プロ入り10年を超える苦労人 今年ブレイクを果たした遅咲きの選手たち

2016-07-18 00:00 「パ・リーグ インサイト」編集部

2016年のパ・リーグ前半戦が終了し、後半戦が幕を開けた。投打で圧倒的な選手層を誇り、現在首位を快走する福岡ソフトバンク。7月に入り北海道日本ハムに2位の座を明け渡したが、依然開幕からAクラスをキープしている千葉ロッテの2チームがパ・リーグを盛り上げてきた。

その中にあって、両チームとも共通しているのはプロ入り10年目を超える選手が活躍を見せている点だ。福岡ソフトバンクではプロ13年目・城所龍磨選手が挙げられる。岐阜・中京高の在籍時に走攻守三拍子そろった外野手として注目された城所選手は、2003年ドラフトの2位で福岡ダイエー(当時)に入団。FAでオリックスへ移籍した村松有人氏がつけていた背番号23を与えられるなど、球団からその才能を大いに嘱望されていた。

一軍でも次第に出場機会を増やしていき、プロ6年目の2009年には自慢の俊足と外野守備を武器に代走、守備固めを中心に91試合に出場。試合終盤になると代走で登場し、そのまま外野を守るというパターンがこの頃から定着し始めた。スペシャリストとしてチームに欠かせない存在となった城所選手だったが、昨年は不運に見舞われた。オープン戦で死球を左腕に受け骨折、8月には左肩脱臼とケガが続き試合出場はわずか1試合に終わった。

捲土重来を期した今年、城所選手はバッティングで「覚醒」する。5月18日の北海道日本ハム戦に代打で登場し自身9年ぶりの本塁打となる3ランを放つと、福田秀平選手に代わってライトのレギュラーに定着。交流戦ではそのバッティングが冴え渡り、交流戦トップとなる打率.415。本塁打も5本とチームの交流戦最高勝率に大きく貢献し、交流戦MVPを受賞。ファンが期待している城所選手の才能がようやく開花しつつある。

城所選手といえば2014年に球団が作成した似顔絵入りの「キドコロ待機中」のTシャツに触れておく必要があるだろう。ファンの間ではすっかりおなじみのTシャツだが、昨年のキャンプ中にマーリンズのイチロー選手が着用していたのには驚いた。今年のこれまでの「覚醒」とも言える活躍に、スタンドのファンは「キドコロ○○中」という応援ボードを掲げて声援を送っている。

一方、千葉ロッテではプロ11年目・細谷圭選手の活躍が際立っている。西岡剛選手(現阪神)、今江敏晃選手(現楽天)に続く高卒野手として大きな期待を受けて2005年の高校生ドラフトの4位で入団。2011年には移籍した西岡選手の後釜候補の一人として挙げられる。そして開幕から出場していた荻野貴司選手の戦線離脱を受けてショートに入り、プロ初本塁打を放った細谷選手だったが、レギュラー定着には至らず。この最大のチャンスを逃してしまう。以降、細谷選手は代打、代走、守備固めとユーティリティープレーヤーとして一軍に定着するが、多くのファンは「もっとできるはずなのに」とその高い潜在能力を生かしきれていないことに苦々しさを感じていた。

しかし今年はオープン戦から安定した活躍を見せると、開幕直後から「2番・サード」としてスタメンに定着。4月7日の福岡ソフトバンク戦では6打数5安打5打点と大暴れし、ついにその潜在能力が覚醒される。一時は成績不振からスタメンを外れ「ここまでなのか」と思われたが、5月中旬からは再びスタメンに復帰。調子を取り戻し、チームをけん引する活躍を見せている。

細谷選手といえば多くのファンから親しまれているその気さくなキャラクターだろう。「サンキュー幕張!」に代表される、ファンの心をくすぐるフレーズを発するのも魅力の一つであり、その持ち前の明るさが今やチームになくてはならない存在となりつつある。

チームの優勝、そして上位追撃への鍵を握るのはこの2人の苦労人の活躍だろう。ここからさらに過熱していくシーズン後半戦の激しい上位争い。大いに盛り上げてくれるだろう城所選手、細谷選手の活躍にこれまで以上に注目していきたい。