北海道日本ハム・王柏融選手の活躍を、台湾のメディアはどう見る?

2019-05-18 11:00 「パ・リーグ インサイト」編集部

ついに出た!! ファイターズ・王柏融に来日1号アーチ!! 2019/4/17 B-F

 CPBL(台湾プロ野球)のLamigoモンキーズから移籍し、これまで28試合に出場、打率.283、1本塁打、16打点(5月17日時点)という成績で、日本球界に順応しつつある王柏融選手。彼の活躍は、台湾メディアの目からはどう映っているのか。パシフィックリーグマーケティングと2019年シーズンから放映権契約を結んだFOXスポーツ台湾(以下、FOX)と、台湾4大新聞の一翼、蘋果日報の記者に尋ねると、冷静な意見が返ってきた。

FOXのディレクターが知る、王柏融選手の人柄

 王選手は、台湾国内でもインフルエンサーとなっており、パ・リーグを中継しているFOXのシニア・ディレクターで、長年NPBの動向を見ている劉彩樺さんは、
「NPBの開幕戦が行われた週末は、100万人を超える人がFOXを通して試合を見ており、歴史的視聴数を記録。CPBLのそれを上回るほどでした。王選手への期待がとても高かった分、開幕戦でヒットが出なかった時にファンはとても心配したのですが、2戦目以降の活躍後、CPBLのファン、特にLamigoファン以外のファンが、王選手を見るためにどんどんFOXスポーツにチャンネルを合わせています。FOXは台湾におけるケーブルテレビの基本パッケージにおいて100%浸透しているので、市場の新規開拓は簡単ではありません。しかし王選手やNPBを見るためにFOX+(FOXスポーツのスマホアプリ版)の加入者が増えていくと予測されますし、そうなればいいですね」と劉さんは答えた。

「王選手効果」は台湾国内だけにとどまらない。過去には台湾出身の陽岱鋼選手が注目されたが王選手によるマーケティング効果は陽選手を大きく上回るものであると予測される。

 劉さんは「実際の統計はないものの、台湾のファンは王選手きっかけでNPB球場に訪れたいと思うようになると思います。視聴率的に、実際に王選手はたくさんの新しい台湾の野球ファンをNPBに呼び込んでいると考えられます」と語った。

 このようにかなりの期待を寄せられている王選手について、台湾の野球ファンは日本でのファーストシーズンをどのような成績を残すと予想しているかを劉さんに聞くと、「まだシーズンが始まったばかりなので予測するには早すぎるかもしれません。ただ台湾の野球ファンは王選手は『CPBLと同じくらいの成績を残し、健闘する』と考えています」との答えだった。

王選手はいたずら好き!? 新聞記者は王選手をこう見る

 王選手の台湾時代の人柄について、蘋果日報の記者王翊亘さんは、
「北海道日本ハムというチームは、記者の目で見てもオープンな雰囲気があり、王選手にとっても馴染みやすい環境だと思います。最初は人見知りするとは思いますが、彼は愛想がいいですし、野球にも真摯に取り組む姿勢を持っているので心配することはないでしょう。Lamigo時代は陳金鋒、林智勝の2人のスター選手とも仲がよく、いたずらを仕掛けることもありました。その2人は王選手を弟のように可愛がり、自らの経験をよく話していたと聞いています」と話す。

 王選手のInstagramからは、まだいたずら(?)の様子はうかがい知れないが、チームメイトとの食事の様子や、中田翔選手の広島の実家に訪問し「中田会」に参加した写真が投稿されるなど、すっかりチームに溶け込んでいるようだ。

蘋果日報の王選手の2019年の成績予想は?

 4月10日のソフトバンク戦では延長11回に勝ち越しのタイムリーを放つなど、日本球界に馴染んできた王選手はメディアの目にはどう映るのか。

「日本の投手に対して慣れるのに時間がかかるという印象です」と王翊亘さんは話す。
「球場ごとの違いや、投手、球種、審判のストライクゾーン、長距離移動などに適応するのに時間がかかるのではないでしょうか。王選手のスイングを見ると、長打を狙わず、ボールにうまくバットを当てていく傾向が見えるので、本塁打の数は伸びなくても、打率はそれなりに残すのでは。打率.310、15本塁打、60打点くらい、いわゆる中距離バッターに落ち着くと思います」と答えた。シーズン序盤こそ成績が心配されたものの、それを乗り切ると安定して安打も残せるようになっている。一発がフィーチャーされがちだが、王翊亘さんが期待するように、シュアなバッティングで、さまざまな打順に適応できる王選手も魅力的だ。

CPBLからの2人目の王選手は出るのか

 台湾球界の至宝が移籍したことで、次にCPBLを背負って立つ人材は誰になるのか。また、次にNPBに移籍する選手は現れるのか。劉さんも王翊亘さんも、CPBLとNPBのレベルの差的に、王選手のような選手がすぐにCPBLから生まれるかについては懐疑的であった。しかし、NPBのニーズに合致する選手は活躍する余地があるのではないかと、王翊亘さんは話す。長打力不足のチームで、外野手起用で守備力は問わないという条件が合えば、球団史上最高額の契約で入団した統一ライオンズの蘇智傑と、中信ブラザーズの若きスラッガー陳子豪の2人は活躍する可能性があるだろうとのことだった。

 台湾国内で期待をされ、北海道日本ハムに入団したゆえに、王選手の影響力はFOXの開幕戦の数字を見ても、かなり大きいものだった。このまま人気が継続した時に、日本プロ野球の経済効果は果たしてどれほどになるのか続報が待たれる。そしてさらに日本球界自体の知名度が上がれば、インバウンドによる球場来場数も増加するだろう。約1カ月間怪我での離脱もあったが、打率は3割前後を推移するようになった。日を追うごとに日本球界への適応度が高まる王選手。これからの動向から目が離せない。

文・鈴木海斗