子どもの頃憧れた「キラキラしてかっこいい」存在に。自己最高315杯の実力派
【楽天生命パーク宮城の売り子さんインタビューVol.2】

2019-08-30 08:00 「パ・リーグ インサイト」馬塲呉葉
キリンの一番搾り担当のかれんさん【撮影:馬塲呉葉】

キリンの一番搾り担当のかれんさん【撮影:馬塲呉葉】

 急な階段を何度も駆け上がり、駆け下り、膝を真っ黒にしながら、いつでも笑顔でビールを売る。スタジアムのお仕事の「花形」と言えば、ビールの売り子さんだろう。青空の下でその冷たさが身に沁みる夏は、彼女たちのありがたさを余計に痛感する。

 売り子さんは野球観戦の清涼剤だが、華やかな彼女たちの姿に、淡い憧れを覚える女性も少なくはないはず。また、売り子さんの存在は海外では見られないもので、日本プロ野球の大切な文化のひとつでもある。

 ここではそんな売り子さんのうち、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地・楽天生命パーク宮城で働く方々をご紹介。ひなさんに続き「パ・リーグインサイト」編集部のインタビューに答えてくれたのは、キリンの一番搾りを担当しているかれんさんだ。

【Vol.1ひなさんの記事はこちら】

中高生時代から「頭の中が野球、野球、野球……」

 大人っぽい見た目だが、天真爛漫なリアクションで周囲を笑顔にしてしまうところが魅力的なかれんさんは「テラスハウスに出ていたChayちゃんが大好きで、その子になりたい」「スタバに行ったら必ずチャイティーラテを飲みます」とお茶目に自己紹介をしてくれた。

 生まれも育ちも仙台で、小学校1年生のときに球場と楽天イーグルスができたが、印象は「夢の国」だったそうだ。「弟が野球を始めたので球場に来てみたら、野球ってすごく格好いいなと」。そこから野球の魅力にはまっていき、中学生のときは「野球の応援に行ける」という理由で吹奏楽部を選び、高校生のときはラグビー部のマネージャーだったが、それも「野球部のマネージャーができないから」。「頭の中が野球、野球、野球だった」と言う。

 売り子さんになろうと思ったきっかけを尋ねると、「球場に初めて来たとき売り子さんの存在を知って、キラキラしていてかっこいい存在だなと。ずっと憧れのような存在でした」と、大きな目を輝かせる。「中高生のとき売り子をやりたい! って気持ちがむくむくっと湧いて、(高校)卒業と同時にすぐに応募をしました。あと売り子は頑張った分だけ数字で出るし、頑張った分だけ稼げるので、自分に挑戦してみたいなという気持ちでした」。

ひなさん(左)とかれんさん(右)のツーショット【撮影:馬塲呉葉】

ひなさん(左)とかれんさん(右)のツーショット【撮影:馬塲呉葉】

「もともと運動が苦手だったんですが、売り子になって運動がすごく好きになりました。今はフットサルしたり、夜にちょっと走ってみたりストレッチしてみたり、身体を動かすのが好きになってきました。健康になったかもしれない(笑)」と思わぬ効果も。

自己最高は驚異の315杯。「自分を覚えてくださることがモチベーション」

 もちろん楽天イーグルスのファンで、特に好きなのは「平石監督」。「まず見た目が格好いい。試合中の様子をテレビで見ると、選手が活躍したときに笑顔で喜んでいる姿が素敵だなと思って」と照れながら明かしてくれたが、共感できるファンは多いだろう。

 そんなかれんさんに自己最高の販売数を聞くと、「昨日(インタビューの前日)実は出ました。315杯出ました」と驚きの数字が。「試合が長かったのですが、最後のぎりぎりまで販売していいよと言ってもらえて、最後の一人だったみたいです。体力的には本当に、これまでにないくらいしんどいなと思いましたが、でも気持ちの昂りは今までにないくらいで、やるしかないと。そしたらちょうど終わるギリギリに売り切れて315杯。さいこーです!」

 その日は暑さも厳しかったが、「お客さまが自分のことを覚えてくださる、それがすごくモチベーションになっています。待ってくれる人がいるから頑張ろうと。辛かったですが、今までにないくらいのやりがいと充実感を感じられました」と笑顔を見せてくれた。

 売り子さん同士は、勤務が終わった後に一緒に遊びに出かけるほどとても仲が良いそう。かれんさんは「一致団結って感じです」と表現するが、彼女の晴れやかさを見ているとその通り素晴らしい環境であることがうかがえた。

 大変そうなイメージばかりが先行する売り子さんのお仕事。夏は特に彼女たちの体力が心配になるが、かれんさんはお仕事の充実感を全身で表現してくれた。その姿は、かつての彼女自身が憧れた「キラキラしてかっこいい」存在そのものだろう。