「純粋のセットアッパー」 北海道日本ハム宮西が築いた300ホールドの金字塔

2019-04-14 21:31 「Full-Count」広尾晃
北海道日本ハム・宮西尚生※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

北海道日本ハム・宮西尚生※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

前人未到の300ホールドを記録した北海道日本ハム宮西

 時間の問題となっていたとはいえ、北海道日本ハム、宮西尚生の300ホールドはやはり偉大な記録だといえよう。ホールドは1986年にアメリカで考案され、NPBでは2005年から正式に記録として採用された「平成に生まれた指標」だ。300ホールドの大記録が、平成最後の月に達成されたことも意義深い。

 ホールドは中継ぎ投手の中で、リードした状況で登板するセットアッパーにつく数字だ。

○NPBホールド数歴代10傑 ()は実働。※現役投手は4月13日試合終了時。ホールド数は2005年以降。

1 宮西尚生 300ホールド/636登板(2008-2019)※
2 山口鉄也 273ホールド/642登板(2006-2017)
3 浅尾拓也 200ホールド/416登板(2007-2018)
4 マシソン 166ホールド/393登板(2012-2018)※
5 五十嵐亮太 159ホールド/782登板(1998-2019)※
6 青山浩二 144ホールド/559登板(2006-2019)※
7 ウィリアムス 141ホールド/371登板(2003-2009)
7 高橋聡文 141ホールド/531登板(2002-2018)※
9 藤川球児 139ホールド/713登板(1999-2019)※
9 平野佳寿 139ホールド/549登板(2006-2018)
9 増井浩俊 139ホールド/471登板(2010-2019)※

 宮西は実働12年目で300ホールド。デビュー年から11年連続で50試合登板。山口鉄也も実働12年で2年目から9年連続で60試合以上登板したが、10年目に途切れると成績が急降下して引退した。浅尾は70試合以上登板した年が2年あったが、登板数は上下した。

 過酷な救援投手という持ち場で、10年以上も安定した成績を残すこと自体が驚異的だ。宮西を上回るのは、デビューから15年連続で50試合以上登板した岩瀬仁紀だけだ。

宮西は636試合に登板しセーブはわずか「3」

 宮西を一言で評するならば「純粋のセットアッパー」ということになる。

 ホールド数上位5投手の登板数の内訳を見よう。完了は試合の最後に投げてゲームを終わらせた試合数(セーブシチュエーションを含む)。

宮西尚生 636登板(0先発563中継ぎ73完了)中継ぎ比率88.5%
山口鉄也 642登板(2先発522中継ぎ118完了)中継ぎ比率81.3%
浅尾拓也 416登板(12先発317中継ぎ87完了)中継ぎ比率76.2%
マシソン 393登板(0先発269中継ぎ124完了)中継ぎ比率68.5%
五十嵐亮太 782登板(0先発506中継ぎ276完了)中継ぎ比率64.7%

 山口は史上初めて250ホールドを記録した投手であり、浅尾はセットアッパーとして初めてMVPを受賞した投手だ。2人とも「ホールド記録のパイオニア」というべき存在だが、宮西の中継ぎ比率は2人を大きく上回る。一度も先発したことがないばかりか、試合の最後にマウンドに上がることもほとんどなかったのだ。宮西のセーブ数はわずか「3」、山口は「29」、浅尾は「23」、マシソンは「53」、五十嵐は「70」。

 多くのセットアッパーは一度はクローザーへの配置転換を経験するものだが、宮西はそういった経験もほとんどなかったのだ。先発投手と異なり、救援投手は登板の機会が突然告げられる。だから「上がり」の日は少ない。毎試合のようにブルペンに詰めなければならない。1試合の間に何度も肩を作ることもある。非常に過酷な持ち場なのだ。

 先発投手に比べると日の目を見ることが少ない救援投手だが、宮西尚生の300ホールドは球史に残る大記録だといえるだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)