ユニークなユニフォームでファン層の拡大、そして地域密着への取り組みに

2016-03-11 00:00 「パ・リーグ インサイト」新川諒

近年プロ野球では、ホーム&アウェイのユニフォームだけでなく、さまざまな企画に合わせて数々のユニフォームのデザインでファンを楽しませている。各球団は何のため、誰のためにさまざまなユニフォームのデザインを企画しているのだろうか?

まず考えられるのは、ファン層の拡大。復刻版ユニフォームで当時の選手やチームが着用していたものを現役選手が着ることでファンを楽しませ、ピンク色が入ったユニフォームを着用して女性をターゲットにするなど、シーズン中さまざまな取り組みを行っている。

今シーズン、すでにパ・リーグでもオリックス・バファローズが球界初となるチェック柄ユニフォームを発表した。「オリ姫デー」や「オリ達デー」と企画し、普段とは違った「ユニーク」なユニフォームで話題を呼んでいる。ちなみに昨シーズンは地球柄のユニフォームでも話題を呼んだ。

そして「新」ユニフォームを打ち出す理由に、地域や企業との取り組みもある。北海道日本ハムファイターズは北海道新幹線とコラボレーションし、開業日の3月26日から、公式戦で着用することを発表している。

日本以上に奇抜?マイナーのユニークユニフォーム

最近でこそ通常のユニフォームとは違ったものを身にまとった選手たちを見ても違和感がなくなってきたかもしれないが、それでも米マイナーリーグでは毎年のように「あっ!」と驚くようなユニークなユニフォームが生まれている。

私もマイナーの現場で仕事をしていた時、これほどまでに企画ユニフォームが存在することに驚いた。こんなに奇抜なデザインのユニフォームをよく考え付くなあと感心したものだが、そのユニフォームには地域密着の重要な「商品」になっていた。

ロチェスター・レッドウィングス(ミネソタ・ツインズ傘下AAA)では、地元の動物園とコラボして、トラ柄のユニフォームを着用して選手たちが試合に臨んだことがあった。実は、そのユニフォームは着用した選手たちが試合後にサインをし、オークションにかけられ、売り上げが動物園を管理する団体に寄付されるという仕組みであった。

また地域団体の手を組んでの試みをチーム側も進歩し続ける技術によって実現することがより簡単になった。「サブリメーション」という技術により、さまざまなデザインを生地に直接染めることができ、往来のスクリーン印刷とは違い、デザインと生地が1つにまとまることが可能となった。

新しい技術により、遊び心満載のユニフォームを生み出すことが可能となり、現地3月9日にはフリスコ・ラフライダーズ(テキサス・レンジャーズ傘下AA)が2016年シーズ中に8つのテーマユニフォームを打ち出すことを発表。それらは全てオークションにかけられ、売り上げはやはりチャリティーに寄付される。

そのうちの1つには、ゲームボーイをユニフォームにデザインしたものがあり、遊び心に溢れている。その日、球場に訪れた子供たちにとっては「ゲームの中のゲーム」という異様な光景が見られるかもしれない。それ以外でも人気映画の「トップ・ガン」や「ゴースト・バスターズ」をモチーフとしたデザインも発表されたことがある。

ユニークなだけでなく、歴史や文化も尊重

さらにユニフォームには、歴史や文化を記念したデザインのものもある。メジャーでは全選手が「42」番を着用する「ジャッキー・ロビンソンデー」では、メジャー初のアフリカ系アメリカ人選手の偉大な足跡を、いつまでも称え続けている。

キャンプ中のオープン戦では、聖パトリックの祝日「セントパトリックス・デー」を記念し、アイルランドのシンボルカラーである、緑色のユニフォームやキャンプを身にまとって試合に出場する。そして7月4日のアメリカ独立記念日には、背番号やチームロゴには星条旗がデザインされた限定ユニフォームを着用する。

マイナーの現場にいた時には、星条旗デザインがワンポイントとして入っているだけでなく、ユニフォーム全体がアメリカ国旗のデザインだったことがあった。通訳はユニフォームを着用しないため、試合前の国歌整列の際には、1人普通の格好で逆に一番目立っていたのを思い出す。

選手にとっては正装に値するユニフォームがファン層の拡大、地域密着、そして歴史や文化を記念すること象徴になり得る。さまざまな可能性を持ち合わせる「仕事着」を今後もどんなアイディアで彩っていくのか楽しみだ。