衝撃の千葉ロッテ初登板にみた澤村拓一の覚悟 球団OBが分析する井口監督の思惑とは

2020-09-15 07:05 「Full-Count」編集部

リーグ1位優勝は1974年以来、実現していない千葉ロッテのキーマンになれるか

 千葉ロッテ・澤村拓一投手が巨人から移籍後、好投を続けている。8日の本拠・北海道日本ハム戦では3者連続三振。ファンに強烈な印象を残した。千葉ロッテで守護神として活躍した小林雅英氏はこの衝撃の1イニングに澤村と井口監督の覚悟を見たという。移籍当日、それもファーム暮らしだった右腕を1点差で使ったことにはシーズンを占う大きな意味があった。

 雄叫びをあげる気合に、千葉ロッテファンは痺れた。投球を映像で見た小林氏は「澤村くんはすごくいい顔していましたね。良い集中で、マウンドに上がれていたんじゃないかなと思います」。巨人では移籍前に3軍も経験。一方、千葉ロッテで与えられている場面は勝ちパターン。中継ぎにとっては、首脳陣の信頼、心意気を感じるところだ。

 勝敗に影響が出る可能性のある大事なイニングだったが、小林氏は「すべてのことが確認できるシチュエーションだったのではないかなと思います。澤村くんが残りシーズン、千葉ロッテの戦力になるかどうかを見定める意図があったのではないか」と分析する。

 久しぶりの1軍登板。5点、6点など点差が離れた気持ち的に楽な場面で“試運転”させるという起用も考えられたが、井口監督は1点差で送り出した。トータルでみれば、自軍の攻撃がまだ4イニングあるという心の余裕があるが、澤村にとってみれば、1点も与えられない場面。点差が離れたところで、抑えることが出来ても、高い評価には繋がらない。緊迫した場面でなければ、あのようなアドレナリンが出るようなピッチングはできなかっただろう。

「井口監督はこの1イニング、腹を括っていた感じがしますね」と小林氏は解説する。

「これから任せていかないと行けない場面は勝負どころのこういう場面です。劣勢でも流れを変えるようなピッチングが求められる。初登板は0か100か、すべての判断ができる場面でした。もしも、救援に失敗していたら、そういう勝負所で起用できないという判断をしていたかもしれません」

 澤村の置かれていた状況や思考も考え、精神力、集中力、野球に対してのモチベーションをどのようにボールに込めるかを見たかったはず。首脳陣の期待に右腕が応えた最高の結果となった。

千葉ロッテで守護神として活躍した小林雅英氏※写真提供:Full-Count

千葉ロッテで守護神として活躍した小林雅英氏※写真提供:Full-Count

千葉ロッテ日本一に導いた守護神も緊迫した場面で何度も投げてきた

 小林氏も2年目の2000年、中継ぎで自分の居場所を気づかせてくれたのは緊迫した場面だった。中継ぎ転向初登板だった北海道日本ハム戦でリリーフしたのは無死満塁の大ピンチだった。

「そこでの集中力は高かったです。無事に三振と併殺に仕留めて、無失点でした。1つのアウトをがむしゃらに取りにいくというスタイルがあの時、見つかりました。今回の澤村くんも全てのパフォーマンスを出せたんじゃないかなという気がします。いいところで投げさせてもらったし、あるべき姿を取り戻した。今回は良いトレードだと言えると思います」

 メジャーも経験した小林氏からすると「アメリカのトレードは優勝争いをしているチームがやるもの」という見解だ。プレーオフやワールドシリーズで優勝するために7月末までに戦力補強をする。

「必要とされていくというのがトレードの認識なんですけど、日本はそういうところがあんまりなく、ネガティブなイメージを持つ人もいます。でも今回は優勝の可能性があるチーム同士のトレードですから、ポジティブなトレードだと思います」

 今回が前向きであるという証明になる例になることを願っている。トレードによって得た新しい環境は、違った変化をもたらしてくれるかもしれない。

「これから、10試合、20試合と投げていく中で、失敗もするだろうし、ずっと成功するかもしれない。失敗したときに、どうやって立て直すかも注目です。というのは、今まで声をかけてきてくれた人とは違う新しいメンバーが彼にアドバイス、激励を言いにくる。何年も同じチームでやっている人の声掛けはあんまり変わらないかもしれないけど、新しい監督、コーチ、チームメイトからの言葉は変わってくる。そこでもう一回、切り替えてできるかどうか。多分、すごく変わってくると思います」

 そして、最後に千葉ロッテのリリーバーの先輩として一言、エールを送ってもらった。

「ZOZOマリンスタジアムは、マウンドに出て行く場所がライトスタンドの脇から、リリーフカーで出るんですけども、ライトスタンドからの声援、後押しがすごい。本当はもっとお客さんがいるときに、初めて感じて欲しかったですが、そういう雰囲気を作ってくれるのは、千葉ロッテのファンの方は上手だと思う。あまりテンション上がりすぎて、興奮しすぎてはだめかもしれないですが、冷静さと興奮をすごくいいバランスで保っていって、優勝に貢献していって欲しいと思います」

 2005年にリーグ2位でプレーオフを勝ち抜き、リーグ優勝と日本一となったがリーグ1位での優勝は1974年から遠ざかっている千葉ロッテ。46年ぶりの悲願達成のキーマンとして、さらなる活躍を期待したい。その時は大歓声を背に力のあるボールを投げ込む、澤村拓一の姿がきっとあるだろう。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)