森友哉、吉田正尚…… 2019年の3割打者6名はどこが優れていたのか? 個々の特徴をデータで分析

2020-07-21 11:00 「パ・リーグ インサイト」望月遼太
埼玉西武ライオンズ・森友哉選手【撮影・菊地綾子】

埼玉西武ライオンズ・森友哉選手【撮影・菊地綾子】

2017年にはパ・リーグの3割打者はわずか2名だったが……

「3割打てば一流」という言葉がある通り、シーズン打率3割は多くの選手にとっての一つの目標となっている。しかし、実際に規定打席に到達したうえでシーズン打率3割を達成できる選手の数は、そう多くはないのが実情である。実際、今から2年前、2017年のパ・リーグにおいて、3割打者が秋山翔吾選手と柳田悠岐選手の2名だけという希少なケースが生じたこともあった。

 しかし、その後は2018年が5名、2019年が6名と、直近2年間におけるパ・リーグの3割打者の数が再び増加傾向にある。そして、2019年にシーズン打率3割を達成した6名の選手たちの顔ぶれを実際に見てみると、先程の「3割打てば一流」という言葉が納得できるような、実績十分の選手たちが多く顔をそろえていることがわかる。その顔ぶれと、各選手の成績は以下の通りとなっている。

2019年シーズンのパ・リーグ3割打者一覧

2019年シーズンのパ・リーグ3割打者一覧

 各選手の所属球団を見ていくと、埼玉西武が2名、北海道日本ハム、楽天、千葉ロッテ、オリックスが各1名ずつと、2019年には6球団中5球団が3割打者を輩出したことになる。唯一3割打者なしとなった福岡ソフトバンクに関しては、2014年から5年連続で打率3割を記録していた柳田選手の長期離脱の影響も大きいだろう。実力者が多く在籍するチームなだけに、2020年には再び3割打者を輩出してほしいところだ。

 とはいえ、一口に3割打者といっても、当然ながらその特徴はそれぞれ大きく異なってくるものだ。そこで、今回は2019年にシーズン打率3割を記録した6人の選手たちについて、データを基に分析したうえで、各選手の優れている点についての解説を行っていきたい。

森友哉選手(埼玉西武)

森友哉選手の各年度成績

森友哉選手の各年度成績

 2019年、見事に自身初となるパ・リーグ首位打者の栄冠に輝いた森選手。捕手としての首位打者獲得は、野村克也氏、古田敦也氏、阿部慎之助氏に続く、史上4人目の快挙となった。先述の3名はいずれも通算2000本安打の達成者でもあり、球史に名を残すレベルの名選捕手といえる存在だ。森選手が今後さらなる成長を続け、3名の先達と同様の名捕手となれる可能性は十二分にあるだろう。

 捕手というポジションは、一般的に試合経験を積むことが重要となポジションといえる。そのため、高卒の早い段階から台頭してくる選手は少ない傾向にある。しかし、森選手はルーキーイヤーの2014年にいきなり一軍で41試合に出場して打率.275、6本塁打と才能の片鱗を見せ、翌年には外野と指名打者を務めて早くも規定打席に到達。主力打者としての地位を固めた後に捕手に再コンバートされ、若くして正捕手の座を確固たるものとしている。

 球場で森選手の打撃を目にした際に、その豪快なスイングに魅了されるファンは少なくないはず。しかし、森選手の特徴はむしろ安定した打率と出塁率にある。プロ入り後の6年間全てで打率.275、出塁率.350を上回っており、若さに似合わぬ安定した打撃を見せている。捕手という守備の負担が大きいポジションにあって常に計算できる数字を残している点も、森選手の優れた部分の一つと言えそうだ。

 また、2019年は自身初の20本塁打超えとなる23本塁打を記録し、打点も105打点と自身初めて3桁の大台に乗せている。先述の通り、これまでは中距離打者としての側面が強かった森選手だが、このまま本塁打数も伸びていけば、将来的には「打率.300、30本塁打、100打点」の快挙も見えてくる。まだ24歳という若さもあり、「打てる捕手」としてのさらなる成長にも期待がかかるところだ。

吉田正尚選手(オリックス)

吉田正尚選手の各年度成績

吉田正尚選手の各年度成績

 吉田正選手といえば、バットを折りながら打球をスタンドに叩き込んだこともあるほどの豪快なフルスイングがつとに有名だ。しかし、そのパワーに加えて確実性も兼ね備えているという点が、この和製大砲にさらなる魅力を加えている。最初の2年間は故障に苦しみ、それぞれシーズンのおよそ半分を棒に振っていたが、椎間板ヘルニアの手術を経て迎えた2018年からは2年連続で全試合出場を達成し、その打棒を余すところなく披露している。

 打率ランキングでも2018年は4位、2019年は2位と、規定打席に到達した2年間は揃って上位をキープしており、打席における対応力の高さはリーグ屈指だ。また、本塁打数も2018年は7位タイ、2019年は8位と、共にリーグ内のトップ10入りを果たしており、2019年には29本と30本の大台目前まで迫っている。持ち前のパワーが本塁打というかたちでも表れつつあることは、打者としてのさらなる成長を示してもいるだろう。

 加えて、出塁率は3年連続で.400を超えており、高い打撃技術に加えて、優れた選球眼を持ち合わせているのも吉田正選手の長所の一つだ。さらに、2018年にはリーグ2位の37本の二塁打を記録するなど、本塁打だけでなく二塁打の数も多い。それゆえ、長打率の部門においては2018年が3位、2019年が2位と、2年続けてリーグトップクラスの数字を記録しているのも納得だ。

 そのため、出塁率と長打率を足して求める「OPS」という指標において、吉田正選手は素晴らしい数字を記録している。2017年はOPS.928、2018年と2019年は2年連続でOPS.956と、安定して高水準の数字を叩き出した。OPSは得点との相関性が高い指標としても知られているため、吉田正選手がいかに対戦相手の驚異となっているかは指標の上でも示されているといってよさそうだ。