サッカー版“キャッシュレス開幕”で見えたものは? 神戸で東北楽天が得た収穫と課題

2019-03-14 11:00 「パ・リーグ インサイト」編集部
ハーフタイムのコンコースは多くのサポーターであふれかえる

ハーフタイムのコンコースは多くのサポーターであふれかえる

ハーフタイムの大混雑も……

 いよいよキックオフ。前半は神戸が優位に試合を運ぶも、0-0でハーフタイムに。サッカースタジアムで来場者が最も動く15分間に突入した。多くのファンが席を立ち、トイレや飲食物、グッズの購入へと向かうため、通路は大混雑。商品を注文する声と、楽天Edy独特の「シャリーン」という音が鳴り響く。子どもたちも飲み物を購入して、楽天Edyで決済を進める。父親と来場したという小学校3年生の2人組は「ラクでした」と口をそろえる一方、保護者からは「現金を持たなくてもいいのですが、残高がわかりにくいのは難しいですね」と、この日の来場者全員に配布された楽天Edyに対する注文ものぞかせた。

 試合前日にはチケット完売、満員となる25,172人の観衆がノエスタに詰めかけていたこともあり、決して商品購入の行列がスムーズに行くことはなかったが、もしここに現金決済が残っていたとしたら、後半9分にビジャ選手が決めたJリーグ初ゴールを見逃したサポーターが多くいたかもしれない。試合はそのまま1-0でヴィッセルが勝利。イニエスタ選手、ビジャ選手、ポドルスキ選手はフル出場して見せ場を作るなど、神戸のサポーターにとっては大満足の一戦となっただろう。

グッズストアのレジからは現金が消え、スッキリとした光景に

グッズストアのレジからは現金が消え、スッキリとした光景に

野球とサッカーの違いとは?

“キャッシュレス開幕”を楽天イーグルス関係者はどう見ただろうか? 楽天野球団経営企画室長の江副翠氏は「ご来場者様からの『お財布を探したり、小銭を持ち歩いたりするストレスがなくなった』というお声や、テナント店舗様からの『会計締め作業時間の短縮化や、お金を触らずに接客できる』という衛生面の改善を喜んでいただけるお声などを聞くことができたことで、完全キャッシュレス化の方向性を改めて我々自身も再確認することができました」と成果を振り返る。

 だが、「キャッシュレス化のメリットの一つである「会計時間の短縮」については、改めて対応するスタッフの事前研修が大事だと痛感しております。2019年より全てのお買い物をする決済ポイントにおいて、楽天ペイ、楽天Edy、クレジットカードが使えるようになるということは、球場に出店いただいているテナントスタッフの皆さまにとっても、昨シーズンまで取り扱っていた決済手段とは異なる扱いが出てくるケースも多く、各スタッフが、お客様へのご案内から各機器操作まで、スムーズに対応できるかというのも課題の一つであると考えております」と今後に向けた検討事項も明かした。

 前述の鈴木氏は、野球とサッカーについて二つの違いを指摘する。「まずは、お客様の年齢層が違います。ファンの顔を思い浮かべるとサッカーより野球の方がやや高い傾向ですし、神戸と仙台の土地柄の違いも影響があると思います。また、野球はイニング間などの動きがあるので、飲食物の売上がサッカーよりも高く、決済件数も多くなります」と分析。特に、サッカーの場合にはプレー中のスタンドで飲食物を売る「売り子」は存在しない。だが、野球の場合にはビールなどの飲料を中心に多くの売り子がスタンドで営業を行う。もちろん、それらの売り子もキャッシュレスとなり、おなじみの1000円札を指にはさんで声をかけながらスタンドを練り歩く光景も一変する。ある意味では、球史に残るかもしれない大改革のスタートと言えるだろう。

「開幕まで残りわずかとなりましたが、一つ一つ課題をクリアしながら準備を進め、お得に、ストレスフリーに観戦を楽しんでいただけるよう、鋭意取り組んでまいります」と、最後に江副氏は決意を明かした。4月2日まであと19日、キャッシュレススタジアムの船出に注目だ!