鷹6年目・笠谷が先発初勝利 苦悩の左腕を支えたファームでの教え「技心体なんだと」

2020-08-28 11:50 「Full-Count」藤浦一都
福岡ソフトバンク・笠谷俊介※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都)

福岡ソフトバンク・笠谷俊介※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都)

笠谷が5回1失点で先発初勝利、7月に中継ぎでプロ初勝利も「全然こっちの方がうれしい」

■福岡ソフトバンク 4-2 オリックス(27日・PayPayドーム)

 27日のオリックス戦(PayPayドーム)で5回1失点で先発としての初勝利を挙げた福岡ソフトバンクの笠谷俊介投手。大分商からプロ入りして6年目の左腕が、ようやく手にした先発白星の影には、苦悩の時期を支えたファームコーチの支えがあった。

 笠谷にとっては今季6度目の先発登板。これまでの5度の先発は、いわゆるオープナーとして短いイニングを投げて2番手に繋ぐ役割だった。結果が出たのは4度目の先発となった8月9日の楽天戦。中2日で先発しながら、3回を被安打ゼロの無失点に抑えて2番手の板東湧梧へとバトンを繋いだ。続く先発登板となった20日の千葉ロッテ戦でも4回を無失点。6個の三振を奪う好投を見せた。

 そして迎えた27日のオリックス戦。笠谷は3回までパーフェクト。4回には先頭の二塁打から1点を失うものの、それは進塁打後の内野ゴロ間の失点。相手を勢いづかせることなく最少失点で切り抜け、5回も先頭の安打後の3人を打ち取って先発の役目を果たした。

 この間、7月17日のオリックス戦(京セラ)で2番手として2イニングを完璧に抑え、うれしいプロ初勝利を挙げたが、同じオリックスを相手に挙げた先発としての初勝利に「全然こっちの方がうれしいです。ホーム(球場)で勝てて良かったです」と、地元・九州での勝利を素直に喜んだ。

 工藤監督は「行けるところまで行ってもらう」と“オープナー解除”を宣言していたが、笠谷は「中継ぎのきつさもわかっていたので、とにかく1イニングでも長く投げようという気持ちでした」と語る。5回68球での降板となったが、それは「いいところで終わった方が次に繋がる」という首脳陣の“親心”でもあった。

 5イニングとはいえ、無四球ピッチング。フルカウントになっても「四球は絶対に嫌だった。気持ちで負けたくなかった」と言えるのも笠谷の成長の証と言えるだろう。プロ初勝利の時に「実家に送ります」と語っていたウイニングボールは、まだ笠谷の手元にあるというが、そこに新たなウイニングボールが加わった。「今度まとめて送ります」と、改めて親孝行宣言も飛び出した。

「自分のストレートが投げられない。すごく悩んだ時期がありました」

 6年目で挙げた2つの白星。笠谷は「苦しい時期が長くて、自分のピッチングができていなかった」と、ここまでの道のりを振り返った。

「プロ初登板(2017年8月23日)した次の年から、2軍で先発で投げてもストレートがおかしくなって、自分のストレートが投げられなくなったんです。投球フォームが悪いのか、気持ちの面なのか、すごく悩んだ時期がありました」

 その間、笠谷の力になってくれたのが倉野信次、斉藤学、久保康生といったファームのコーチ陣だったという。

「倉野さんからは『気持ちで負けるな』と言われ続けたし、学さんからは『技術を磨いて心が安定する。技術を高めて自信がつけば、強気の面も出せる』ということを言われて、確かにそうだと思いました。『心技体』ではなくて『技心体』なんだ、と」

 笠谷は「いろんな人の意見を聞いて、練習もして……。遠回りというか、長かったと思うんですけど、それがあったから今こうしてちゃんと投げられているんじゃないかなと思います」と、支えてくれたコーチ陣に改めて感謝の気持ちを示した。

 同じ大分商出身で、明治大を経て今季から広島に入団した森下暢仁投手とはLINEを使ってよく連絡を取り合っているという。「適当な話しかしないです。こないだ完封した時に『おめでとう』と送ったら『頑張りました』と返ってきました。でも『次、やばいです』って」としながらも、1学年後輩の活躍は大きな刺激にもなっている。笠谷は「負けられないですね、やっぱり。負けられないです」と繰り返した。

 27日の試合では、森下と同期の大分商の後輩・川瀬晃がショートを守った。「いつもエラーされるので『頼むぞ』って言いましたよ」と笑わせながらも「ヒカルもしっかり守ってくれましたしね」と、リードしてくれた甲斐拓也を含めた大分勢の活躍を喜んでいた。

(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)