岩下大輝、周東佑京、平良海馬…… 開幕一軍入りを逃しながらもシーズン途中から活躍した選手たち

2020-08-07 11:00 「パ・リーグ インサイト」望月遼太
千葉ロッテ・岩下大輝投手(左)、福岡ソフトバンク・周東佑京(中央)埼玉西武・平良海馬(右)(C)パーソル パ・リーグTV

千葉ロッテ・岩下大輝投手(左)、福岡ソフトバンク・周東佑京(中央)埼玉西武・平良海馬(右)(C)パーソル パ・リーグTV

開幕一軍入りは一つの目標となりうるがそこが終着点ではない

 2020年のペナントレースが開幕し、多くの選手たちが各地で溌溂としたプレーを見せている。「開幕一軍」の切符は多くの選手たちにとって一つの目標となるものだが、もちろんそこが終着点ではない。過去には開幕時の一軍メンバー入りこそ逃したものの、その後に一軍昇格を果たし、主力として一軍の舞台で確かな存在感を放った選手たちも、枚挙に暇がないほど存在している。

 シーズンの短縮に伴い過密スケジュールが組まれている今季は、選手にかかる負担も例年以上のものとなる。そのため、今季の開幕時点では残念ながら一軍入りを逃した選手の中にも、シーズンが深まるにつれて一軍の舞台で出場機会を得て、出色の活躍を見せるケースが増える可能性は大いにあるだろう。

 今回は、2019年のパ・リーグ各球団において、開幕時点の一軍登録メンバーに入っていなかった選手および、開幕2カード目までに先発登板がなかった(開幕ローテーション入りを逃した)投手たちの中で、同年に一軍の戦力としてチームに貢献した選手たちを紹介。昨季の例を振り返っていくとともに、今季の開幕一軍入りを逃した選手たちの、後の躍動にも期待を寄せたい。

北海道日本ハムファイターズ

 左の中継ぎとして自己最多の61試合に登板した公文選手、ショートスターターとリリーフの双方でフル回転した堀瑞輝投手、リリーフの一角として安定した投球を見せた井口和朋投手と、いずれも開幕の時点では一軍入りを逃しながらも、シーズンが深まるにつれてブルペンを支える存在に。オープナー戦術を積極的に導入するチームにとっても、リリーフとして奮闘した彼らの存在は大きかった。

 野手では2018年の7月から二塁手としてスタメン出場を続けていた渡邉諒選手が開幕一軍を逃し、正捕手の有力候補と目されていた清水優心選手も、椎間板ヘルニアを手術した影響で開幕には出遅れていた。しかし、一軍昇格後は両選手ともに持ち味を発揮し、チームの主力へと成長。渡邉選手は自身初の規定打席到達を果たして自己最高の成績を残し、清水選手も自己最多の試合数と、キャリアハイと言える打撃成績を記録した。

東北楽天ゴールデンイーグルス

 右ひじのクリーニング手術を行った影響でシーズン初登板が7月9日までずれ込んだエースの則本昂大投手をはじめ、外国人枠の関係もあって開幕は二軍スタートとなったブセニッツ投手、前2シーズンと同様にベテランの味を見せて安定した投球を披露した久保投手といった、実力十分の投手たちがリストに名を連ねた。シーズン途中から戦列に加わったこの3投手の奮闘は、チームのAクラス入りにもつながっている。

 野手ではシーズン後半に先発捕手の座を争った太田光選手と堀内謙伍選手、シーズン途中から勝負強い打撃とユーティリティ性を生かして活躍を見せた渡邊佳明選手も、開幕時は二軍スタートだった。若手の3選手がシーズン終盤に一軍の舞台でそれぞれの持ち味を発揮し、Aクラス入りにも貢献したことは、チームの今後の見通しを考えるうえでも、明るい材料の一つと言える。

埼玉西武ライオンズ

 シーズン終盤にセットアッパーとして活躍を見せた平良海馬投手をはじめ、ルーキーイヤーから先発として7勝を挙げる活躍を見せた松本航投手、ロングリリーフもいとわない投球でブルペンの貴重な駒となった佐野泰雄投手と、3投手ともに開幕一軍入りを逃しながらも、シーズン途中に昇格して苦しい台所事情を支え、それぞれの持ち味を生かしてリーグ優勝にも貢献を果たしている。

 一方、野手では規定打席到達者を8名輩出するなど、レギュラーの顔ぶれをほぼ固定して戦っていたこともあり、サブとして堅実な働きを見せた岡田雅利選手や佐藤龍世選手も含め、リーグ優勝に貢献した主力選手たちはいずれも開幕一軍入りを果たした選手という結果に。2019年の埼玉西武はまさに盤石の野手陣を抱えていたことが、こういった点からもうかがえる。

千葉ロッテマリーンズ

 岩下大輝投手と二木康太投手はともに開幕ローテーション入りこそ逃したものの、それぞれ開幕3カード目から先発ローテーションに入り、駒不足に苦しむ先発陣を支えた。中継ぎの一角としてキャリアハイの登板数を記録した田中靖洋投手、外国人枠の影響もあって開幕時には一軍枠を外れたものの、左のリリーフとしてさまざまな場面に対応したチェン投手も、ブルペンの一員として貴重な働きを見せた。

 また、 佐々木千隼投手と土肥星也投手も登板数が1桁と出場機会がさほど多くなかったが、登板した試合では先発としてそれぞれ好投を披露。投手陣では開幕一軍から外れながらも、後に一定以上の活躍を見せた選手が多かったといえる。また、野手では柿柿沼友哉手が10個の犠打を決めるなど控え捕手として堅実な働きを見せ、時にはスタメンマスクを被るなど、一軍の舞台で確かな貢献を果たした。

オリックス・バファローズ

 左のセットアッパーとしてフル回転してキャリアハイの成績を収めた海田智行投手をはじめ、負傷で出遅れたものの復帰後はクローザーとして奮闘したディクソン投手、月間18試合登板というNPBタイ記録を作った前年を上回る年間試合数に登板した山田修義投手、先発として100イニングを超えるイニングを消化したK-鈴木投手と、開幕一軍を逃した選手の中から、終わってみればチームに欠かせない投手となった投手が多く輩出されていた。

 野手では史上初めてプロ1年目に交流戦の首位打者に輝くという快挙を達成した中川圭太選手や、故障で出場試合数は少なかったものの総じてハイレベルな打撃を披露したロメロ選手、時には3番や5番を務めるなど、好調な打撃で序盤戦のチームを支えた小島脩平選手、前年の課題だった確実性と出塁率をともに向上させた宗佑磨選手と、こちらも開幕一軍を逃しながら、その後に確かな存在感を放った選手の数は少なくなかった。

福岡ソフトバンクホークス

 シーズン後半にセットアッパーとしてフル回転の活躍を見せた高橋純平投手をはじめ、貴重なロングリリーフとして故障者続出のブルペンを支えた椎野新投手、故障を乗り越えて2年ぶりの一軍登板を果たし、復活の兆しを見せた和田毅投手、登板数こそ多くはなかったが、プロ1年目から安定感のある投球を披露した泉圭輔投手といった面々が奮闘。シーズン途中から活躍を見せた投手たちが、故障者続出のチームを2位にとどめた面は確実にあっただろう。

 野手でも俊足を武器にブレイクを果たし、オフには日本代表にも選出された周東佑京選手や、出場した試合数こそ少なかったものの、故障を乗り越えて非常に優れた打撃内容を示した長谷川勇也選手といった面々が、開幕一軍を逃しながらもチームの戦力として活躍。両者ともに今季は開幕から一軍に帯同してそれぞれ持ち味を発揮しており、前年以上の活躍にも期待を寄せたい。

投手の方がシーズン途中から昇格して活躍するケースは多い?

 今回取り上げた選手の総数は、6球団合計で33名。昨季も多くの選手が、シーズン途中から一軍に昇格し、貴重な戦力としてチームの助けとなっていたことがわかる。中には、渡邉諒選手のように昇格後にレギュラーを確保して規定打席到達を果たしたり、ブセニッツ投手、海田投手、高橋純投手のように、シーズン途中からセットアッパーとしてブルペンに欠かせない存在となった投手たちも存在していた。

 負傷や手術、外国人枠、チームの戦力事情といったように、開幕一軍を逃した理由は各選手によってさまざまだった。また、今回取り上げた選手たちの総数は投手が21名、野手が12名と、おしなべて投手の方が多くなっていたのも特徴的だ。その理由としては、野手に比べて投手のほうが疲弊の度合いが大きくなりやすく、先発、リリーフの双方において、フレッシュな戦力の需要が高まりやすいことが考えられる。

 もちろん、今季の開幕一軍入りを逃した選手たちの中からも、昨季の例と同様に、今後のシーズンにおいてチームを支える存在となる面々が現れる可能性は高いはずだ。各選手にとっても、シーズンの成否を決めるのは開幕直後の数字ではなく、年間を通して残した各種の成績となってくる。現在一軍に帯同していない選手の中から、これから巻き返しを見せてくれる存在が一人でも多く現れることに期待したい。


文・望月遼太

《THE FEATURE PLAYER》L平良海馬『実質ノーヒットノーラン』まとめ(C)パーソル パ・リーグTV

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