ホークス今宮選手は世界記録の川相氏を越えるか?「犠打」「犠飛」の記録

2018-03-18 17:41 「Full-Count」広尾晃
福岡ソフトバンク・今宮健太選手

福岡ソフトバンク・今宮健太選手

川相昌弘氏が他を寄せ付けない533犠打、MLBを抜き世界記録に

「犠打」は、バントによって走者を進塁させた数だ。「つなぐ野球」の戦術の1つとされ、特に日本野球では重要視されてきた。犠打を成功させた場合、打者に打数はつかない。スクイズも犠打のうちであり、この場合は打点がつく。

犠打もNPBの表彰項目になっている。表彰される数字は、200、250、300以降は100刻みと変則的だ。

【NPBの最多犠打5傑】
1川相昌弘 533犠打
2平野謙 451犠打
3宮本慎也 408犠打
4伊東勤 305犠打
5田中浩康 301犠打※現横浜DeNA

いわゆるスラッガーとは異なるタイプの選手が並んでいる。「つなぐ打者」が多い。守備位置でいえば、内野手と捕手が多い。川相昌弘氏は2003年8月20日に通算513犠打を記録。エディ・コリンズ氏が持つMLB記録512犠打を更新したと報じられた。コリンズ氏が活躍した1906-1930年のMLBでは、犠打の中に現在の犠飛も含まれていたので、実質的には川相氏はそれ以前にMLB記録を抜いていたことになる。

現役では横浜DeNAの田中浩康選手が歴代5位。田中選手は一昨年までヤクルトに在籍していたが、山田哲人選手の台頭とともに二塁の正位置を奪われ、2016年には東京ヤクルトを戦力外となった。昨年は横浜DeNAに移籍して1000本安打を記録するとともに、史上5人しか記録していない300犠打もマークした。目立たないが、いぶし銀として球史に名前を残したのだ。

現役で節目の数字をクリアしそうな選手を見てみよう。()は昨年実績

〇300犠打 6人
細川亨(楽)294犠打 残6犠打(3犠打)
荒木雅博(中)283犠打 残17犠打(5犠打)
今宮健太(ソ)270犠打 残30犠打(52犠打)

〇250犠打 19人
本多雄一(ソ)238犠打 残12犠打(9犠打)
大引啓次(ヤ)227犠打 残23犠打(10犠打)
菊池涼介(広)220犠打 残30犠打(30犠打)
藤田一也(楽)211犠打 残39犠打(25犠打)

今宮健太選手は歴代3位のシーズン62犠打を2回記録

〇200犠打 40人
炭谷銀仁朗(西)193犠打 残7犠打(23犠打)
中島卓也(日)193犠打 残7犠打(25犠打)
嶋基宏(楽)187犠打 残13犠打(27犠打)
渡辺直人(楽)181犠打 残19犠打(4犠打 西武)
川崎宗則(ソ)180犠打 残20犠打(4犠打)
田中賢介(日)176犠打 残24犠打(0犠打)
鶴岡慎也(日)170犠打 残30犠打(1犠打 ソフトバンク)
安達了一(オ)170犠打 残30犠打(17犠打)
大和(De)161犠打 残39犠打(1犠打 阪神)
石川雄洋(De)152犠打 残48犠打(6犠打)

やはり捕手と内野手が多い。今宮健太選手はシーズン犠打数で歴代3位となる62犠打を2回記録、昨年も52犠打をマーク。超ハイペースで犠打を量産している。このペースでいけば、あと数年で歴代記録に迫るはずだ。

犠打はチームの戦術とも密接にかかわっている。福岡ソフトバンクは昨年、12球団最多の156犠打を記録したが、最下位の横浜DeNAは84犠打だった。どのチームに所属するかで個人の犠打数は変化するのだ。そのことも考慮する必要がある。

「犠飛」は、フライによって走者を本塁に返した回数だ。犠飛を記録した打者は、打数はカウントされず、打点がつく。前述のように、MLBでは1950年代まで「犠飛」は「犠打」に含まれていた。しかし、犠飛が多い打者は犠打が多い打者とは全く異なる。

【NPBの犠飛5傑】
1野村克也 113犠飛
2加藤英司 105犠飛
3王貞治 100犠飛
4門田博光 95犠飛
5長嶋茂雄 90犠飛
5張本勲 90犠飛

球史を代表する大打者が並んでいる。犠飛は、走者が三塁にいる状況で、適時打が打てなかった場合の次善のリザルトだ。得点機に打席に立つことが多く、外野に大きなフライを打ち上げる能力がある長距離打者に多い。しかし、犠飛のシーズン記録は大杉勝男氏(東映)が1970年に記録した15犠飛。それほど多い記録ではない。100犠飛以上は3人しかいない。

現役の犠飛5傑を見てみよう。()は昨年実績
1新井貴浩(広)77犠飛(4犠飛)
2福浦和也(ロ)76犠飛(2犠飛)
3阿部慎之助(巨)66犠飛(7犠飛)
4内川聖一(ソ)62犠飛(2犠飛)
5中島宏之(オ)60犠飛(5犠飛)

犠飛は強打者の指標ではあるが、連盟表彰基準である100犠飛に届く選手は、今季は出そうにない。21世紀以降、100犠飛に手が届いた打者はいない。今後、誰が達成するだろうか注目が集まる。