タイトル0は千葉ロッテのみ。チーム打率最下位の中での収穫を振り返る【千葉ロッテマリーンズ2020:野手編】

2020-12-31 10:59 「パ・リーグ インサイト」編集部

千葉ロッテ シーズンレビュー2020 vol.1(C)パーソル パ・リーグTV

 昨季は千葉移転後最多となるチーム本塁打数を記録しながらも、リーグ4位に終わった千葉ロッテ。球団設立70周年の節目となる今季は積極的な補強を敢行し、開幕スタートダッシュに成功する。8月には単独首位に浮上し、福岡ソフトバンクとシーズン終盤まで熾烈な優勝争いを繰り広げた。最終的に14ゲーム差をつけられての2位に終わったものの、4年ぶりのAクラス入りは下馬評を覆す好成績だ。本記事は投手を中心とした前編、野手を中心とした後編に分けて、各選手にフォーカス。パーソル パ・リーグTVの特集動画「シーズンレビュー2020」とともに、千葉ロッテの2020シーズンを振り返っていく。

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リーグ最下位のチーム打率.235を記録した打線の持ち味

 今季の千葉ロッテ打線は、新加入の福田秀平選手と打線の切り込み役が期待されていた荻野貴司選手が、序盤に戦線離脱。さらに昨季32本塁打を放ち、中軸を担っていたレアード選手も、故障のため8月中旬に帰国することに。流動的な運用を余儀なくされた打線は貧打にあえぎ、結果的にチーム打率は.235とリーグ最下位、本塁打数は同4位タイの90本と落ち込み、個人タイトルの受賞者も出なかった。

 それでも特出していたのが四球数。打率とは対照的にリーグ1位となる491個の四球を選び取り、試合数が20以上少ないにも関わらず、505個だった昨季に迫る勢いを見せた。さらにチーム出塁率はリーグ3位となる.329を記録しており、相手の隙を突く作戦を打線全体で徹底することで弱さを補い、「つながり」で畳み掛ける攻撃を可能にした。

「不敗神話」も築き上げたマーティン

 打線が低調となる中、2年目を迎えた助っ人・マーティン選手の打棒がチームをけん引することとなった。昨季、52試合の出場で14本塁打を放った長打力は今季も健在。特に10本塁打を放ち好調だった8月は一時、本塁打を打てばチームが負けない「不敗神話」を生み出すほどで、単独首位浮上の原動力ともなった。さらに外野守備でもリーグトップの8補殺を記録するなど、持ち前の強肩を武器にチームのピンチを何度も救った。終盤に故障で離脱することにはなったものの、104試合の出場で25本塁打、65打点とその実力を遺憾なく発揮し、中軸としての存在感を示した。

4番としての重責と戦い続けた安田尚憲

 離脱したレアード選手の穴を埋めることとなったのが、3年目の安田尚憲選手だ。昨季、イースタン・リーグで『本塁打王』『打点王』を獲得し、最多安打を放った若き大砲は、練習試合の猛アピールで初の開幕一軍入りを決めると、徐々にスタメン出場を増やし、7月下旬からは4番・三塁に定着した。しかし厳しいマークからか調子を崩し、首位争いも佳境に差し掛かった10月には打率.1割台と不振にあえいだ。最終的に規定打席には到達したものの、113試合で87安打6本塁打54打点、打率.221と、悔しさの残るシーズンとなった。それでも一軍で戦い続けた経験は今後にも生きるはず。来季は真価が問われることになるだろう。

唯一の全試合出場でチームを支えた中村奨吾

 シーズンを通して離脱者が相次いだ千葉ロッテだったが、中村奨吾選手がチーム唯一の全試合出場を果たした。打撃面では3年連続となる100安打をクリアしながらも打率は.249にとどまる寂しい結果に終わったが、それでもチームが勝ち越したオリックス戦と福岡ソフトバンク戦での成績については、目を見張るものがあった。オリックス戦では打率.310、4本塁打をマークし、チームの13の勝ち越しに大きく貢献。さらに首位攻防の相手となった福岡ソフトバンク戦でも打率.338と相性の良さを示すとともに、得点圏でも打率.348と勝負強さを見せた。好相性のチームに対しては中村選手の打撃が脅威となったことは言うまでもないだろう。

育成出身・和田康士朗は快足を武器に「切り札的存在」に

 育成出身の3年目・和田康士朗選手にとって今季は大きく飛躍を遂げたシーズンとなった。開幕直前に支配下登録を勝ち取ると、いきなり開幕戦に代走で途中出場。すると球界屈指の強肩を持つ福岡ソフトバンク・甲斐拓也選手から二盗を決める鮮烈なデビューを飾った。

 以降も試合終盤の勝負所における代走や、守備固めとしての起用が続いていたが、特に衝撃的な活躍を見せたのが8月16日の北海道日本ハム戦。1番・中堅で自身初となるスタメン出場し、プロ初安打を含む3安打、さらに3盗塁で好機を広げるなどリードオフマンとして大活躍を見せた。シーズンでは俊足揃いのパ・リーグで3位となる23盗塁をマーク。自慢の快足をさらに生かすためにも、今オフでは打力を強化する取り組みが期待される。

期待に応えられなかった福田秀平、息切れが目立った井上晴哉

 一方で、中堅選手の不振は打線の低迷に大きく拍車をかけた。争奪戦の末に福岡ソフトバンクからFAで移籍してきた福田秀平選手は、練習試合終盤に受けた死球の影響で、開幕直後に無念の離脱を強いられる。7月には戦線復帰したものの、シーズンを通して状態が上向くことはなく62試合の出場に終わり、44安打5本塁打3盗塁、打率.216。プロ15年目を迎える来季こそは、実力を発揮できるか。

 井上晴哉選手は3年連続となる2桁本塁打を達成し、昨季を上回るチームトップの67打点をマークした。井上選手といえば10月13日の楽天戦、同点で迎えた9回裏にサヨナラ二塁打で試合を決め、目に涙を溢れさせていた姿が印象に残っているファンも多いだろう。しかし9月は0本塁打、10月は打率.164とチームが下降線をたどった終盤にかけては極度の打撃不振に陥り、下位打線への降格も味わった。井上選手が中軸に座ることで打線の厚みが増すだけに、安定感のある打撃を身に付けることが課題といえるだろう。

救世主的な活躍を見せた藤原恭大

 センセーショナルな活躍で終盤にかけてブレイクを果たしたのが、2年目の藤原恭大選手だった。新型コロナウイルス感染の影響でレギュラー格が大量離脱したことを受けて、10月6日に今季初昇格すると、シーズン閉幕まで主に1番として起用され続けた。首位攻防戦となった10月9日の福岡ソフトバンク戦では、プロ初の猛打賞と盗塁で勝利に貢献し、14日の楽天戦では初球先頭打者本塁打でプロ第1号を飾った。さらに外野守備においても俊足を生かした広い守備範囲で好守を連発。ドラフト1位ルーキーとして開幕スタメンを勝ち取りながらも悔しい結果に終わった昨季から、走攻守全ての面においてレベルアップした姿を見せた。

佐藤都志也は代打で貢献。来季期待される選手たち

 全体的な野手の年齢層を見ると、井上選手、福田秀選手は31歳。レアード選手、角中勝也選手は33歳、荻野選手は35歳と一軍戦力の高齢化が進んでいる現状が見受けられる。安田選手をはじめとしてレギュラーを奪う若手選手が出現しているものの、将来的な世代交代を考える上でも、さらなる台頭に期待したいところだ。

 その筆頭格として、菅野剛士選手を取り上げたい。即戦力として期待された1年目には藤岡裕大選手とともに開幕スタメンに抜てきされたものの一軍定着とはならず。昨季は28試合の出場に終わった。勝負の3年目を迎えた今季は、7月に昇格すると一時は3番を任されるなど自己最多となる81試合に出場し、打率.260、58安打と過去2年から打撃成績は大きく向上。また守備でも9月8日の北海道日本ハム戦では本職の外野でなく、ファーストでの出場を果たすなど、さらなる出場機会を求めた。同期の藤岡選手に追い付くべく、来季こそは不動のレギュラーとして100試合以上の出場を狙いたい。

 ルーキーの佐藤都志也選手も今季は難しい役割で結果を残した。主に代打での起用がメインとなったが、33打席29打数9安打で代打打率.310をマークし、打力の高さをアピールした。特に印象的だったのが6月27日のオリックス戦。1対1の延長10回、2死1、2塁の場面に代打で登場すると、プロ初安打となるサヨナラ打を放つ活躍を見せた。チームの捕手事情は、田村龍弘選手と柿沼友哉選手の併用が続くなど流動的。打力を生かして正捕手奪取を狙うとともにシーズンでは外野守備の練習も進めており、来季の起用が楽しみな選手の一人と言えるだろう。

 ファームでも2人の若手が飛躍の足がかりを作った。1人目は佐藤選手と同じくルーキーの高部瑛斗選手。2月の練習試合で骨折した影響で開幕は二軍スタートとなったが、イースタン・リーグでは打率.344の高打率で2位にランクインするなど、シーズンを通して好調な打撃を披露。終盤には一軍に昇格しプロ初安打もマークした。左の外野手はライバルが多いが、熾烈な競争を勝ち抜いて一軍定着を図りたい。

 2人目は2年目の山口航輝選手だ。今季はイースタン・リーグで全70試合に出場して、昨季の6本を上回る7本塁打をマーク。8月下旬以降は4番・指名打者として研さんを積んだ。チームでは強打が持ち味の若い右打者が不足気味。レギュラーを脅かす存在となるべく、まずは初の一軍昇格を目指したいところだ。

あと一歩に終わったリーグ制覇へ、競争による「個」のレベルアップが不可欠

 一時は単独首位に立ったにもかかわらず、失速した千葉ロッテ。その要因としては離脱者が相次いだことに加えて、その穴を埋められるほどの選手が出てこなかったことが挙げられる。また、チーム打率最下位のデータが示すように、出塁した得点圏の走者を返しきれない場面もあり、全体的には本来の実力が発揮できなかった選手も多く見受けられた。選手層の厚みを増したチームとなるには、競争が活性化されることで各選手がさらなる実力を向上させることが求められる。オフやキャンプ、オープン戦を経て、一皮剥けた来季の野手陣となることに期待したい。 

文・和田信

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