有観客になって打率3割超え 初お立ち台となった鷹・松田宣を変えたファンの存在

2020-07-23 09:48 「Full-Count」藤浦一都
福岡ソフトバンク・松田宣浩※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都)

福岡ソフトバンク・松田宣浩※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都)

お立ち台では新型コロナの影響を考えた独りパフォーマンスを披露

■福岡ソフトバンク 3-2 北海道日本ハム(22日・PayPayドーム)

 7月10日から始まったプロ野球の有観客試合。ファンが球場に入ってから豹変したのが福岡ソフトバンクの松田宣浩内野手だ。有観客の初日に今季1号を放つと翌日にも2試合連続弾。そして、遠征から戻ってきた22日の北海道日本ハム戦では、今季初のお立ち台に上がった。

 22日の北海道日本ハム戦。1点差に迫った7回2死二、三塁の場面だった。代わったばかりの玉井を相手にフルカウントまで粘ると、7球目のカットボールをセンター前へと運んでみせた。2人の走者を迎え入れて、チームは逆転に成功。松田宣自身は一、二塁間に挟まれる形で走塁死。少しだけバツが悪そうにベンチに引き上げたが、ファンから惜しみない拍手が送られた。

 今季初のお立ち台に上がった松田宣は「真っ直ぐ、カットに絞って、粘る気持ちで素直にセンター返しができました」と殊勲の打席を振り返った。直前、犠飛でも同点という場面で上林が空振り三振。松田宣が倒れれば、8回からは北海道日本ハムの勝ちパターンが立ちはだかるところだった。前日に6連戦の初戦を落としているだけにこの一打で2戦目を取れたことはチームにとって大きい。

 お立ち台での最後に「開幕からチームに貢献できていなかったので、仕事したいなという思いで打席に立っています。これからもチームを救えるような一打を打っていきたい」とし、最後にマイクを手渡された松田宣。昨季までは「それでは皆さんお立ちください」から始まり、観客とともに「ワン、ツー、スリー、マ~~ッチ!」と叫ぶのがお立ち台での恒例だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で大声を出しての応援が禁止されているため、この日は「お客さんは聞いといてください。僕一人でワン、ツー、スリー、マッチやります」と、異例の独りパフォーマンス。新型コロナ禍での新様式での初のお立ち台だった。

「ファンが入ってない時は酷かった。その分をどう取り返そうか考えてやっている」

 開幕を「6番・三塁」で迎えたが、開幕2試合ノーヒットに終わった松田宣。3試合目で出た今季初安打がタイムリーとなったが、その後も調子は上がらず、2カード目の埼玉西武との6連戦でも24打数4安打。打順も8番に下がるなど、極端な打撃不振に苦しんだ。

 ところが、有観客となった7月10日から松田宣のバットが快音を響かせ始めた。10日に今季1号となる先制弾を放つと、待望の“熱男パフォーマンス”を披露。大声での応援が禁止されている観客も待ちに待った一発に思わず絶叫すると、翌日にも得意のテラス弾を打ち込んで連日の“熱男パフォーマンス”を展開した。

 松田宣は、その後も徐々に“らしさ”を取り戻していく。続く京セラドームでのオリックスとの6連戦では4試合でヒットを放ち、うち2試合でマルチヒットを記録。開幕から7月9日までの無観客18試合では68打数11安打、打率.162、4打点。これに対し、有観客となって以降の11試合では40打数12安打、打率.300、8打点。この豹変ぶりから見ても「ファンあっての松田宣浩」と言えるだろう。

 試合後に「ファンの皆さんが入ってからはいいと思うんですけど、ファンが入ってない時は酷かった。その分をどう取り返そうか考えてやっている」と語っていた松田宣。入場制限がある中、少ないながらも、ファンの声援こそが熱男のエネルギーとなっていることは間違いない。

(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)