2006年の高校野球に熱狂を生んだパ・リーグ黄金世代の現在地

2017-01-19 19:30 「パ・リーグ インサイト」藤原彬

社会現象ともなった斎藤佑樹投手ら、いわゆる「ハンカチ世代」の高卒プロ入り選手たちが昨季で10年目のシーズンを終えた。十年一昔で、当時のドラフト指名によりパ・リーグに入団した選手は18人から現在の5人にまで減っている。ごく限られた者だけがユニホームを身にまとうことを許されるプロ野球の世界にあって、選手の平均寿命は10年に満たないと言われているのだから、彼らの存在は今後さらに希少となりそうだ。

そして、大学、社会人などを経てプロの門を叩いた選手に目を向けると、それぞれのチームで中心的な役割を担うどころか、リーグの顔にまで成長した選手も見られる。アスリートとして脂が乗り切った「黄金世代」の中から、新シーズンに臨む面々をチーム別に紹介しよう。

【北海道日本ハム】
斎藤佑樹投手(2010年ドラフト1位・早稲田大)
榎下陽大投手(2010年ドラフト4位・九州産業大)
屋宜照悟投手(2012年ドラフト6位・JX-ENEOS)

【楽天】
塩見貴洋投手(2010年ドラフト1位・八戸大)
入野貴大投手(2014年ドラフト5位・徳島インディゴソックス)
小山雄輝投手(2010年ドラフト4位・天理大)
福山博之投手(2010年ドラフト6位・大阪商業大)
阿部俊人選手(2010年ドラフト3位・東北福祉大)

【埼玉西武】
増田達至投手(2012年ドラフト1位・NTT西日本)
大石達也投手(2010年ドラフト1位・早稲田大)
高橋朋己投手(2012年ドラフト4位・西濃運輸)
木村文紀選手(2006年高校生ドラフト1位・埼玉栄高)
秋山翔吾選手(2010年ドラフト3位・八戸大)

【千葉ロッテ】
石川歩投手(2013年ドラフト1位・東京ガス)
松永昂大投手(2012年ドラフト1位・大阪ガス)
大嶺祐太投手(2006年高校生ドラフト1位・八重山商工高)
南昌輝投手(2010年ドラフト2位・立正大)
黒沢翔太投手(2010年育成ドラフト1位・城西国際大)
伊志嶺翔大選手(2010年ドラフト1位・東海大)

【オリックス】
大山暁史投手(2013年ドラフト8位・セガサミー)

【福岡ソフトバンク】
山田大樹投手(2006年高校生育成ドラフト1位・つくば秀英高)
柳田悠岐選手(2010年ドラフト2位・広島経済大)
福田秀平選手(2006年高校生ドラフト1位・多摩大学附属聖ヶ丘高)

これまでのキャリアを振り返ると、最も強いインパクトを残しているのは柳田選手だろう。才能が完全に開花した2015年の活躍は、記憶に新しい。打率、出塁率、長打率のいずれもリーグトップで、史上10人目となるトリプルスリーを達成。ベストナインとゴールデングラブ賞は2年連続での受賞で、自身初の最優秀選手にも輝いた。昨季はシーズン終盤に右手薬指を骨折したが、出塁率と長打率でリーグ1位を記録している。

秋山選手は2015年にプロ野球シーズン記録となる216安打をマークして、球史に名を刻んだ。また、同年の6月3日から7月14日にかけて記録した31試合連続安打は左打者の最長記録となっている。通算846安打は世代最多で、今季中の1000安打到達も視界にとらえており、現役屈指の安打製造機は今季も安打にまつわる話題を提供してくれそうだ。また、外野手としてゴールデングラブ賞を3度受賞しており、守備力も高いレベルで安定している。

大学から社会人を経たためプロ入りは2013年と遅かった石川投手だが、その分、1年目から確かな実力を示している。ルーキーイヤーとなった2014年は10勝を挙げて最優秀新人のタイトルを獲得。翌2015年にリーグベストの与四球率1.71をマークすると、昨季は1.22とさらに制球力に磨きをかけ、防御率2.16で最優秀防御率のタイトルを手にした。実働3年ながら、通算36勝は同世代の最多となっている。

ともに2012年のドラフトで埼玉西武へ入団した増田投手と高橋朋投手の活躍も見逃せない。2014、2015年はサイドハンドからのスライダーを決め球にする高橋朋投手が、昨季はストレートで押す投球が持ち味の増田投手が抑えを務めた。タイプの異なる2人の継投は絶妙な相乗効果を生み出していたが、昨年は高橋朋投手がトミー・ジョン手術を受けてシーズンの大半を棒に振っている。この2人のコンビ復活も、今季の見逃せないポイントの一つだ。

注目したいのが、今季から背番号を変更するドラ1組だ。斎藤佑投手「18」→「1」、大嶺祐投手「11」→「30」、伊志嶺選手「5」→「38」、塩見投手「11」→「17」と、4人が新背番号を背負って心機一転を図る。また、2006年の高校生ドラフト1位で北海道日本ハムから指名されて入団し、2012年に最優秀選手賞を獲得した吉川光夫投手の背番号も移籍先の巨人ではこれまで着けていた「34」から「21」となることが決まっている。

そして、3月に開催されるWBCには、秋山選手と東京ヤクルト・秋吉亮投手、巨人・坂本勇人選手が侍ジャパンに名を連ね、石川投手の選出も濃厚だ。4人が日本を代表する選手として選ばれることになれば、それは世代別で最多の人数となる。ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手やロサンゼルス・ドジャースの前田健太投手も、参加を表明していれば確実に招集されていたはずだ。「黄金世代」には、シーズンより一足先に世界大会での活躍にも期待がかかる。