得失点差-18でリーグ2位。千葉ロッテの快進撃を可能にした、投手運用の“管理力”に迫る(前編)

2020-12-24 11:00 「パ・リーグ インサイト」望月遼太
登板する点差、イニングともに、徹底した管理が見られた

(C)PLM

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 唐川投手は比較的ビハインドでの登板も多くなっていたが、それ以外の投手は状況別の打席数を見ても、リードを許した場面での登板はかなり少なくなっていたことがうかがえる。とりわけ、抑えの益田投手のビハインド時と、シーズン途中から8回を任された澤村投手の同点時の打席数はいずれも非常に少なくなっており、できる限り登板機会を限定していたことが、各種の数字にも表れている。

 また、各投手が登板したイニングに関しても、ハーマン投手は7・8回、唐川投手は7回、澤村投手は8回、益田投手は9回と、それぞれの持ち場をほぼ固定していたことがわかる。とりわけ目を引くのが益田投手の数字で、今季は9回以外のイニングに登板した回数はゼロ。抑えが登板するケースも少なくない延長10回の登板も一度もなく、投球イニングの管理はまさに徹底されつくしていたと言えるだろう。

 さらに驚くべきことに、上記の4投手の各試合における投球回数は、すべての試合において1イニング以内に収まっていた。すなわち、勝ちパターンの投手がイニング跨ぎの登板を行ったケースは、年間を通して1度もなかったということになる。こういった点からも、重要な局面を担う投手たちの疲弊を極力避けるため、あらゆる対策を講じていたということがうかがい知れよう。

 出番となるイニングが定められていれば、試合に臨む際のウォーミングアップや調整のルーティンや、登板に向けて集中力を高めていくタイミングもほぼ一定のものとなる。各投手にとってはそれだけ準備がしやすくなるということにもなり、ひいては今季のチーム全体のリリーフ陣の好成績にもつながったのではないだろうか。

先制されたまま敗れる試合の多さが、むしろプラスとなっていた?

 また、今季の千葉ロッテでは一人の投手が「日をまたがない3連投」を行うケースを、極力避けるという方針の運用が行われてきた。実際、シーズン中に3連投がなされたのは、益田投手が9月3日から5日まで3連投した例と、澤村投手が10月29日から31日まで3連投した例の2つのみ。そして、一人の投手が4日以上連続で登板するというケースは、年間を通じて一度も存在しなかった。

 こういった運用を可能にした理由が、端的に示されたデータがある。今季の千葉ロッテの勝敗を、試合展開ごとに分類した表を紹介したい。

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 負けパターンとしては、先制されたまま追い付けずに敗れる展開が最も多く、実に敗戦数全体の65%を占めていた。先発投手がマウンドを降りた段階でビハインドを背負っていたのであれば、無理に勝ちパターンの投手を動員する必要性は薄くなる。そういった展開が多くなっていたからこそ、無理に連投を強いる必要が生まれるケースも少なくなり、ひいては3連投を避ける慎重な運用を可能としていた面はあることだろう。

 その一方で、勝ち試合に関しては、先制したまま追加点を挙げて逃げ切る展開が最多だったが、逆転で勝利をつかむ展開もまた、多く存在していた。先述した4名の投手以外にも、東條大樹投手、小野郁投手といった安定感のある投手が控えており、僅差のビハインドで勝ちパターンを動員せずとも、試合を壊さずについていける体制も整っていた。逆転勝ちの多さには、リリーフ陣の層の厚さと、状況に応じた使い分けが奏功したと言えよう。

 ここまでは、主にリリーフ投手という側面から今季の千葉ロッテの戦いぶりを振り返ってきた。後編では防御率の面では決して芳しい数字ではなかった先発陣が残した、ある方面での非常に高い貢献度を紹介し、投手陣全体に全体に好循環が生まれた理由に迫っていきたい。

後編はこちら

文・望月遼太

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