「練習すれば誰もお前に勝てなくなる」―今年もパの“キング”、埼玉西武山川に響いた言葉

2019-04-25 09:54 「Full-Count」編集部
埼玉西武・山川穂高※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

埼玉西武・山川穂高※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

145M弾含む2連発で両リーグ最速2桁到達、1軍ブルペン捕手の上本氏が明かす本塁打王の“秘話”

 埼玉西武の山川穂高内野手が24日の千葉ロッテ戦(ZOZOマリン)で第1打席に9号ソロ、第2打席で10号2ランを放ち、両リーグ最速で2桁本塁打に到達した。

 圧巻だった。千葉ロッテ先発の岩下が投じたストレートを完璧に捉えた。2回先頭の第1打席では左翼スタンド上段の照明付近を直撃する“あわや場外”の推定145メートル弾。続く3回1死一塁の第2打席でも打球は高く舞い上がり、レフトスタンドに陣取ったレオ党のもとに飛び込んだ。両リーグ最速の10号到達に、「なんでもトップは嬉しい。去年に引き続き譲らずに(トップを)守りたい」と話す昨季47本塁打を記録したキングの頼もしさは、試合ごとに増している。

 山川は自他ともに認める練習の虫だ。印象的な言葉があった。2017年に開幕を1軍で迎えたものの不振を極め2軍落ち。その後夏場に向けて調子をあげ、7月上旬に1軍に再昇格を果たすと、昇格した日の東北楽天戦で代打ホームランを放ち一気にブレークした。

 そんな波に乗りかけていた山川に声をかけたのが、現在は1軍ブルペン捕手の上本達之氏だった。2017年限りで現役を引退した上本氏は、現役時代には試合が終わると必ず室内練習場に足を運びバッティング練習を行っていた。ある日、試合後の練習に現れた山川に上本氏は声をかけた。

「お前、なんで来たの?」

「調子が悪いから、直しにきました」

「それでもなんでもいいけど。毎日来て、ちょっとでいいから打ってみ。お前は練習をしなくても打てるけど、練習をすれば誰もお前に勝てなくなるよ」

2017年は「なんで打ちに来たんや?」に「ダイエットがてら」

 上本氏の言葉が、1軍の座をつかみかけていた山川の胸にストンと響いた。それから2年近くほぼ毎日、試合後の打ち込みを欠かしたことはない。

 上本氏は当時を振り返って言う。

「2017年に代打ホームランを打った後も来ていたので、『なんで打ちに来たんや?』と声をかけたら、『ダイエットがてら』と言われた。でも、そんなのは恥ずかしがっているだけだったと思う」

 さらに上本氏は、「最初からやる気はあったと思いますよ。自分で思って行動していたことが、たまたまそういうきっかけで、多少心に響いたところはあるかもしれない。だけど行動に移すのは彼なので」と山川の強打者としての目覚めを感じ取っていたという。そのやりとりがあった2017年、夏から4番に座った山川はその後も大暴れ。チームの躍進に貢献し、翌年にはパ・リーグMVPに輝くなど球界を代表する選手にまで上り詰めた。

 上本氏は「ただ単に、うまくなりたい。だから練習をしていた」と話す。山川は「練習をすれば打てる。だから、今年も練習をする」と話す。練習を重ねた自信と結果こそが、山川を“王”たらしめている。

(安藤かなみ / Kanami Ando)