データ分析会社DELTAが、データ×球団運営のリアルを伝えるイベントを開催する理由とは?

2019-05-11 12:00 「パ・リーグ インサイト」編集部

「ベースボール・オペレーション」とは何か?

 プロ野球データの集計・分析を通じた球団サポートやデータサイト「1.02」の運営を行う株式会社DELTAが、セミナーイベント「リーダーズ・オブ・ベースボール・オペレーションズ2019(以下、「リーダーズ」)」を開催する。

「ベースボール・オペレーション」とは、球団運営におけるビジネス以外の部分、野球そのものに絡む業務やその管理業務を指す。戦略の立案、選手やコーチングスタッフの獲得・招聘や査定といった仕事に加え、コンディショニングやトレーニングに関わるスタッフ、スコアラーやスカウト、広報や通訳の仕事やそのマネジメント、またチーム内外の情報収集や管理などまで意味する領域は広い。

「リーダーズ」は、表舞台に立つことが少ないベースボール・オペレーションに関わる人々の生の言葉を一般に届けようと昨年より始めたセミナーだ。しかし、イベントを主催するDELTAは野球に関するデータ収集・分析を専門とする組織だ。野球の分析に関するイベントならともかく、なぜ彼らが球団運営にフォーカスしたイベントを手がけるのだろうか?

 この疑問に対し、DELTAの代表を務める岡田友輔氏は「球界外にいる優れた人たちと球団をつなぐため」と答える。

「これまで、日本球界のベースボール・オペレーションに携わる人材は球界内のコネクションでまかなうことができていて、大きな問題なく回っていました。でも、アメリカなどで広がる野球の新しい考え方を日本でも採り入れようという潮流が生まれてきてからは状況が変わりつつあります。専門的なデータを取り扱える人材など、球界内のコネクションだけではカバーできないケースも出てきています。

私も高校野球も経験していない球界外から参入した人材だったりするのですが、そうした経緯もあり、接点のある様々な球団のベースボール・オペレーションに携わる方々から『こんなことができる人はいないか?』という問い合わせをいただくようになったんです」

 岡田氏は、そのたびに人脈をたどり球団のニーズにフィットするであろう人材にコンタクトを図ったが、適合する分野に詳しく野球に関心があったとしても、多くの場合プロ野球の世界で実際に働くことを現実的に感じてもらうことができず、マッチングはうまくいかないことが多かったという。

「プロ野球の世界がどういうところで、自分の専門性がどのように活かせるかが伝わらないことには、そこで働こうとは思えないですよね。『プロ野球チームがどのように運営されているのか』の実際のところが世間に伝わっていない状況を解消しないと、球界外の優れた人材が球界で力を発揮するようになる流れはつくれないと思ったんです」

第1回は、今年も好調の福岡ソフトバンクから、三笠杉彦球団統括本部長が登壇

 そんな思いから始まったイベントは今年で2年目を迎える。5月13日(月)に東京・新橋で開催される新シーズンの第1回に登壇するのは、昨年の日本一チームで、現在首位を走る福岡ソフトバンクホークスの球団統括本部長・三笠杉彦氏だ。三笠氏は昨年も登壇し、ベースボール・オペレーションのトップとして導入してきたテクノロジー、球団の組織形態や様々な仕組みについて語ったが、今年はそれらを動かしていく“人”にフォーカスし、これから求められるアナリスト像などについて語る予定だという。

 三笠氏はこれから球界に入る人にとってはボスにあたるポジションになるが、第2回以降は、もう少し身近な、現場に近い立場でベースボール・オペレーションを担う人々が登場する。

 第2回に登壇する北里大学の永見智行氏は、身体動作やボールの回転の分析からピッチャーが投げるボールのキレやノビと呼ばれる要素を分析する研究者だ。NPBの多くの球団が導入している弾道解析機「トラックマン」によって採取されるデータの分析も研究領域とすることから、大学で研究を行うかたわらでオファーのあったプロ野球チームのサポートを行っているのだという。プロがトラックマンデータをどのように見ているのか、その一端などを知る貴重な機会となるはず、と岡田氏は話す。

 第3回はオリックス・バファローズの球団本部戦略データグループに所属する島田一志氏が登壇する。島田氏はスポーツバイオメカニクス(身体運動学)を専門とする研究者で、金沢星稜大学人間科学部スポーツ学科で教授を務めながら、やはりオファーのあったバファローズに参画しサポートするようになったのだという。

「高校野球や大学野球に指導者として携わった経験もあり、科学的・学術的視点と現場感覚を兼ね合わせたスタンスからの野球の見方や、バファローズでの自らの役割などを話してもらえるかと思います」(岡田氏)

 第4回で登壇するのは株式会社ダートフィッシュ・ジャパンで常務取締役を務める藤井透氏。「ダートフィッシュ」はスイスに本部を置く企業で、試合映像や練習映像をデータ分析やコーチングに活用するための世界標準的なソフトウェアを開発していることで知られる。

 プロ野球だけではなく、Jリーグのサッカーチームや数多くの五輪競技の強化団体などで利用されているソフトウェアで「スポーツにおいて、一定レベル以上で強化に関わっている人なら知らない人はいないのでは」と岡田氏。「藤井常務はその日本法人のスタッフとして普及に努めてきた方で、実際に分析を行っている数多くのスタッフの方々とコミュニケーションを重ねてこられました。そうした経験の中で感じている映像分析に対するニーズや今後のトレンドを、今回は野球界に焦点を当ててお聞きできればと思っています」

「リーダーズ」は全8回を予定しており、第5回以降の登壇者と日程は後日発表されるという。

 ベースボール・オペレーションの全貌、トラッキングデータやバイオメカニクス分析の活用状況、そして映像を用いた解析のトレンドなど、プロ野球のアップデートを牽引するテーマの専門家の話が聞ける貴重な機会といえるだろう。

「昨年はイベントをきっかけとして3名の方々が球界への就職を果たしましたが、今年もより多くの優秀な人材が球界へのチャレンジを決意する機会になればと思っています」と岡田氏は話す。

 第1回の三笠杉彦福岡ソフトバンクホークス球団統括本部長の登壇回は5月13日(月)19時より開催される。詳細・申し込みは下記URLを参照してほしい。

https://peatix.com/event/640603/view