテの福浦和也選手、北海道日本ハムの実松一成選手、さらには昨年まで北海道日本ハムに所属していた武田久投手も場所を社会人野球に移して選手兼コーチを担うことになる。

日本では引退後すぐにコーチ、または来シーズンの千葉ロッテマリーンズに見られるように監督となる選手たちもいる。そのためキャリアの終盤に差し掛かった際に、選手兼コーチという役職に付くのは自然な流れかもしれない。日本では先輩-後輩の文化もあり、年齢の上の者が下を指導するという文化が部活動時代から存在する。それがプロの世界でも多少なりとも残っているため、ベテラン選手がコーチ兼任になるということも当たり前になっているのではないだろうか。

メジャーリーグでは試合日程の影響もあり、25人枠の1人1人が絶対的に欠かせない戦力として必要となる。前夜の延長戦、ダブルヘッダーや怪我人の影響により、どうしても選手枠を投手に使用する必要性が出てくる場面がシーズン中には起こりうる。それをコーチ兼任という理由で貴重な選手枠を動かせないという状況は作りたくないというのが、球団としてもあるはずだ。日本でも同じことが言えるが選手枠は3人多い28人、さらには1週間に一度休みがあるなど試合日程にも余裕がある。

メジャーリーグでも選手兼監督は1970-80年代までは珍しいことではなく、ニューヨーク・ヤンキースの元監督であるジョー・トーリ氏やシンシナティ・レッズのピート・ローズ氏も経験している。2011年には現役選手のポール・コネルコ氏(シカゴ・ホワイトソックス)が選手兼監督として候補に挙がったという話題も一時出たが、チームにとって良い効果を生まないという理由により見送られた。

2014年にはシカゴ・カブスがメンターとしての効果を求め、マニー・ラミレス氏をトリプルAの選手兼コーチとして契約した。当時、私はラミレス氏と同じチームで仕事をさせていただいていたが、若い選手たちから慕われている様子がうかがえた。だが傍目からみて、選手よりもコーチ色の方が強い役割を担うようになっていった。そのためか結果的に選手兼コーチとしての役割は長く続かなかった。

2016年にはプレーオフ争いから脱落したマイアミ・マーリンズはマーティン・プラド選手に1試合限定で選手兼監督の役割を与えた。3回途中まで選手として出場した後に監督として試合の指揮を執った。選手としてチームを引っ張る存在のプラドに監督を経験させる。これは将来的な可能性を見込んでの採用だったかもしれないが、逆に現実的な“役割”としては考えにくいことがうかがえた一発企画だった。

メジャーリーグの25人枠を勝ち取るための競争は熾烈だ。それと同時にメジャーリーグの監督・コーチの椅子もマイナーリーグで“修行”を積む者たちが虎視眈々と狙っている。その激しい競争を勝ち抜いている者たちが集まるからこそ、“兼任”というポジションはほとんど皆無に等しいのかもしれない。