「野球人生で一番緊張」 千葉ロッテ新人・佐藤都志也が語るプロ初安打サヨナラ打前夜

2020-07-13 08:10 「Full-Count」佐藤直子
プロ初ヒットがチームに勝利を呼び込むサヨナラ打となった千葉ロッテ・佐藤都志也※写真提供:Full-Count(写真提供:千葉ロッテマリーンズ)

プロ初ヒットがチームに勝利を呼び込むサヨナラ打となった千葉ロッテ・佐藤都志也※写真提供:Full-Count(写真提供:千葉ロッテマリーンズ)

期待のドラフト2位ルーキー捕手、プロ初安打の打席は「すごく冷静だった」

 6月26日に行われた本拠地オリックス戦。千葉ロッテのドラフト2位ルーキー・佐藤都志也は「野球人生で一番の緊張でした」と振り返る。

 6-5の1点差で迎えた9回表。直前の攻撃で代打を送られた柿沼友哉に代わり、捕手として送り出されたのが佐藤だった。前日に代打で1軍デビューを果たしてはいたが、守備に就くのはこれが初めて。逆転した直後、1点リードを守る大事な場面で、守護神・益田直也の球を受けることになった。

「すごく緊張していました。緊張して、どんな顔をして受けていたのかも覚えていません(笑)」

 福島の名門・聖光学院で夏の甲子園を2度経験し、東洋大学では主将を務め、侍ジャパン大学代表にも2度選出されている。シビれる場面には幾度となく遭遇してきたが、やはりプロとして初めてマスクを被った試合は、何物にも勝る経験だったようだ。

 試合は、2死から2四球で一、二塁としたが、最後は代打の松井雅人を二ゴロに打ち取って試合終了。ベテラン益田とのバッテリーで1点を守り抜いた経験は、大きな自信となった。

 その翌日の同カード。またもや手に汗握る場面で、佐藤の出番がやってきた。1-1の同点で迎えた延長10回裏、2死一、二塁。井口資仁監督が代打として送り込んだのが佐藤だった。今季は特例として10回終了時で同点だったら引き分けとなる。負けることこそないが、今季は試合数が少ないだけに1勝か1分けかの差は、のちのち大きく響くだろう。チームの勝利がかかった重要な打席に立ったルーキーは、意外にも「すごく冷静だった」という。

「前の日にキャッチャーでの出場を経験したから、あの場面ではいつも通り打席に入ることができたんじゃないかと思います。変な力みもなくて、来た球に対して積極的に反応できました」

 オリックス6番手の澤田圭佑が投げた初球127キロのチェンジアップを振り抜くと、打球は右翼手の頭上を越えるサヨナラヒットに。プロ初安打初打点がサヨナラというおまけ付き。「打った後はもうほとんど覚えていないです(笑)」というのも無理はない。

千葉ロッテ・佐藤都志也※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

千葉ロッテ・佐藤都志也※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

埼玉西武・栗山のヒーローインタビューで意識改革「チームの勝利のために」

 代打でチームの勝利に貢献できた意味は大きい。現時点では田村龍弘、柿沼に次ぐ第3の捕手。代打として打席に立つ時こそが、チームのために働ける数少ないチャンスでもある。

 大学1年生の秋、佐藤は今と同じような状況に置かれていた。代打として結果を残せばスタメン起用してもらえる。チームの勝利よりも自分の立場を気にしていた佐藤の意識を変えたのが、埼玉西武の栗山巧だったという。たまたまテレビ中継を見ていた試合でサヨナラヒットを打った栗山は、ヒーローインタビューで「チームの勝利のために」という想いを語った。

「栗山選手を好きになった当時も、自分は今と同じような状況でした。だからこそ、今はその当時を思い出しながら、少しでもチームのためになれるようにと準備を重ねています。代打の場面は大きな仕事を果たせる場面が多い。チャンス、ここで1本、という時の代打出場はあると思うので、そういう時のために準備をしていかないと、と思っています」

 もちろん、ゆくゆくは正捕手の座を勝ち取る意気込みだ。キャッチャーの他にも、一塁や外野を守った経験を持つ。だが、「リードや配球だったり、キャッチャーならではの面白さがある。常にボールに触っていられるポジションですし、試合を動かせるのはキャッチャーだなと思うので、このポジションを極めたいですね」と、こだわりは強い。

 高校時代から故・野村克也氏の著書を読み漁った。試合中は常に脳をフル稼働させるポジションだが、「それがまた面白いところだと思います」と頼もしい。将来的には「投手から信頼を得られるキャッチャー。打てて守れるキャッチャーを最終的に目指したいですね」と大きな目を輝かせる。

 プロ入り後、改めてキャッチャーとしての醍醐味を感じた。「ピッチャーの球の質が全然違うなって感じました」と、うれしそうに声を弾ませながら、言葉を続ける。

「なんかミットを動かさなくてもボールが入ってきて、音がパーンって鳴る。スゲェな、プロの球だなって、改めて思いました(笑)。自分でボールを捕りにいくんじゃなくて、入ってくる感覚。ミットを構えたところにボールが吸い込まれてくるイメージですね。無理にミットを動かすと、逆に音がならない。今までなかった感覚でした」

 千葉ロッテは種市篤暉、岩下大輝ら若手好投手が多い上に、同期の仲間には、注目の佐々木朗希がいる。

「いろいろなピッチャーを受けるのが楽しみです」

 キャッチャー・佐藤都志也のプロ生活は、まだまだ始まったばかりだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)