本当に「強いチームは接戦に強い」のか。 状況別の勝率、投打の数字から分析

2019-09-11 18:00 「パ・リーグ インサイト」望月遼太
僅差の試合で高い勝率を残しているオリックスだが……

 前のパラグラフでは投手についての分析を行ったので、次は打撃面にも目を向けていきたい。接戦時と大差時での打撃成績の違いを、チームごとに紹介していく。なお、本塁打率は本塁打を1本放つのに何打数かかるのかを示す指標であるため、数字が小さいほうが優れた数字となる点にはご留意いただきたい。

北海道日本ハム
3点差以内:3384打数862安打 69本塁打380打点 打率.255 本塁打率49.04
4点差以上:943打数236安打 19本塁打114打点 打率.250 本塁打率49.63

楽天
3点差以内:3718打数929安打 107本塁打440打点 打率.250 本塁打率34.75
4点差以上:641打数166安打 23本塁打96打点 打率.259 本塁打率27.87

埼玉西武
3点差以内:3402打数931安打 124本塁打521打点 打率.274 本塁打率27.44
4点差以上:1035打数251安打 39本塁打142打点 打率.243 本塁打率26.54

千葉ロッテ
3点差以内:3527打数874安打 117本塁打443打点 打率.248 本塁打率30.15
4点差以上:856打数209安打 33本塁打117打点 打率.244 本塁打率25.94

オリックス
3点差以内:3562打数862安打 70本塁打370打点 打率.242 本塁打率50.89
4点差以上:728打数187安打 22本塁打95打点 打率.257 本塁打率33.09

福岡ソフトバンク
3点差以内:3428打数871安打 137本塁打416打点 打率.254 本塁打率25.02
4点差以上:891打数216安打 33本塁打104打点 打率.242 本塁打率27.00

 大差の試合での勝率が高く、僅差での勝率は低かった楽天は、4点差以上での打撃成績のほうが3点差以内の時よりも良くなっていた。同様の傾向を示していた千葉ロッテは、打率こそ僅差時のほうがわずかに高かったものの、本塁打や打点の効率は大差時の方が優れている。逆に、僅差の試合で強さを発揮する福岡ソフトバンクは、3点差以内の際により良い打撃成績を記録。ここまでは勝率通りの結果となっているが、福岡ソフトバンクと同じく接戦に強いオリックスは、4点差以上のほうが打撃成績が優れているという点がやや興味深いところだ。

 そのオリックスの成績の内訳を見てみると、4点差以上で負けているケースでは460打数で打率.246、本塁打率32.86なのに対し、4点差以上でリードしている場合は268打数で打率.276、本塁打率33.5と、打率の面で大量リード時が僅差時を大きく上回っている。一方、打数に目を向けると、ビハインドを背負うケースの方がかなり多くなっており、打撃成績と勝率の食い違いの要因の一つはここにあるとみなせそうだ。

 ビハインドを背負うことが多くなっている理由の一つとして、先ほど確認した救援陣の防御率が挙げられる。オリックスは先発防御率3.87に対し、リリーフ防御率が4.44と大きく悪化しており、リリーフに限ればリーグ唯一の4点台となっている。ディクソン投手、海田智行投手、近藤大亮投手といった面々は安定しているが、防御率が4点台以下の投手も多くなっており、リードされた試合でさらに傷口を広げてしまうケースも少なくなかった。

 数字の面では、やはり3点差以内での打率が.274と、全シチュエーション内でもトップの数字を記録している埼玉西武の猛打が目につく。全体としては、大差がついた試合では相手の勝ちパターンが登板する可能性が低いこともあって、多くのチームが優れた本塁打率を記録している。そんな中でも、埼玉西武を上回る本塁打率を記録している千葉ロッテと、3点差以内時の埼玉西武に次ぐ全体2位の打率を残している楽天の奮闘が光っている。

 一方、北海道日本ハムは3点差以内、4点差以上の双方において、本塁打率がかなり悪い数字となっている。中田翔選手の故障やレアード選手の退団が影響して長打力不足に陥った印象は否めず、やや迫力を欠いた打線の不調がチーム全体の成績にも影響を及ぼしている可能性はありそうだ。

通説通りであるチームと、そうではなかったチーム

 実際に数字を見てみると、リーグ首位の福岡ソフトバンクは接戦での強さが際立っており、「強いチームは接戦が得意」という通説通りの成績を収めているといえる。また、相対的には大差時のほうがより強いという結果となっているものの、僅差と4点差以上の双方で勝率5割を上回る数字を残している埼玉西武も、リーグ連覇を争うに相応しいチーム力の高さを示している。

 しかし、3位の千葉ロッテと4位楽天の2チームは僅差の試合での勝率が.500を割り込んでおり、オリックスは接戦時の成績はリーグ2位ながら、ペナントレースでは最下位へと沈んでいる。このように、必ずしも接戦に強いチームが上位に位置するというわけでもない、ということも同時に見えてきたと言えそうだ。

 なかなかベストメンバーが揃わない中で試合巧者ぶりを見せつけ、僅差の試合を確実に勝利に結び付けてきた福岡ソフトバンクと、圧倒的な打力を武器に、点差を問わずに強さを発揮してきた埼玉西武。大きくチームカラーの異なる2チームによって繰り広げられている優勝争いが“セオリー通り”の結末を迎えるのか否かにも、ぜひ注目してみてはいかがだろうか。