「現役高校生がプロになった理由」千葉ロッテマリーンズ代表選手・柳虎士郎インタビュー

2020-01-11 11:58 「パ・リーグ インサイト」編集部
千葉ロッテマリーンズ代表選手・柳虎士郎(ゆさ)(C)PLM

千葉ロッテマリーンズ代表選手・柳虎士郎(ゆさ)(C)PLM

 プロになったら、年齢は関係ない。千葉ロッテ・柳虎士郎選手は、「eBASEBALL全国中学高校生大会 -共同通信デジタル杯-」で優勝した現役高校生のプロプレイヤーだ。彼の驚くべき点はプレイ歴わずか数カ月でプロになったところだろう。なぜ、彼はパワプロを始め、そしてプロになったのか。

きっかけは他のゲームの憧れのプレイヤーから。わずか半年でプロになれた背景

 柳選手はもともと、パワプロとは別のゲームを熱心にプレイしていた。そのゲームでトッププレイヤーだった憧れの人は巨人の吉田友樹選手。そんな吉田選手がプロリーグに参加すると、試合を見ているうちに「自分もやってみたい」と思い、小学生の頃に少しだけやっていたパワプロを2019年の1月から本格的に始めた。

 本格的に取り組むと、すぐに結果が出た。夏場に行われた「eBASEBALL全国中学高校生大会 -共同通信デジタル杯-」で優勝を飾ると、そのまま「eドラフト会議」で千葉ロッテから4巡目で指名を受け、憧れの吉田選手と同じプロの舞台に立つことになった。

「ここまでこれたのは周りの人たちの支えや教えのおかげ。師匠にあたる福岡ソフトバンクホークスの三好航太郎選手にパワプロを始めた当初に一から教えてもらったりもしました。本当に周りの人のおかげですね」

 中高生大会優勝の看板を引っ提げ、鳴り物入りでプロリーグに参戦した超新星。本格的に始めてからわずか半年でプロになれた背景には、周りの人たちによる支えがあった。

中高生大会に出場したきっかけ。優勝した時の心境を語る

 柳選手を語る上で外せないのが「eBASEBALL全国中学高校生大会 -共同通信デジタル杯-」だ。出場のきっかけをたずねると、相方探しに苦労したという。

「Twitterで回ってきてHPを確認したら、同じ学校の2人でペアを組まなきゃいけなかったんです。『これ無理じゃん』って思ったんですけど、同じブロックなら誰でもペア組めるようになり、相方探しをしているときに『PAWABACS』という千葉ロッテの下山祐躍選手が作ったチームに入りました。するとチームに高校3年生のゼブラ選手がいて、同じ関東圏だったので、声をかけて一緒に出ることになりました」

 そんなゼブラ選手とペアを組むと、都道府県予選、ブロック予選を順調に勝ち進み、全国大会へ。全国の大舞台でも柳選手らしく楽しんでプレイし、見事に優勝を飾った。

「正直、優勝できるとは思っていなかったです。仲が良い夕雪選手が確実に決勝に来るのは分かっていた。ただ、練習だと通算成績が4勝26敗くらいで、自信なく決勝に挑んだんですけど、いざ始まると楽しくできた。動画見返すとわかるんですけど、すごく楽しんでいるんです。いつも以上のプレイができたのは、本番に強いのかなと、今も自信になっています。いつもここまで楽しくやっている訳ではないんですけど、自分で見返しても変わってると思います。試合中は楽しく!」

 通算成績で大きく負け越している好敵手に全国の舞台でリベンジ。プロリーグではホームランパフォーマンスも披露するなど、誰よりもパワプロを楽しむことが、柳選手の強さにつながっている。

周囲からのアドバイスで急成長。「プロ」を目指したきっかけ

 中高生大会で輝かしい成績を残し、競技シーンに名を轟かせた柳選手。彗星のごとく現れた彼は、いつ頃から「プロ」を意識し始めたのか。

「プロリーグに挑戦しようと思ったのは5月頃。その頃に1週間くらいで急に成長したんです。というのも、現在のチームメイトである町田和隆選手に「打撃どうやって打つんですか」と聞くと、「ペナントでCPUと試合するときに球速のレベルを速くしたら甘い球全部打てるよ」と言われ、試してみたら一気にレートが上がって。はまったんですよ。あれがなかったらずっとそこに停滞していたかな。急成長によってプロ目指そうという意識が生まれたのがきっかけです」

 周囲からのアドバイスで急成長。三好選手に基礎を教わり、町田選手からは打撃、下山選手には試合への入り方と投球を教えてもらったという。多くのプレイヤーから影響を受け、成長を続けていた彼は周囲からどう思われていたのか。

「応援してもらったり、さまざまなことを教えてもらってはいたんですけど、正直、そんなに期待はされていなかったと思うんです。中高生大会は、2年前から競技シーンにいる夕雪選手が優勝するという予想の元、試合を見ていたと思うので、僕はたまたま勝った人ぐらい。期待自体はされていなかったと思います」

 そんななかで大きな実績を積んだ柳選手。中高生大会での優勝をきっかけに、家族もプロになることを応援してくれるようになり、大きな後押しとなった。

「プロ」と「学業」の両立。現役高校生ならではの悩みも

 その後「eBASEBALL プロリーグ」2019シーズン プロテストオンライン予選、オフライン選考会で結果を残し、eドラフト会議で千葉ロッテから指名を受け憧れのプロの仲間入り。パワプロを本格的に始めてからわずか8カ月でプロプレイヤーとなった。そんな彼も「学業」との両立には多少苦労しているようだ。

「勉強はあまり得意ではないんですよ。受験勉強を頑張って良い高校に入ったんですけど、そこから崩れちゃって(笑)なんとか食いつこうとはしているんですけど…… 。プロとの両立も頑張っていますが、時間がなくて難しいです。でも、両立できないことはないと思います!」

 現役高校生である以上学業をおろそかにすることはできない。難しい立場にいる彼は、「プロ」と「学業」を両立し、高校生プレイヤーとしてやっていける自信はあったのか。

「学業に大きな変化はないと思っていました。心配は心配ですけど、今までと変わらない。一番心配していたのはプロで自分が通用するのかというところ。プロのなかで自分が一番弱い立場、一番実力が低いというのは自覚していました。そこが心配でしたが、ドラフト4巡目ですし、先輩方も強いから失うものはないという意識で楽しくやろうと思って。そしたら初戦で、昨季もプロを経験されている方に引き分け、横浜DeNA戦、中日戦では勝つことができて、意外と成績自体も悪くなかった」

「オリックス戦で負けた原因は、完全に優勢で悪いところがあまりなかったので、甘えてしまったのが明らかな敗因でした。『楽しむ』ことを忘れてしまっていた。連勝していたので『勝たなきゃ』という意識になってしまい、結果は1対5という結果になってしまった。『楽しむ』のが、緊張感を楽しみに変えられることが自分の強みかな」

 節々に出てくる「楽しむ」――その言葉に柳選手の強さが隠されていた。

チームメイトは頼れる先輩たち。リーグ優勝、そして日本一へ

 チーム内では最年少の柳選手。年上の仲間たちと良い雰囲気でプロリーグを楽しめているという。

「町田選手とは終始肩を組んでいたり、どっちが年上なのかなという感じです(笑)終控室でもあの感じなので仲良いですね。清野選手とは他のゲームで遊んだりもします。下山選手も…… 仲良いです(笑)厳しいところは厳しいですが、優しいときは優しいです。このチームじゃなかったら、この成績残せてないと思うので。本当にチームで支え合ってこその自分だなと思います」

 プロ野球の千葉ロッテ同様、勝利パフォーマンス「We are」で会場を盛り上げるなど、仲の良さ、そして明るい雰囲気が感じられる。そんな最高のチームメイトとともに臨む最終第5節。優勝が懸かる試合への決意を語ってもらった。

「やるしかない。勝つしかない。勝てば優勝。負けたらBクラスもあり得る。でも勝たなきゃいけないなんて思わずに、程よい緊張感を楽しさに変え、気楽に、楽しくやっていこうと思います。勝つのみです」

「優勝」――最高のチームメイトとただ一つの目標に向かって精進する「超新星」から目が離せない。