埼玉西武十亀、約2か月ぶり5勝目の舞台裏「優勝できてよかったと言い切りたい」

2019-09-20 10:38 「Full-Count」編集部
埼玉西武・十亀剣※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

埼玉西武・十亀剣※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

勝てない時期にトイレ掃除、衣類も新品にした過去も

■埼玉西武 2-0 北海道日本ハム(19日・メットライフ)

 埼玉西武の十亀剣投手が19日の北海道日本ハム戦(メットライフ)に先発し、8回途中4安打無四球無失点の快投で5勝目を挙げ、チームの優勝マジックを「5」に減らした。

「(シーズンの)最後くらいはチームの役に立ちたい」と快投を誓ったマウンドで躍動した。初回からストライク先行のピッチングでリズムに乗ると、緩急を自在に操り北海道日本ハム打線を封じた。テンポよくアウトを重ね、5回まで許した安打はわずか1本のみ。6回2死から連打でこの日初めて得点圏に走者を背負ったが、近藤を二ゴロに仕留め得点を与えなかった。7回は4番・中田から始まる中軸を3者凡退。8回もマウンドに上がったが、無死から代打・杉谷に右前打を許したところでお役御免。救援陣が後続を断ち、無失点リレーで快勝した。約2か月ぶりに5勝目を挙げた十亀は「甘い球も多かったけど、相手の打ち損じと、味方のいい守備に助けられました」と安堵の表情を浮かべた。

 この日は最高の場面で大仕事をやってのけたが、決して順風満帆なシーズンではなかった。2018年シーズンを終え、南郷で行われた秋季キャンプにはコンディション不良で不参加。その影響もあり、今年1月下旬に発表された春季キャンプA班(1軍)メンバーに十亀の名前はなかった。開幕1軍入りを逃し、4月下旬に1軍昇格を果たしたが、試合前まで4勝6敗で防御率は4.83。7月16日に4勝目を挙げてから約2か月間、白星から遠ざかっていた。

昨季10年ぶりリーグ優勝も「その輪に加われない気持ちがあった」

 勝てない時期が続くのは、これが初めてではない。「1回負けたくらいじゃなにも変えないけど、前にも1か月半くらい勝てなかった時期があった。その時はトイレ掃除もしたし、靴も、靴下も、ユニホームも新しいものを出したりもした」と過去の苦しい時期を振り返る。当時、埼玉西武に在籍していた岸(楽天)からは白星から遠ざかっている時期の気持ちのコントロールについて助言を受けたこともあった。

「結局、僕たちは受け身の仕事。点を取ってもらわないと勝てないんです。だから、ある程度自分の仕事をできたと思えば、負けても次に準備できればいい。それを『(勝てなかったから)ダメ』と言い始めたら、どんどん気持ちが下に行ってしまう」。気持ちを切り替え、整理するようになった。勝ちに恵まれない時期にも、自分のやるべきことに集中した。今年はプロ8年目にして通算50勝にも到達。17試合に先発しクオリティースタート達成(6回以上を投げ自責3以内)は10回と、安定した投球で試合を作っている。

 昨年チームは10年ぶりのリーグ優勝を果たしたが、自身は5勝8敗、防御率4.42だった。「その輪に加われない気持ちがあった」と言う十亀。高知で行われていたB班(2軍)キャンプで投げ込みを行ったあと、大粒の汗を拭いながら「もう少ししっかり形として残るような結果を出して、堂々と『優勝できてよかった』と言い切りたい」と話したこともあった。この日は詰めかけた大勢のレオ党の前で8回途中を0封。リーグ連覇をぐっと引き寄せる快投を見せた。お立ち台に呼ばれると「僕の勝ち負けはどうでもよくて。残り少ないマジックの中で自分ができることは、今日のような投球を見せるしかない」と胸を張った。優勝へのマジックはいよいよ「5」。歓喜と勝利の美酒に酔いしれる日は、そう遠くはない。

(安藤かなみ / Kanami Ando)