犠打数はチーム得点と関係する? 直近5年間の球団別犠打数ランキングを探る

2020-06-05 11:00 「パ・リーグ インサイト」望月遼太
(C)パーソル パ・リーグTV

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「送りバント」を巡る評価は時代によって変化するが……

 高校野球からプロ野球に至るまで、堅実に得点圏に走者を進める方法として古くから重用され続けている「送りバント」という作戦。1番打者が塁に出て、2番打者が犠打できっちりと走者を進めてクリーンアップに繋げるという展開は、ほぼ全ての野球ファンが目にしたことのあるほどに普遍的なものだ。

 しかし、野球を統計学的な観点から分析する「セイバーメトリクス」の見地からすると、無条件で相手にアウトカウントを一つ与える送りバントは、多くの局面において得点効率を下げる作戦とされている。近年は日本においてもセイバーメトリクスの概念が広まりつつあるが、そういった環境下で、各チームの犠打数はどう増減しているのだろうか。

 そこで、今回は直近5年間における、パ・リーグ6球団のチーム内犠打数トップ5に入った選手たちと、各シーズンでのチーム全体の打撃成績を紹介していきたい。その顔ぶれの変遷や、バント数とチームの成績との関連性を確かめるとともに、バントを多用する作戦がうまく機能しているチーム、あるいは、セイバーメトリクスの理論通りにバントを減らすことで多くの得点を生み出しているチームについて調べていきたい。

北海道日本ハム

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 2015年から3年間はチーム全体で100を超えるバント数を記録していたが、直近2年間は犠打数数自体が減少傾向にある。また、リーグ優勝を果たした2016年には178個の犠打を記録。これは、今回取り上げた5年間に限定すれば、パ・リーグ6球団全体を見渡しても最多の数字だ。この年は打率がリーグ1位、得点数が同2位タイと打線の得点力も高くなっており、バントを多用する戦術がうまく機能していたことが見て取れる。

 選手個々に目を向けると、2016年にパ・リーグの歴代最多タイとなる62犠打を記録した、中島卓也選手の活躍が目を引くところ。中島卓也選手は2015年から4年連続でチーム最多の犠打を決め、5年連続で2桁のバント数を記録するなど、上位打線につなぐ役割を堅実にこなしていた。そして、2019年に犠打数チームトップに立った石井一選手も同様の役回りを担っており、この2選手によるポジション争いは今後も注目と言える。

楽天

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 リーグ内での犠打数は3位が2度、4位が2度、5位が1度と、チーム全体としては飛びぬけて多いわけでも少ないわけでもない。ただ、2015年から3年間は3桁のバント数を記録したものの、直近2年間は2桁の数字となっており、先に取り上げた北海道日本ハムと同様、バント数自体がやや減少傾向にあるのは確かなようだ。

 選手個々としては、ベテランの藤田選手が唯一複数回チームトップの犠打数を記録した選手となった。2016年には当時ルーキーだった茂木選手がチーム最多の犠打を決めたが、それ以降の4年間は1桁の犠打数にとどまっているところが、チーム内での立場の変遷を感じさせて興味深い。2019年には渡邊佳選手と堀内選手という若手の2選手がチーム最多の犠打を記録しており、両選手の今後の数字の変遷にも注目する価値はありそうだ。

埼玉西武

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 直近5年のうちチーム犠打数が2桁だった回数が4度と、近年はバントを多用しない戦い方を選択している埼玉西武。とりわけ、シーズン792得点という爆発的な得点力を発揮した2018年は、集計期間中では6球団最少となる48犠打にとどまった。2019年は犠打数自体はやや増加したものの、それでもリーグ最少タイ。バントに頼らず打って走者を進めるというチーム方針が、打線の破壊力を引き出すことにもつながっているようだ。

 2015年と2016年は、下位打線を打つことが多い捕手の炭谷選手がチームトップの犠打数を記録。だが、2017年からは2番打者として活躍する源田選手が3年連続でチーム最多犠打となった。ただ、2017年と2019年に比べ、2018年はチームのみならず源田選手の犠打数も減少していた。ライオンズ打線の強力さは言うに及ばないが、その得点力の引き出し方はシーズンごとに異なる。源田選手の犠打数は、その一つのバロメーターでもありそうだ。

千葉ロッテ

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 近年の千葉ロッテは打率、本塁打数ともにリーグ下位に位置することが多く、打線の得点力不足に悩まされるシーズンが多かった。その影響もあってか、2015年と2018年はリーグ2位の犠打数を記録するなど、シーズンを通してバントを多用したケースも。ただ、本拠地のZOZOマリンスタジアムにホームランラグーンが設置された影響もあり、2019年は得点数、本塁打数ともに向上。それに伴い、バント数もリーグ4位と前年に比べて減少していた。

 選手別では、5年間すべてでチーム2位以内に入り、1位にも2度入った田村選手が最もコンスタントに犠打を決めた選手といえる。また、2015年と2019年にチーム最多犠打を記録した鈴木選手もバントに長けた選手だったが、移籍によってチーム全体の犠打数にも変化は生じるか。さらに、井口資仁監督の就任後は、2018年に藤岡選手、2019年に鈴木選手と、2番を務める機会の多い選手がチームトップの犠打を決めている点が、現在のチーム方針の一端を示しているかもしれない。