「直球破壊王子」の直球への強さは本物? 渡邉諒の打撃内容にデータで迫る

2020-09-15 19:00 「パ・リーグ インサイト」望月遼太

【名勝負】直球破壊王子 vs 162キロ直球【完全版】(C)パーソル パ・リーグTV

160km/hの直球すらも安打にする、渡邉選手のバッティングの破壊力

 ストレートに強いことから「直球破壊王子」の異名を取っている、北海道日本ハムの渡邉諒選手。2019年に初めて規定打席に到達したばかりの若手である渡邉選手は、今季も二塁手のレギュラーとして奮闘。8月8日の埼玉西武戦ではリード・ギャレット投手の160km/hの速球を引っ張ってレフト前に運ぶ2点タイムリーを記録するなど、剛速球も苦にすることなく、異名通りのインパクトを残すような活躍を見せる機会も増えつつある。

 そんな渡邉選手が今シーズンに記録している、球種別の打率は次の通りだ。(以下、各種の数字は8月23日の試合終了時点)

(C)PLM

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 直球に対する打率が.343と全球種の中で2番目に高くなっており、データの面でも相性の良さが示されている。直球に近い速さのシンカーとツーシームを最も得意としている点も、その延長線上と考えられるだろう。その一方で、同じく球速が速いはずのカットボールは今シーズン無安打と、極端に苦手としている点は興味深いところだ。

 今回は、渡邉選手が直球に対して見せている打撃の内訳や、投球コースや対戦相手の左右によってどんな違いが生じるのかを、数字をもとに確認。「直球破壊王子」の打撃の内容や、渡邉選手が直球に強い理由、変化球に対する打撃といった要素について、より深く迫っていきたい。

ど真ん中の直球は、渡邉選手にとってはまさに“絶好球”

 最初に、渡邉選手が直球を打ったシーンにおける、コース別の打率について見ていきたい。まず、ど真ん中の直球に対しては14打数9安打の打率.643と、極めて高い打率を残しており、甘い球に対するミスショットが少ないことがうかがえる。そして、8月23日までに放った4本塁打のうち3本はど真ん中の直球を打って記録したものであり、渡邉選手にとって真ん中に入ってくる直球は、文字通りの“絶好球”といえる。

 ど真ん中の投球にする安打の方向を見てみると、左方向への安打が5本、センター方向への安打が3本、右方向への安打が1本と、センターから左方向への打球が大半を占めていた。こうした点からも、甘い球に対しては思い切りよく引っ張って、力強い打球を飛ばそうという渡邉選手の打撃意識が見て取れる。

 その一方で、アウトコース高めの直球に対しても5打数3安打の打率.600と好成績を残している。こちらは逆らわずにセンター前やライト前に弾き返していくケースが多くなっており、引っ張ることが難しい球に対しては無理のない打撃を心掛けていることがわかる。

 また、インコースの真ん中に来る球に対しては7打数4安打の打率.571とこちらも優秀な数字を記録しているが、このコースに対しては右方向への安打が2本、左方向、センター前への安打がそれぞれ1本ずつと打ち分けている。アウトコース高めと異なり、内角の球は引っ張るのに適した球ではあるが、無理に引っ張ることなく、右方向に流すこともできる対応力の高さが示されていると言えよう。

【2回裏】ファイターズ・渡邉の今季第1号は勝ち越しのソロホームラン!! 2020/7/18 F-M(C)パーソル パ・リーグTV

渡邉選手が直球を打った際の打球方向と、そこから見える傾向は?

 次に、直球を打った際の安打全体の打球方向に目を向けていきたい。全24本の安打のうち、左方向とセンター方向の安打がそれぞれ9本ずつ、右方向への安打が5本、遊撃への内野安打が1本という結果となった。センター方向から左への安打が多いという傾向が表れているものの、特定の方向に偏ることなく、ある程度の打ち分けがなされていた。

 本塁打の方向としては、左方向が1本、左中間方向が1本、センター方向が1本と、中堅から左方向にそれぞれ本塁打を1本ずつ記録していた。今シーズン唯一記録された逆方向への本塁打はツーシームを打ってのものであり、先述の通り、これらの3本塁打はすべてど真ん中の直球を打って記録したもの。やはり、甘い球に対しては強く引っ張って左方向に打球を飛ばすという姿勢が、本塁打の方向からもうかがい知れるところだ。

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