常識に囚われない“栗山流” 北海道日本ハム杉浦、ぶっつけ先発の裏にある考え、前例に大谷翔平

2019-05-12 09:57 「Full-Count」石川加奈子
北海道日本ハム・杉浦稔大※写真提供:Full-Count(写真:石川加奈子)

北海道日本ハム・杉浦稔大※写真提供:Full-Count(写真:石川加奈子)

4月23日の楽天戦から中17日、2軍戦登板なしにぶっつけ先発で5回無失点

■北海道日本ハム 8-0 埼玉西武(11日・札幌ドーム)

 北海道日本ハムの杉浦稔大投手が11日、本拠地埼玉西武戦に先発。5回1安打無失点と好投し、今季初勝利を挙げた。5回を打者15人で完全に抑えた4月23日の楽天戦(札幌ドーム)から18日。またも杉浦がレベルの高さを見せつけた。

 初回は伸びのある140キロ後半の直球で秋山、源田、森を外野フライに打ち取る。2回は変化球で山川、栗山を連続三振。3回に木村に右前打を許し、4回には先頭の秋山に四球を与えたものの、いずれも後続を断った。球速が少し落ちた4回以降はゆるいカーブも有効に使って的を絞らせず、5回1安打無失点72球でマウンドを降りた。

 これで札幌ドームでは昨季から4試合20イニングを投げて4安打無失点。お立ち台では「野手の方がこれだけ援護点をくれたので、自分のピッチングに集中するだけでした。この前(先月23日楽天戦)みたいに真っすぐが走っているわけじゃなかったですが、うまくリードしてもらいました」と真っ先に打線と鶴岡慎也バッテリーコーチ兼捕手に感謝した。

 その鶴岡は「展開的にも変化球を使いやすかった。あいつは変化球が苦手じゃないしね。本当にすごくいいピッチャー。コンディションを整えれば、大きな戦力」とうなずいた。

 右肩と右肘に故障歴を持つ右腕は、異例の調整法でこの日の登板に臨んでいた。通常、登板間隔が空いた場合は2軍戦で調整登板して打者との感覚や試合勘を取り戻す。今回、杉浦は実戦登板というステップを踏まず、中17日でぶっつけ登板したのだ。

「実戦感覚を不安視されると思いますが、僕の中ではそんなに不安はなかったですね」

「実戦感覚を不安視されると思いますが、僕の中ではそんなに不安はなかったですね。下で投げるという選択肢もありましたが、日程的な問題と、投げても少ない球数なら、なくてもいいかなと。自分の感覚次第。初回の入りだけは気をつけようと思いました」と杉浦は経緯を明かす。この間のブルペン入りは2回だけ。いずれも60球ほどを投げて感覚を研ぎ澄ませ、準備をしていた。

 ドラフト1位で14年に東京ヤクルトに入団した大型右腕は、これまで故障に泣かされてきた。栗山英樹監督は「状態が良ければ、あれだけのピッチングができる。彼の野球人生を前に進めてあげたい。もっといい球を投げるよ」と今後も右肩の状態を慎重に見極めながら起用していく考えだ。

 球界の常識にとらわれない指揮官だからこそ、異例のぶっつけ登板が実現した。試合前に栗山監督はこんな話をしていた。「答えがあるわけじゃないけど、今回(2軍で)投げずにいくのは一つの大きな試み。本人の感覚を聞きながら、これがベストと思って勝負にいく。スギを信じるだけ」。その後で「翔平も調整なしでやったことがあるし」と付け加えた。

 翔平とはエンゼルスの大谷翔平投手のこと。一昨年、当時北海道日本ハムに在籍していた大谷はシーズン序盤に左大腿二頭筋肉離れで戦線離脱した。先に野手として復帰した後、投手としては7月12日オリックス戦で初登板。その後、2戦目の8月31日福岡ソフトバンク戦、3戦目の9月12日楽天戦はいずれも2軍での調整登板なしで臨んでいた。

 コンディションを見極め、本人の感覚を確認しながらタイミングを計ったあの経験が、今に生きている。杉浦の次回登板は未定だが、栗山監督ならきっと本人にとってもチームにとっても最良の時期を見極めることだろう。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)