オープン戦で不振でもシーズン成績は心配無用? 過去5年間、合計27名の“復活例”を紹介

2020-03-23 18:52 「パ・リーグ インサイト」望月遼太
北海道日本ハム・近藤健介選手

北海道日本ハム・近藤健介選手

「オープン戦とシーズンの成績は別物」とよく言われるが……

 3月15日、2020年におけるオープン戦の全日程が終了した。オープン戦首位打者の座には打率.378を記録した阪神の大山悠輔選手が輝いたが、その一方で満足のいく成績を残せなかった選手たちもまた存在する。この時期の数字は、開幕一軍入りや開幕戦のスタメン争いに向けても重要なものとなってくる。そのため、選手本人のみならず、その選手を応援しているファンにとっても、オープン戦での好不調は気になるものかもしれない。

 しかし、オープン戦で不振に陥りながらもシーズンに入ってからは調子を取り戻し、レギュラーとして十分な成績を残した選手たちも過去には多く存在してきた。オープン戦の成績とシーズンに入ってからの活躍は別物と言われることは少なくないが、そのような過去の歴史がその理由の一端となっていることだろう。

 今回は、そういった過去の具体例について紹介していきたい。直近の5年間において、オープン戦で規定打席に到達しながら打率.250以下に終わった選手たちの中から、レギュラーシーズンで一定以上の成績を残した面々は以下の通りとなっている。(所属は当時)

・2015年
ブランドン・レアード選手(北海道日本ハム)

オープン戦:13試合 44打数8安打 2本塁打5打点 打率.182 出塁率.245
年間成績:143試合 498打数115安打 34本塁打97打点 打率.231 出塁率.301

浅村栄斗選手(埼玉西武)
オープン戦:10試合 35打数4安打 1本塁打5打点 打率.114 出塁率.162
年間成績:141試合 537打数145安打 13本塁打81打点 打率.270 出塁率.362

山田哲人選手(東京ヤクルト)
オープン戦:11試合 50打数11安打 1本塁打5打点 打率.220 出塁率.245
年間成績:143試合 557打数183安打 38本塁打100打点 打率.329 出塁率.416
獲得タイトル:本塁打王、盗塁王(34盗塁)、最高出塁率、セ・リーグMVP

川端慎吾選手(東京ヤクルト)
オープン戦:14試合 48打数11安打 0本塁打2打点 打率.229 出塁率.260
年間成績:143試合 581打数195安打 8本塁打57打点 打率.336 出塁率.383
獲得タイトル:首位打者、最多安打

亀井善行選手(巨人)
オープン戦:18試合 52打数9安打 0本塁打6打点 打率.173 出塁率.232
年間成績:109試合 382打数104安打 6本塁打35打点 打率.272 出塁率.338

鈴木大地選手(千葉ロッテ)
オープン戦:15試合 58打数11安打 0本塁打4打点 打率.190 出塁率.242
年間成績:142試合 487打数128安打 6本塁打50打点 打率.263 出塁率.330

田中広輔選手(広島)
オープン戦:10試合 33打数3安打 0本塁打1打点 打率.091 出塁率.184
年間成績:141試合 543打数149安打 8本塁打45打点 打率.274 出塁率.325

鈴木誠也選手(広島)
オープン戦:12試合 39打数8安打 1本塁打3打点 打率.205 出塁率.225
年間成績:97試合 211打数58安打 5本塁打25打点 打率.275 出塁率.329

中村晃選手(福岡ソフトバンク)
オープン戦:17試合 54打数12安打 1本塁打2打点 打率.222 出塁率.333
年間成績:135試合 506打数152安打 1本塁打39打点 打率.300 出塁率.386

柳田悠岐選手(福岡ソフトバンク)
オープン戦:14試合 49打数12安打 2本塁打8打点 打率.245 出塁率.315
年間成績:138試合 502打数182安打 34本塁打99打点 打率.363 出塁率.469
獲得タイトル:首位打者、最高出塁率、パ・リーグMVP

 同年に首位打者と最多安打の2冠に輝いた川端選手をはじめ、レギュラーシーズンで結果を残した面々の中にも、オープン戦で苦しんでいた選手が多かった。2015年といえば柳田選手と山田選手がトリプルスリーの快挙を達成した年だ。しかし、両選手ともにオープン戦では打率.250を下回っており、オープン戦から好調というわけではなかったのが興味深いところだ。

 山田選手は4月終了時点で打率.269と、オープン戦同様に序盤はやや不振だった。だが、5月に入ってから状態を上げていき、5月終了時点では打率.302と本来の打撃を取り戻していた。一方、柳田選手は開幕の時点ですでに調子を取り戻しており、4月終了時点で打率.350とハイペースで安打を量産。そこから最後まで打率.360前後のハイアベレージを維持し続けた。同じトリプルスリー達成者であっても、その調子の推移は大きく異なっている。

2016年
中島卓也選手(北海道日本ハム)

オープン戦:15試合 49打数7安打 0本塁打2打点 打率.143 出塁率.192
年間成績:143試合 473打数115安打 0本塁打28打点 打率.243 出塁率.333

 前年とは異なり、オープン戦で不振に陥りながらレギュラーシーズンで大きな活躍を見せた選手はほぼ存在せず。中島卓也選手も打率.243と絶好調とはいえなかったが、攻守に堅実な働きを見せてチームの大逆転優勝にも貢献している。ちなみに、この年のオープン戦で規定打席に到達しながら成績が芳しくなかった選手には、外崎修汰選手、中村奨吾選手、岡本和真選手、高橋周平選手がおり、後の活躍に向けた糧の一つとなった可能性もありそうだ。

2017年
近藤健介選手(北海道日本ハム)

オープン戦:17試合 61打数11安打 0本塁打9打点 打率.180 出塁率.261
年間成績:57試合 167打数69安打 3本塁打29打点 打率.413 出塁率.567

西川遥輝選手(北海道日本ハム)
オープン戦:19試合 63打数14安打 1本塁打6打点 打率.222 出塁率.372
年間成績:138試合 541打数160安打 9本塁打44打点 打率.296 出塁率.378
獲得タイトル:盗塁王(39盗塁)

山川穂高選手(埼玉西武)
オープン戦:12試合 36打数6安打 1本塁打3打点 打率.167 出塁率.286
年間成績:78試合 242打数72安打 23本塁打61打点 打率.298 出塁率.420

ケーシー・マギー氏(巨人)
オープン戦:19試合 54打数8安打 0本塁打3打点 打率.148 出塁率.246
年間成績:139試合 523打数165安打 18本塁打77打点 打率.315 出塁率.382

ホセ・ロペス選手(横浜DeNA)
オープン戦:16試合 56打数8安打 2本塁打11打点 打率.143 出塁率 .153
年間成績:142試合 569打数171安打 30本塁打105打点 打率.301 出塁率.330
獲得タイトル:打点王、最多安打

アレックス・ゲレーロ選手(中日)
オープン戦:17試合 50打数10安打 3本塁打10打点 打率.200 出塁率.333
年間成績:130試合 469打数131安打 35本塁打86打点 打率.279 出塁率.333
獲得タイトル:本塁打王

T-岡田選手(オリックス)
オープン戦:15試合 51打数11安打 1本塁打7打点 打率.216 出塁率.250
年間成績:143試合 504打数134安打 31本塁打68打点 打率.266 出塁率.374

安部友裕選手(広島)
オープン戦:17試合 62打数1安打 1本塁打2打点 打率.161 出塁率.188
年間成績:123試合 413打数128安打 4本塁打49打点 打率.310 出塁率.354

柳田悠岐選手(福岡ソフトバンク)
オープン戦:16試合 52打数12安打 2本塁打9打点 打率.231 出塁率.310
年間成績:130試合 448打数139安打 31本塁打99打点 打率.310 出塁率.426
獲得タイトル:最高出塁率

 近藤選手はシーズンでは夢の打率.400超えの可能性を感じさせるほどの驚異的な打撃を見せていたが、同年のオープン戦では意外にも苦戦を強いられていた。柳田選手、西川選手といった、この年のタイトルホルダーたちも同様だ。セ・リーグにおいても、主要打撃タイトルを獲得したロペス選手とゲレーロ選手に加え、セ・リーグ新記録のシーズン48二塁打を記録したマギー氏も、オープン戦ではかなりの不振にあえいでいたことがわかる。

2018年
山川穂高選手(埼玉西武)

オープン戦:16試合 59打数8安打 2本塁打7打点 打率.136 出塁率.227
年間成績:143試合 541打数152安打 47本塁打124打点 打率.281 出塁率.396
獲得タイトル:本塁打王、パ・リーグMVP

桑原将志選手(横浜DeNA)
オープン戦:15試合 48打数8安打 0本塁打2打点 打率.167 出塁率.184
年間成績:127試合 379打数99安打 9本塁打26打点 打率.261 出塁率.324

井上晴哉選手(千葉ロッテ)
オープン戦:14試合 40打数8安打 1本塁打9打点 打率.200 出塁率.289
年間成績:133試合 476打数139安打 24本塁打99打点 打率.292 出塁率.374

 山川選手は前年に続いてオープン戦では調子が上がらなかったが、シーズンに入ってからは4番打者として強力打線をけん引。自身初の本塁打王を獲得し、パ・リーグのMVPにも輝いている。井上選手もオープン戦では苦しんだものの、シーズンでは4番に定着し、現時点でのキャリアハイとなる飛躍の1年を過ごした。桑原選手も3年連続の規定打席到達こそ逃したが主力として活躍を見せ、7月20日にはサイクルヒットの快挙も達成している。

2019年
浅村栄斗選手(楽天)

オープン戦:14試合 38打数7安打 1本塁打5打点 打率.184 出塁率.304
年間成績:143試合 529打数139安打 33本塁打92打点 打率.263 出塁率.372

坂本勇人選手(巨人)
オープン戦:15試合 44打数8安打 3本塁打7打点 打率.182 出塁率.302
年間成績:143試合 555打数173安打 40本塁打94打点 打率.312 出塁率.396
獲得タイトル:セ・リーグMVP

大島洋平選手(中日)
オープン戦:17試合 57打数12安打 0本塁打2打点 打率.211 出塁率.237
年間成績:143試合 558打数174安打 3本塁打30打点 打率.312 出塁率.376
獲得タイトル:最多安打

西川龍馬選手(広島)
オープン戦:16試合 44打数9安打 1本塁打6打点 打率.205 出塁率.314
年間成績:138試合 535打数159安打 16本塁打64打点 打率.297 出塁率.336

 移籍1年目となった浅村選手はオープン戦では苦しんだが、レギュラーシーズンに入ってからはしっかりと期待に応える打撃を見せた。打点王に輝いた前年に比べて打率と打点をやや落としこそしたが、打線の中心として全試合に出場し、チームのAクラス入りにも貢献している。セ・リーグでは、チームのリーグ優勝に大きく貢献してシーズンMVPにも選出された坂本選手や、最多安打を記録した大島選手もオープン戦の不振から立ち直っている。

直近5年間において、複数回オープン戦の不振から立ち直った選手も3名存在

 柳田選手、浅村選手、山川選手の3名は、直近5年の間だけでも複数回オープン戦で苦しむケースを経験していた。だが、それぞれシーズンに入ってからはきっちりと修正を済ませ、レギュラーの座に相応しい成績を残している。3名ともに現在のパ・リーグを代表する強打者として名をはせる選手たちなだけに、修正の術や引き出しも持ち合わせているということだろうか。

 2016年には中島卓也選手しか該当する選手がいなかったように、年によって数の上下が見られたのは確かだ。だが、オープン戦での不振をシーズンに入ってから払拭した選手は5年間で27名も存在していた。この事実は、今年のオープン戦で苦しんだ選手たちにとっても、頼もしいデータの一つと言えるかもしれない。

今年のオープン戦の結果から、開幕後活躍する選手を占う

 また、オープン戦の不振からレギュラーシーズンで立ち直った選手の中には、打率と比較して出塁率が高いこともひとつのジンクスといえるか。今年のオープン戦で打率.250以下に終わった選手の中で打率と出塁率に.100以上の差があったパ・リーグの選手は、以下の4名だ。

中村奨吾選手 打率.179 出塁率.324
辰己涼介選手 打率.200 出塁率.304
近藤健介選手 打率.229 出塁率.413
外崎修汰選手 打率.240 出塁率.367


 2017年のロペス選手のように、打率と出塁率にほぼ差がなかったものの、レギュラーシーズンでは活躍を見せたケースも少なからず存在するが、高い出塁率はボールの見極めができていることの証明でもある。そういった意味でも、先述した選手たちの中からレギュラーシーズンで復活を見せる選手が出てくる可能性は十分にあるだろう。

 さらに、今回取り上げた選手たちの中から、同年にタイトルを獲得したパ・リーグの選手に加え、打率.400を超えるバッティングを見せていた近藤選手を加えた面々の、それぞれ4月と5月が終了した時点での打率と出塁率にも、一種のジンクスが示されている。

柳田悠岐選手(2015年)
4月:打率.350 出塁率.431
5月:打率.357 出塁率.445

柳田悠岐選手(2017年)
4月:打率.278 出塁率.476
5月:打率.294 出塁率.418

西川遥輝選手(2017年)
4月:打率.247 出塁率.308
5月:打率.278 出塁率.352

近藤健介選手(2017年)
4月:打率.416 出塁率.558
5月:打率.407 出塁率.564

山川穂高選手(2018年)
4月:打率.337 出塁率.481
5月:打率.278 出塁率.428

 柳田選手が2015年と2017年でそれぞれ違った傾向を示している点も興味深いが、概ねどの選手も出塁率が高くなっているのがわかる。オープン戦での不振を序盤戦でも引きずっていた2017年の西川選手も、出塁率の面では5月末の時点で.352と一定以上の数字を記録。打率に加えて出塁率にも目を向けてみると、その選手がオープン戦の不振から脱却できる可能性についても、早い段階で予想が立てられるかもしれない。

 もちろん、オープン戦での不振を引きずったまま苦しいシーズンを送ってしまった選手たちも存在するが、これまで紹介してきた通り、オープン戦の成績とレギュラーシーズンの成績が大きく異なるものとなった例は決して少なくない。今年苦しんだ選手たちの中から、シーズンで大活躍を見せてくれる選手が一人でも多く現れることに期待したい。

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