実は、近年では傑出した数字だった。中田翔と周東佑京の成績を143試合に換算してみた

2020-12-18 11:00 「パ・リーグ インサイト」望月遼太
(C)パーソル パ・リーグTV

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試合数の減少もあり、昨季までと同様の成績を残すのは難しいシーズンだった

 2020年のプロ野球は開幕が6月19日まで延期されたこともあり、従来の143試合制ではなく、120試合に短縮された日程が組まれた。その影響は、各選手の成績にも波及している。試合数の減少に伴い、いくら調子が良かったとしても、本塁打、打点、安打、盗塁といった積み上げ式の数字においては、昨年までと同等の数字を残すことは難しい状況となっていた。

 そんな中で、北海道日本ハムの中田翔選手は、108打点を稼いで自身3度目の打点王に輝いただけでなく、本塁打数もリーグトップまであと1本に迫る、自己最多の31本を記録。長年チームの主砲として活躍を続けてきた中田選手にとっても、今季はキャリアベストに近いシーズンの一つだったと言えるだろう。

 また、福岡ソフトバンクの周東佑京選手も短縮シーズンながら50盗塁を記録し、自身初めて盗塁王のタイトルを獲得。出場試合数が103試合だったことを考えると、およそ2試合に1度の割合で盗塁を決めていたことになる。もちろん、例年と同じく143試合制のシーズンであれば、その盗塁数はより伸びていたことは想像に難くない。

 そこで、今回はこの2選手が今季残した数字を143試合相当に換算すると、その成績はどれほどの水準に達するのかを紹介していきたい。それに加えて、過去のパ・リーグにおけるタイトルホルダーたちとの比較も行い、今季の中田選手と周東選手が残した数字の、一見するだけではわかりづらい傑出度について図っていく。

中田選手にとっては、キャリアの中でもとりわけ活躍を見せたシーズンの一つに

 まず、中田選手がこれまでのキャリアで記録してきた成績について紹介したい。

143試合に換算した2020年の試合数、打数、安打、本塁打、打点、犠飛、四球は小数点第一位を四捨五入したものを掲載(C)PLM

143試合に換算した2020年の試合数、打数、安打、本塁打、打点、犠飛、四球は小数点第一位を四捨五入したものを掲載(C)PLM

 今季記録した31本塁打はこれまでのキャリアハイだった2015年の30本を上回り、犠飛の数も、NPB史上2番目の多さとなるシーズン13犠飛を記録した2018年に次ぐ数字に。打率こそ.239と前年を下回ったものの、OPSも2015年以来5年ぶりに.800台に乗せており、打率から来る印象以上に、さまざまな面で充実したシーズンだったと言えそうだ。

 続けて、2020年の成績を143試合に換算した際の数字を見ていきたい。

 本塁打数は37本まで伸び、打点数も2016年に記録した自己最多の110打点を大幅に上回る計算に。犠飛の数も11と2桁に乗る計算であり、これは歴代7位タイに相当する数字だ。また、四球もキャリア最多となるペースで選んでいたことも見逃せない。やはり、今季の中田選手は、過去のシーズンと照らし合わせても、かなりのハイペースで各種の数字を積み上げていたと考えてよさそうだ。

「129打点」という数字は、過去の例に照らし合わせても相当に優れたもの

 ここからは、今季の中田選手が積み上げた打点のペースを、過去の例と照らし合わせて評価していきたい。まず、直近10年間のパ・リーグにおける打点王獲得者と、その打点数は以下の通りだ。

 ここ10年間においては、2018年に浅村選手が記録した127打点が最多となっている。すなわち、今季の中田選手の129打点ペースを超える選手は、近年のパ・リーグには存在しなかったということだ。こういった過去の傾向は、今季の中田選手が残した数字が、108打点という見た目上の数字以上に優れていたということの証左にもなるだろう。

 続けて、直近10年間というスパンに囚われずに評価すると、129打点という数字は歴代の中でどれほどの価値があるのかについて迫っていきたい。2リーグ制導入以降のパ・リーグにおける、シーズン129打点以上を記録して打点王を獲得した選手たちの顔ぶれと、その打点数は下記の通りだ。

 70年にわたるパ・リーグの長い歴史の中でも、129打点以上の数字を記録して打点王のタイトルを獲得したのはわずかに6名。2001年の中村紀洋氏を最後に20年間も空白が続いていることを考えても、今季の中田選手の打点ペースは、まさに歴史的なものだったと言えそうだ。

 6名の選手たちの顔ぶれを見ていくと、三冠王の獲得経験がある野村克也氏、ブーマー氏、落合博満氏に加え、本塁打王と打点王をそれぞれ2度獲得し、史上初の両リーグ1000安打を達成した大杉勝男氏、1979年から2年連続で本塁打王に輝いたマニエル氏、2000年に本塁打と打点の2冠に輝き、2001年に2年続けて打点王を獲得した中村紀洋氏と、そうそうたる大打者たちが揃っている。

 中田選手も3度の打点王に加えて、内野と外野で計2回ずつベストナインを獲得し、一塁手としてゴールデングラブ賞も3度獲得。広い札幌ドームを本拠地としながら、通算250本を超えるホームランも記録してきた。31歳と選手としてはまだまだこれからという年齢であり、今後も長距離砲として活躍を続け、偉大な大打者たちの領域にさらに近づいていく可能性も大いにあることだろう。

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