三振の数は好成績につながる? 過去10年の最多三振と、歴代10傑の顔ぶれは

2019-10-19 12:00 「パ・リーグ インサイト」望月遼太

《THE FEATURE PLAYER》L中村 ゆったりとした動きから放たれる『美しい放物線』まとめ

リーグ最多の三振数は、それだけ多くの打席に立った証でもある

 首位打者、本塁打王、打点王といった主要な打撃タイトルをはじめ、盗塁王、最多安打、最高出塁率といったタイトルに関しては、シーズン中からその行方が注目を集めるものだ。だが、最多三振や最多併殺打のような、いわゆる不名誉なタイトルが話題になる機会はかなり少ない。もっとも、記録の性質を考えても、それは至極当然のことであろう。

 しかし、リーグ最多の三振を喫した選手は、裏を返せばそれだけ多くの打席に立ったということでもある。すなわち、その選手には多くの三振に目をつぶっても起用するだけの価値があるということだ。そして、実際にリーグ最多三振を喫した選手たちの成績を確認してみると、単なるネガティブな記録というだけでは片づけられない、興味深い傾向も同時に見えてきた。

 そこで、今回は過去10年間のパ・リーグにおいて、リーグ最多の三振数を喫した打者たちの成績を紹介。NPBの歴代シーズン最多三振10傑の成績についても確認し、それらの打者たちの傾向や、成績との相関性についても見ていきたい。

長距離砲がズラリと顔を並べる中で……

 過去10シーズンのパ・リーグにおいて、リーグ最多の三振数を喫した打者たちの顔ぶれは以下の通り。(所属は当時)

2010年
山崎武司氏(楽天)
シーズン成績:
147三振 141試合129安打 28本塁打93打点 打率.239 OPS.749

2011年
陽岱鋼選手(北海道日本ハム)
シーズン成績:
134三振 141試合147安打 6本塁打36打点 打率.274 OPS.673‬

中村剛也選手(埼玉西武)
シーズン成績:
134三振 144試合141安打 48本塁打116打点 打率.269 OPS.973
獲得タイトル:本塁打王、打点王、ベストナイン(三塁手)

2012年
ウィリー・モー・ペーニャ氏(福岡ソフトバンク)
シーズン成績:
130三振 130試合129安打 21本塁打76打点 打率.280 OPS.829
獲得タイトル:ベストナイン(指名打者)

2013年
アンドリュー・ジョーンズ氏(楽天)
シーズン成績:
164三振 143試合116安打 26本塁打94打点 打率.243 OPS.845

2014年
エルネスト・メヒア選手(埼玉西武)
シーズン成績:
156三振 106試合115安打 34本塁打73打点 打率.290 OPS.950‬
獲得タイトル:本塁打王、ベストナイン(一塁手)

2015年
中村剛也選手(埼玉西武)
シーズン成績:
172三振 139試合145安打 37本塁打124打点 打率.278 OPS.926
獲得タイトル:本塁打王、打点王、ベストナイン(三塁手)

2016年
エルネスト・メヒア選手(埼玉西武)
シーズン成績:
148三振 137試合129安打 35本塁打103打点 打率.252 OPS.842‬

2017年
T-岡田選手(オリックス)
シーズン成績:
141三振 143試合134安打 31本塁打68打点 打率.266 OPS.862‬

2018年
山川穂高選手(埼玉西武)
シーズン成績:
138三振 143試合152安打 47本塁打124打点 打率.281 OPS.986
獲得タイトル:本塁打王、パ・リーグMVP、ベストナイン(一塁手)

2019年
浅村栄斗選手(楽天)
シーズン成績:
162三振 143試合139安打 33本塁打92打点 打率.263 OPS.879

 陽選手を除いた9人中8人が長距離砲タイプの打者となったのは、イメージ的にもある程度納得のいくところかもしれない。その陽選手以外の全てのケースで20本塁打以上が記録されており、30本塁打以上も7度。三振数がリーグで一番多かったからといって、決して不振に陥っていたというわけではないという事実が、数字からも読み取れる。

 また、2011年と2015年の2度、リーグ最多の三振数を記録した中村選手は、その両方のシーズンで本塁打王と打点王の2冠を達成。当時は「中村選手が規定打席に到達したシーズンには、必ず本塁打王のタイトルを取る」という法則が継続していた時期でもあり、中村選手にとって、三振の多さはそれだけ多くの打席に立てたという証でもあったかもしれない。

 また、その中村選手の同僚でもあるメヒア選手も負けず劣らず豪快だ。とりわけ、来日初年度の2014年には、シーズン途中入団ながら本塁打王と三振王の“2冠”に輝く離れ業を演じている。リーグ最多の三振を記録した2シーズンはいずれも34本以上の本塁打を記録しており、こちらも三振数がとりわけ多いシーズンにはかなりの好成績を収めていると言えそうだ。

 ほか、先述の中村選手になぞらえ「おかわり2世」と呼ばれていた山川選手、MLB通算434本塁打・1748三振とまさに規格外の助っ人だったジョーンズ氏、統一球の影響でNPB全体の打撃成績が下降する中で好成績を残してベストナインに選ばれたペーニャ選手、史上3人目の両リーグ本塁打王・山崎氏、2010年のパ・リーグ本塁打王でもあるT-岡田選手といった、印象深いホームランバッターたちが顔を並べている。

 そんな中で、2013年には盗塁王に輝き、北海道日本ハムでリードオフマンや3番打者を務めていた陽選手は、タイプとしてはやや異質に映る。ただ、2011年から2016年までの6年間で5度の100三振超えを記録し、通算1277試合の出場で1073三振を喫するなど、元々三振の多い打者でもあった。それでいて、キャリア通算の出塁率は.332と決して悪くはなく、三振の多い打者は無条件でトップバッターには不適格、とはならないことを教えてくれる存在だ。