プロ野球の移籍をプラスに―北海道日本ハム大田が説くトレード論「いいことが絶対ある」

2020-05-22 14:45 「Full-Count」石川加奈子
北海道日本ハム・大田泰示※写真提供:Full-Count(写真:石川加奈子)

北海道日本ハム・大田泰示※写真提供:Full-Count(写真:石川加奈子)

08年の巨人ドラフト1位・大田は17年の北海道日本ハム移籍後にブレークした

 プロ野球開幕を心待ちにしながら北海道日本ハムの取材ノートを整理していたら、思い出深い言葉を再発見した。「F取材ノート~心に残ったあの言葉」として改めて紹介したい。今回は、巨人から北海道日本ハムに移籍して4年目のシーズンを迎える大田泰示外野手。

「いいサンプルになれたらいいかなと思います」

 昨オフの契約更改後に語った言葉だ。移籍後の3年間で目覚ましい成長曲線を描き、年俸は移籍前の2100万円から念願の1億円に到達(金額は推定)。その心境に触れ、球界におけるトレードの成功例として先頭を走っていく覚悟を示した。

「(坂本)勇人さんとか菅野(智之)さんを見てきて、こういう人がスーパースターだと思ってきたけれど、新たなカテゴリーで、トレードで来て、そういう風になれるというのも示せたらいいと思う。下でくすぶってレギュラーを取れない選手がトレードで出て行って、いろんな複雑な心境はあると思うけど、こういう例ができれば、いいサンプルになれたらいいかなと思います」。思うような成績を残せなかった8年間の巨人時代から一転、新天地で才能を開花させた大田が発する言葉だからこそ、重みがある。

 移籍活性化を前向きに捉える発言は以前にもしていた。昨年1月にFAの人的補償によって巨人の長野久義外野手の広島移籍が決まった際には「ただチームが変わるだけ」と大騒ぎする雰囲気に釘を刺した。「プロ野球、面白いじゃないですか。いっぱいそういうのがあればいい。チームが変わったら、いいことが絶対にある。だって(移籍先がその選手を)欲しいからでしょ。いいじゃないですか」と望まれて移籍するメリットを説いた。

昨オフに1億円プレーヤーの仲間入り「こういう例ができれば」

 大田自身、17年に北海道日本ハム入りすると、いきなり118試合に出場して110安打、15本塁打、46打点とブレークした。2年目は左手第5中手骨骨折で戦列を離れたものの、104試合に出場して打率.274、59打点と数字を伸ばした。背番号が33から5に変わった昨季は132試合に出場して打率.289、20本塁打、77打点とキャリハイをマークした。

 契約更改後の会見の言葉も、毎年力強く変化していった。17年オフには年俸がほぼ倍増となり「初めてのことだから素直にうれしい。額が上がって、活躍もしなきゃいけないという責任が芽生えた。もっともっと上を目指してやろうと思う。ファイターズに来たことが気持ちの変化につながっている。プロ野球選手らしくなったなと思います」と初々しい言葉が並ぶ。1年後の18年オフには30発を目指すと公言し、昨オフには4番の座を狙うことを臆することなく宣言した。

 この3年間の契約更改取材で頻繁に出てきた言葉は「経験」「向上心」「責任感」。試合で経験したことを生かすために、向上心を持って準備をして、責任感を持って試合に臨み、1億円プレーヤーの仲間入りを果たした。脂が乗ったプロ12年目、成績でも言動でもますますチームを引っ張る存在になりそうだ。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)