今季、名前が刻まれるのは? 日本を代表する彫刻家が「パシフィック・リーグ優勝トロフィー」をプロデュース

2018-04-09 15:09 「パ・リーグ インサイト」編集部
昨年に生まれ変わった「パシフィック・リーグ優勝トロフィー」

昨年に生まれ変わった「パシフィック・リーグ優勝トロフィー」

「“パシフィックオーシャン”の煌めく光や波飛沫(なみしぶき)」をイメージしたデザインが放つ光沢に、勝者の姿が一層映えた。昨年9月23日、67年ぶりにリニューアルされた「パシフィック・リーグ優勝トロフィー」をヤフオクドームのファンの前で高く掲げたのは、福岡ソフトバンクの工藤公康監督だ。新トロフィーには、2017年以降の優勝チーム名がレーザーで刻印される。新シーズンが開幕して、新たに名を刻むのは、6球団いずれのチームだろうか。今季も各地で熱戦が繰り広げられている。

パ・リーグ初年度の1950年から67シーズン、優勝チームの間を渡ってきたトロフィーは昨年、装いを新たにした。目を引く特徴的なデザインをプロデュースしたのは、彫刻家の名和晃平氏だ。スポーツの動きを造形に取り入れるための趣向を凝らし、「野球の基本である『投げる』『打つ』というアクション」にこだわった。

冒頭の名和氏のイメージを実現させたのは、関係各社の技術だ。株式会社スパイスのモーション・キャプチャー技術と安田製作所の3Dプリントによりかたどられた彫刻は、石川漆工房の金箔貼りでデコレーション。構想を含めた約1年の制作期間を経て、スポーツと芸術が融合した。

トロフィーが新調された背景には古くなったことがあり、掲げられるサイズへの変換も狙いとしてある。初代は65キロの重さだったが、新しく作られた2代目は7キロにまで軽量化された。また、制作に最新鋭のテクノロジーが用いられた一方で、受け継がれたものもある。トロフィーの中央部に位置するのは、先代と同じく、葉冠を授けようとする勝利の女神だ。シンボルとしての女神像の継承には、プロ野球が長い歴史で築き上げてきたアイデンティティへの敬意が込められているように映る。

今回の取り組みを成功させた名和氏は、それぞれが成長できる分野であると手応えを感じているようだ。オリンピック開催を2年後に控える日本は「スポーツ×芸術」領域拡大の可能性を秘める。主宰のSANDWICH,Incで彫刻の可能性を追求する名和氏が、次なるスポーツ文化発信のフィールドに立つことを期待したい。