期待値は高い? 過去5年間で “国内移籍した外国人選手” 11人を振り返る

2020-01-31 17:00 「パ・リーグ インサイト」望月遼太
千葉ロッテマリーンズ・レアード選手(C)パーソル パ・リーグTV

千葉ロッテマリーンズ・レアード選手(C)パーソル パ・リーグTV

 新シーズンも多くの助っ人選手が海を渡り、日本球界で新たな第一歩を踏み出そうとしている。しかし、全ての外国籍選手が日本球界に適応し、好成績を残せるわけではない。その点、既に他球団で日本球界での実績を積んでいる助っ人を獲得するほうが、リスクが少ないのは確かだ。

 過去には、ホセ・フェルナンデス氏(千葉ロッテ→埼玉西武→楽天→オリックス→埼玉西武→楽天→オリックス)やホセ・オーティズ氏(オリックス→千葉ロッテ→福岡ソフトバンク→埼玉西武)のように、パ・リーグの複数球団を渡り歩いて着実に実績を残してきた、いわゆる“おなじみ”の助っ人選手も存在した。

 しかし、近年は各球団が自前で助っ人選手を獲得するケースが増加し、国内チーム間での外国籍選手の移籍は少なくなっていた。ところが、今季は過去数年に比べ、助っ人選手の国内移籍がやや多くなっている。今季、国内の球団からパ・リーグのチームに移籍した外国籍選手は以下の通りだ。

クリスチャン・ビヤヌエバ選手(巨人→北海道日本ハム)
フランク・ハーマン投手(楽天→千葉ロッテ)
ウラディミール・バレンティン選手(東京ヤクルト→福岡ソフトバンク)

 ほか、セ・リーグでも阪神が前福岡ソフトバンクのロベルト・スアレス投手を獲得している。また、千葉ロッテが獲得したジェイ・ジャクソン投手も、2016年から2018年に広島で中継ぎとしてプレーし、セ・リーグ3連覇に貢献した実績の持ち主だ。いずれも日本球界でのプレー経験を持っており、そのプレーぶりが事前にイメージしやすい面はあるだろう。

 そこで、今回は直近5年間のシーズンにおいて、国内球団からパ・リーグ球団に移籍した助っ人選手たちと、移籍前後の成績を紹介。先人たちの活躍を振り返るとともに、国内球団を渡り歩く選手たちの期待値について考えていきたい。

・2015年
キャム・ミコライオ氏(広島→楽天)

2014年:51試合 1勝1敗 7ホールド25セーブ 47.2回 29奪三振 防御率2.45
2015年:登板なし

ウィリー・モー・ペーニャ氏(オリックス→楽天)
2014年:140試合 502打数128安打 32本塁打 90打点 124三振 打率.255 出塁率.344 OPS.830
2015年:125試合 406打数109安打 17本塁打 40打点 111三振 打率.268 出塁率.396 OPS.844‬

チェン・グァンユウ投手(横浜DeNA→千葉ロッテ)
2014年:1試合 0勝0敗 2.1回 3奪三振 防御率11.57
2015年:14試合 5勝4敗 61.1回 47奪三振 防御率3.23

ブライアン・バリントン氏(広島→オリックス)
2014年:23試合 9勝8敗 131.2回 85奪三振 防御率4.58
2015年:14試合 5勝3敗 73.2回 46奪三振 防御率3.30

トニ・ブランコ選手(横浜DeNA→オリックス)
2014年:85試合 311打数88安打 17本塁打60打点 91三振 打率.283 出塁率.330 OPS.822
2015年:52試合 165打数32安打 9本塁打24打点 53三振 打率.194 出塁率.286 OPS.650

 前年に勝率わずか2厘の差で優勝を逃したオリックスは、悲願のリーグ制覇に向けて大型補強を敢行。日本球界での豊富な実績を持つバリントン氏とブランコ選手の獲得もその一環だったが、ブランコ選手は中日と横浜DeNAで見せた猛打を発揮できず。バリントン氏は投球内容こそ悪くなかったものの故障で14試合の登板に留まり、両助っ人の誤算はチームにとっても少なからず痛手となってしまった。

 楽天もミコライオ氏とペーニャ氏という実績十分な2選手を獲得したが、ミコライオ氏は椎間板ヘルニアの影響で2015年は1試合も登板できず。とはいえ、翌2016年には45試合で28ホールドポイント、防御率2.38と本来の実力を発揮している。ペーニャ氏は前年に比べて本塁打と打点を減らした代わりに、出塁率を大幅に向上させた結果OPSも増加。大きくモデルチェンジした姿を見せた。

 2014年に横浜DeNAを自由契約となったチェン投手は、新天地の千葉ロッテで左の先発として存在感を発揮。チームのAクラス入りに貢献すると、その後も先発・中継ぎと役割を変えながら貴重な左腕として活躍を続けた。来季でチーム在籍6年目を迎える台湾出身のサウスポーは、今や幕張のファンにとってもおなじみの存在となっている。

・2016年
ジェイソン・スタンリッジ氏(福岡ソフトバンク→千葉ロッテ)

2015年:23試合 10勝7敗 144.1回 81奪三振 防御率3.74
2016年:27試合 8勝8敗 162回 99奪三振 防御率3.56

ブライアン・ウルフ氏(福岡ソフトバンク→埼玉西武)
2015年:2試合 0勝1敗 9回 3奪三振 防御率11.00
2016年:4試合 4勝0敗 23.2回 8奪三振 防御率3.04

 日本球界9年目、当時38歳と大ベテランの域に達していたスタンリッジ氏だったが、年齢を感じさせないピッチングを見せてチームを支えた。打線とかみ合わない試合もあり3年連続の2桁勝利こそ逃したが、規定投球回に到達して防御率は3点台と安定した投球を披露。ローテーションの一角として堅実な働きで首脳陣の期待に応え、チームのAクラス入りにも貢献を果たした。

 スタンリッジ投手と同じく前年に福岡ソフトバンクから自由契約となったウルフ氏は、シーズン開幕後の7月下旬に埼玉西武と契約。過去2年間は相次ぐ故障に苦しめられていたが、新天地では登板した4試合すべてで白星を挙げる素晴らしい活躍を見せた。翌年も開幕から夏場までは安定感抜群の投球を続け、チームのAクラス入りに貢献。その実力をあらためて証明している。

・2017年
アルフレド・デスパイネ選手(千葉ロッテ→福岡ソフトバンク)

2016年:134試合 496打数139安打 24本塁打92打点 89三振 打率.280 出塁率.361 OPS.841
2017年:136試合 478打数125安打 35本塁打103打点 119三振 打率.262 出塁率.347 OPS.860
獲得タイトル:本塁打王、打点王、ベストナイン(指名打者)

ルイス・クルーズ選手(巨人→楽天)
2016年:81試合 298打数75安打 11本塁打37打点 40三振 打率.252 出塁率.280 OPS.689
2017年:13試合 37打数6安打 0本塁打2打点 4三振 打率.162 出塁率.162 OPS.378
(2017年の数字は楽天移籍後のもの)

 前年まで3シーズンにわたって千葉ロッテの主砲を務めたデスパイネ選手は、ホームランテラスが設置されたヤフオクドームにおいてその打棒にますます磨きをかけた。確実性こそ落としたが、そのぶん長打力はさらに向上し、自身初となる30本塁打・100打点超えを記録。来日後初めてとなる打撃タイトルも2つ同時に獲得し、補強の目玉としての期待に応えてチームの日本一にも大きく貢献した。

 クルーズ選手は茂木栄五郎選手、カルロス・ペゲーロ選手、藤田一也選手といった主力選手たちが相次いで故障で戦列を離れたことを受け、遊撃手を守れる存在として白羽の矢が立ち、7月末に緊急補強として巨人から楽天に移籍。2015年まで在籍していた千葉ロッテ時代以来のパ・リーグ復帰となった。だが、打撃面で精彩を欠いて前年から大きく成績を落としてしまい、苦しむチームの救世主とはなれなかった。

・2018年
なし

・2019年
ブランドン・レアード選手(北海道日本ハム→千葉ロッテ)

2018年:120試合 450打数105安打 26本塁打65打点 124三振 打率.233 出塁率.309 OPS.756
2019年:139試合 487打数121安打 32本塁打89打点 128三振 打率.248 出塁率.333 OPS.816

スティーブン・モヤ選手(中日→オリックス)
2018年:46試合 93打数28安打 3本塁打16打点 25三振 打率.301 出塁率.347 OPS.788‬
2019年:64試合 242打数59安打 10本塁打35打点 59三振 打率.244 出塁率.278 OPS.675
(2019年の数字はオリックス移籍後のもの)

 2018年に故障の影響で来日以来3年間続いていた30本塁打・90打点の記録が途絶えたレアード選手だったが、新天地で迎えた2019年は開幕から絶好調を維持して打線をけん引。終盤に大きく調子を落としたものの、32本塁打・89打点と北海道日本ハム時代とほぼ同水準の好成績を記録。期待通りの活躍で前年まで深刻な長打力不足に悩まされたチームを支え、幕張でも陽気なキャラと「寿司ポーズ」でファンの人気を集めた。

 ロメロ選手の故障もあって同じく長打力不足に陥っていたオリックスは、シーズン途中の6月末に中日からトレードでモヤ選手を獲得。中日時代は外国人枠の影響もあって一軍での出場機会が多くはなかったが、オリックスでは64試合で10本塁打を放って長打力の片りんを見せた。まだ28歳と今後の成長も見込める年齢であり、大物助っ人のアダム・ジョーンズ選手が新たに加入する来季は相乗効果でさらなる進化を見せてくれるか。

本来の実力を出しきれなかったのは11人中2人のみ

 今回取り上げた選手たちの中で、移籍先のチームにおいて本来の実力を出しきれなかったのはブランコ選手とクルーズ選手の2名のみ。もちろん、過去には移籍前から大きく成績を落とした国内移籍組も少なからず存在したが、近年の例においてはおしなべて期待値は高いと言えそうだ。

 2018年には国内球団からパ・リーグの球団に移籍した外国籍選手が1人も存在せず、2016年、2017年、2019年も開幕の時点で同条件を満たしていたのはそれぞれ1人だけ。傾向的にも明らかに少なくなっていた中で、今季は国内移籍組がすでに3人も存在することは特筆すべきことではなかろうか。

 近年活躍してきた先達たちと同様に、今オフに国内移籍を選択した選手たちも、新天地の首脳陣の期待に応えるようなプレーを披露できるか。その能力を見込まれてチームに迎えられる選手たちが、まさに“助っ人”の呼び名にふさわしい働きを見せてくれることに期待したいところだ。

望月遼太

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