今年こそ。福浦和也が描く大記録への想い。

2018-02-02 11:00 「パ・リーグ インサイト」マリーンズ球団広報 梶原紀章

気が付けば25回目の春季キャンプを迎えた。通算2000本安打まであと38本と迫る千葉ロッテマリーンズの福浦和也内野手は今年も石垣島で球春到来の日を迎えた。ライオンズ・松井稼頭央外野手と並んで野手最年長の42歳だ。

「こんなにやれるなんて夢にも思っていないよ。最年長野手はうれしいような悲しいような。でも(松井)稼頭央くんがいるのは大きい。ライバルでもあるけど、お互い励ましあう存在だからね」

一人また一人と同じ年齢の選手が引退をしていく中、現役道を貫く松井稼頭央外野手の存在は大きい。イーグルスを退団し、ライオンズ入りが決まった時はうれしさのあまり、すぐに連絡をとった。記者会見で松井が口にした言葉の数々が身に染みた。「現役は1度しかない。ここまできたら、とことんいきたい。野球が好きという事に勝るものはない」。同じ年の選手だからこそ分かり合える心境。話は弾んだ。「お互い頑張ろう」と励まし合った。少しでも長く、存在感を見せファンに喜んでもらいたい。その想いは共通している。

だからこそ2018年の始動は早かった。1月3日の早朝には誰もいないZOZOマリンスタジアムを訪れるとダッシュを繰り返し、ウエートを行い、バットを振った。室内練習場はまだ開場していなかったため、ブルペンでひたすら打ち込んだ。徐々に打撃感覚を研ぎ澄ませていく例年とは違い、年始からマシンで高速球をはじき返す異例の姿があった。

「例年よりバットを振るのも、全力疾走をするのも早い。オフに入る前に監督は選手全員に『春のキャンプでは初日に合わせて体を作ってくれ』と指示を出されていた。コーチ兼任だから自分は別というわけにはいかない。逆に若い選手たちに見せてやろうと思っている。この年で、しっかりと初日から全力で動き回る姿をね」

強い決意がみなぎっていた。打撃コーチ兼任の肩書が新たに加わる今季。しかし、だからこそ、その背中でチームを引っ張らないといけないと考えている。「年だから」と甘えるつもりも毛頭ない。年輪を重ねた今こそ、さらに自分に厳しく、そして明確に結果を追求していくつもりだ。

新たな想いも芽生えている。昨年末に行われた契約更改では、その席上で球団から「2000本安打を達成することを期待している」と伝えられた。改めて球団や周囲の期待を思い返し、これからは2000本安打の記録と真っ向から向き合い、達成の瞬間を自らの手で引き寄せると決めた。だから、これまで「チームの勝利が最優先。記録はその過程で生まれるのであれば」とマスコミにコメントをし続けていたが以降、明確に大記録を公言するようになった。数字をあえて意識し、達成をする中でチームの勝利に貢献をしていく理想の形を追求していくことを自分自身に約束をした。

「2000本安打を打つのは自分の宿命だと思っている。球団には申し訳ないぐらいやらせてもらっているからね。そろそろさすがにファンの皆様、そしてお世話になった人の期待にも応えないといけない。周りの皆様の支えがあった中で、ここまで数字を積み重ねてきたのだから、なんとしても達成しないといけないと思っている。それは自分のノルマ。皆様に恩返をしないといけない」

大記録達成に照準を合わせたバットマンの眼光は鋭さを増した。記録達成のために試合に出させてもらうのではなく、戦力として認められ一軍の与えられたチャンスで結果を出す。福浦は開幕からスタメンを自らの力で奪い取り、チームの勝利のためのヒットを重ねていく中で2000本安打達成という最高の花を咲かせようと望む。

「ここ数年と比べると体の状態はとてもいい。なによりもしっかりとバットを振れている感覚がある。しっかりとチームに貢献をする形で、記録も追っていくためにこれからも細心の注意を払いながら、体を作っていく」

体重はベストの86キロを維持。誰もが待ちわびるその瞬間にしっかりと照準を合わせる男は開幕を逆算し1月から大粒の汗を流し続けてきた。ドラフト7位でプロ入り。投手から野手に転向し努力を積み重ね、ここまでたどり着いた。2018年、幕張の安打製造機の異名を持つ男は、さらなる伝説の1ページを自らの手で刻み込もうとしている。