野球界の新たな取り組み「PACIFIC LEAGUE BUSINESS CAMP」が目指す未来

2018-03-09 18:00 「パ・リーグ インサイト」新川諒
「PACIFIC LEAGUE BUSINESS CAMP2018」に約1200人が参加した

「PACIFIC LEAGUE BUSINESS CAMP2018」に約1200人が参加した

プロ野球界で働いている職員も将来的にメジャーリーグを目指す時代が来ても良い

パシフィックリーグマーケティング株式会社(以下、PLM)の根岸友喜代表取締役は、会場に集まった学生・社会人を前にオープニングでこう語った。

「フィールドの選手がプロなら、ビジネスのプロがいたって良い。大谷翔平選手がチャレンジの場をアメリカに移すが、プロ野球界で働いている職員も将来的にメジャーリーグを目指す時代が来ても良い。」

プロ野球に、もっとビジネスを。

パ・リーグ6球団、そしてPLMを含めた7つの企業が一同に集まり、2019年度新卒・中途採用を目的とした仕事研究・体感イベント「PACIFIC LEAGUE BUSINESS CAMP2018」を開催した。事前登録でエントリーした新卒大学生・大学院生、そして若手社会人が対象となり、「プロ野球に、もっとビジネスを。」というキーワードで午前午後を含め約1200人が参加した。

ビジネス界で活躍する者がスポーツ業界へ転職する、優秀な大学生がスポーツ業界へ新卒として入社することは米国では稀なことではない。だがこれまでの日本では業界内人材の固定化・非流動化が課題とされてきた。優秀なビジネスパーソンの応募・採用ができていなかったことから、今回のイベント開催の目的としてプロ野球界、そしてスポーツ界全体の市場を拡大することをミッションとして掲げた。

日本のスポーツ界ではまだ少ない取り組みだが、米国では希望者が説明を聞きたい球団ブースに足を運んで聞くというようなイベントがウィンターミーティングを含めたスポーツ業界のカンファレンス、そして各球団主催でもシーズン中に開催されている。

根本的な日米の考えなどの違いがあるものの、米国では経験やスキルなど即戦力としての能力がより求められる。一つの球団が主催するジョブフェアもシーズン中に実施され、同じ街を本拠地とする他チームもその場でインターンや新入社員のリクルーティングをおこなう。参加者は話を聞くというよりは、自分をアピールするために球団のブースに並び、職員と1対1の時間を持つことが多い。その短時間の中で話術やネットワーキングスキルが問われ、関係者に対して即戦力としての素質を見極められる。

それ以外でも学生にとってはカンファレンスでの研究発表やコンペなどもアピールの場として存在する。これも就職活動において“実績”を作るためと考える者が多い。どれだけ魅力的なレジュメ(履歴書)を作り上げることができるかが学生時代の勝負だ。

「PACIFIC LEAGUE BUSINESS CAMP」独特の取り組みとは

今回のイベントでは「ビジネスアイディアドラフト会議」という試みがおこなわれた。6人の学生が1人4分の時間を与えられる。そしてここからが「PACIFIC LEAGUE BUSINESS CAMP」独特の取り組みであり、最も優れたアイディアを企画したと思う学生に6球団がそれぞれ指名入札をする制度を導入した。通常のドラフトと同じように重複指名者はくじびきによる抽選を行い、1位指名された選手には球団幹部面接シード権が豪華プレゼントとして贈呈された。

スポーツ業界で働くことは米国ではドリームジョブとされていて、学生時代のインターンから激しい競争により成り立っている。日本ではスポーツの世界の華やかさに目を奪われる者は多いが、仕事として考える者がそこまで多くはないのが現状だ。しかし、多数の参加者が会場を埋めたことから、決して興味が低いというわけではないはずだ。

これからはプロ野球界だけでなく、BリーグやTリーグなどの新興勢力、そして2019年ラグビーW杯や2020年東京オリンピック・パラリンピックなど国際大会の開催もありスポーツ業界を目指す者にとっては様々な可能性が広がっていく。スポーツ界を目指す人材を一人でも野球界が獲得するためにも、待っているだけではもう限界がある。プロ野球にもっとビジネスを導くためには、さらなる仕掛けが必要となってくる。「PACIFIC LEAGUE BUSINESS CAMP」がまずは第一歩を踏み出したが、参加者たちが今後どのように次の行動へ移し、球団側がそれを受け入れるのか。今後の発展に期待したい。