モイネロの圧倒的な奪三振率の秘訣は? 三振を奪った「結果球」を調べてみた

2020-09-29 17:30 「パ・リーグ インサイト」望月遼太

《THE FEATURE PLAYER》11回で20奪三振!! Hモイネロ『驚異的な奪三振能力』(C)パーソル パ・リーグTV

モイネロ投手はNPBでの4年間全てで、イニング数を上回る奪三振を記録している

 リバン・モイネロ投手は2017年に来日して以来、左のセットアッパーとして福岡ソフトバンクのブルペンを支え続けている。とりわけ、今シーズンはキャリアハイの成績を収めた2019年をさらに上回る圧倒的な投球を披露。9月28日時点で防御率1.17という数字に加えて、38.1回で68個の三振を記録。奪三振率は16.06という、まさに驚異的な数字となっている。

 そんなモイネロ投手がここまで残してきた各種の成績、および奪三振率の値は、下記の通りとなっている。

モイネロ投手の年度別成績

モイネロ投手の年度別成績

 やや調子を崩していた2018年を除き、いずれも優秀な数字を残している。そんな中でも、年を経るごとに奪三振率が向上してきている点も見逃せない。来日初年度の2017年からすでにイニング数を上回る奪三振数を記録していたが、そこからさらに奪三振のペースを上げ続けている点が、モイネロ投手の末恐ろしいところだ。

 今回は、そんなモイネロ投手が今シーズン9月19日までに記録した奪三振における結果球という観点から、その詳細な内容を分析。三振を奪う際の決め球となった球種、ならびにそのコースを見ていくとともに、モイネロ投手がなぜこれだけのハイペースで三振を積み重ねられているのか、その理由の一端に触れていきたい(球種分析で用いた成績は9月19日時点のもの)。

快速球を持ち味とするモイネロ投手だが、三振を奪う際の最大の武器は……

 まずは、モイネロ投手が三振を奪った際の結果球となった球種と、各球種ごとに記録した空振り三振と見逃し三振の数、そして三振を奪った打者の左右について、それぞれ見ていきたい。

 球種としてはカーブが最多であり、わずか1個の差でストレートが続く結果となった。スライダーとチェンジアップはその2球種に比べればやや少なくなっていたが、それぞれ2桁またはそれに準ずる奪三振数を記録していたのもポイントだ。三振を奪える球種を4つ持ち合わせているという点が、モイネロ投手の高い奪三振力を支える要因の一つと言える。

 最も多くの三振を奪っているカーブは基本的には球速120km/h台であり、150km/h台後半に到達することも少なくない速球との球速差は、約30km/hとかなり大きい。そのうえ、130km/h台のスライダーやチェンジアップといった他の変化球よりもさらに遅いこともあり、打者にとっては、他の球種に狙い球を絞りながらカーブにも対応するのはかなり難しいと言える。

 そういった傾向は、見逃し三振の数が12個と、各球種の中で最も多くなっている点にも表れている。150km/h台中盤以上の速球にタイミングを合わせて始動してから、抜いたカーブに合わせるのは至難の業。それもあって、快速球を持つモイネロ投手にとっては非常に有効な決め球となっている。そのうえ、このカーブをストライクゾーンぎりぎりに投じて見逃し三振を奪うパターンも多く存在しており、制球という面でも光るものがある球種だ。

ホークス・モイネロ『イーグルス・浅村を仕留めたカーブが…』【三者連続K】(C)パーソル パ・リーグTV

速球と3つの変化球は、そのいずれも三振を奪えるだけの高い質を持つ

 それに次ぐ20個の三振を記録したストレートに関しては、空振り三振の数が14個と最も多く、文字通り力でねじ伏せて空振りを奪うケースが多い。打者は先述したカーブに加え、スライダーとチェンジアップに対しても十分に警戒する必要がある。そして、それらの変化球に意識を割きすぎれば、速球に振り遅れることにもつながる。空振りを奪える球種を多く持ち合わせていることが、モイネロ投手の速球の威力をより高めていると言えそうだ。

 スライダーとチェンジアップはともに空振り三振の数が大半を占めており、コースや意表をつき、見逃しでの三振を奪うカーブとはやや趣の異なる使われ方をされている。左投手が投じるスライダーといえば、左打者の外に逃げていく球になる。そのため、一般的には左対左で決め球として使われるケースが多い。そんな中で、モイネロ投手のスライダーは左打者よりも右打者から奪った三振が多く、やや異彩を放っていると言えそうだ。

 チェンジアップに関してはその傾向がより顕著となっており、なんと左打者からチェンジアップで奪った三振はゼロ。左打者から奪った三振の数が最も多いのはストレートで、13個のうち8個が空振りだ。その一方で、左打者相手の三振数が速球に次いで多いカーブでは、8個のうち5個が見逃し。対左の投球ではスライダーとチェンジアップを決め球に使う割合が少ない代わりに、緩急を活かした的を絞らせないピッチングが光っている。


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