【PR】「すぐ熱くなるし、入り込みすぎてしまうのが本来の自分」。楽天イーグルス・嶋基宏選手インタビュー(中編)

2018-05-29 06:00 「パ・リーグ インサイト」秋山健一郎
チームの勝敗を最も近くで感じられるポジションを全うする【写真提供:楽天イーグルス】

チームの勝敗を最も近くで感じられるポジションを全うする【写真提供:楽天イーグルス】

生き馬の目を抜くプロの世界にあって、12年のキャリアでリーグを代表するキャッチャーとしての立場を築いてきた。主将として、また扇の要として、球場の内外で求められる役割が多岐に及ぶことは容易に推察できる。試合中に唯一、グラウンド全体を見渡す司令塔には「冷静」のパブリックイメージも存在するが、生来の気質は別のものだと嶋選手は語った。ここでは、その捕手論とパーソナリティーに焦点を当てる。

キャッチャーならではの醍醐味と強い心身

「9回2アウトから最後のバッターを抑えて、マウンドに駆け寄るとき。その喜びはキャッチャーにしかわからないと思います。逆に、負けたときの悔しさも人一倍感じるポジションなのかもしれません。」

嶋選手は、自らの務めるキャッチャーというポジションの醍醐味をそう話す。

「キャッチャーに必要なことですか? 一番は身体が強いことだと思います。プロテクターをつけ、カバーのために走り回るのは結構大変なので。それに加えて、チームが負けたときには精神的に追い込まれることもあります。身体と心の両方が強くないと、いいキャッチャーにはなれないんじゃないですかね。」

確かに、投手を導くリード、どんな配球をするかという判断などは、打者を抑える上で大きな責任を担うことは多い。批判に屈しない強いハートも必要なのだろう。

「リードって、思い通りいかないのが当たり前。こういうプランでいこう、この間打たれたあの打者を今度はこうやって抑えようというミーティングを試合前にするわけですが、プラン通りにいくことはほとんどない。状況が当初想定していたものとは違ってしまうこともありますしね。今日はうまくいったなあと思える試合は、年間数試合程度ではないでしょうか。ある意味では結果論なのかなと思うことすらある。
でも、結果が出るまでにできることを全部やりきるのが大事なのかなと。ミーティングのような事前の準備もそうだし、ピッチャーに声をかけたり、ジェスチャーで何かを伝えたりするのもそう。」

たとえうまくいかずとも、努力を重ねていく強い心。それを持するために嶋選手が心がけていることがある。

「僕が若いころ、ベテランの方によく言われていた、今でも心に留めている言葉があるんです。『球場で味わった悔しい思いは球場でしか晴らせない。次は絶対に抑える。絶対に打ってやる。そういう気持ちで次の日球場に来い』という言葉です。うまくいかなかった日は、家まで引きずらず一度頭を冷やす。それで次の試合で、もう一度気持ちを燃え上がらせろと。
だから、家に帰ったら頭をクリアにして、しっかり疲れをとる。おいしいものを食べて、支えてくれている家族との時間を過ごす。次の日試合がなければ、大好きなビールを飲んで一息ついたりもしています。最近は、“プレモル”をよく飲んでます。家ではもちろん、お店で選ぶことも増えました。味わいがしっかりしていながら飲みやすいので、飲みすぎないように気をつけています。あの香りがいいですよね。」

嶋選手はザ・プレミアム・モルツの愛飲者【撮影:兼子美紀弘】

嶋選手はザ・プレミアム・モルツの愛飲者【撮影:兼子美紀弘】

熱さとともに必要な、つくり上げたもうひとつの人格

嶋選手のプレーを観て、また話を聞いて、思っていたことがあった。ときにとても客観的で、長期的なものの見方をする冷静な一面もあれば、悔しさを隠さず、率直な心情も告げる。
プレーでもそうだ。きわどいコースのボールを見極めて、しっかりと四球を奪ったり、配球を読み切ってクレバーな打撃を見せることもあれば、闘志あふれる泥臭いヘッドスライディングを披露してスタンドを沸かせることもある。ヒーローインタビューではファンの心をつかむ熱いメッセージを発信し、ときには「魂」という言葉を使ったりもする。どちらが本来の嶋選手なのだろうか。

「すぐ熱くなるし、ぐっと入り込みすぎてしまうのが本来の自分なんです。それは自分でわかっているので、試合に入り込みすぎて空回りしているように感じたときには、一歩引いた冷静な自分を立たせて、自分をコントロールするというのは試合でよくやっています。
逆に、チームが冷めているな、盛り上げていく必要があるなと感じたときには、あえて自分から試合に入り込んでいくこともあります。状況に応じて使い分ける努力は意識していますね。でも、どちらかといえば熱くなりすぎてしまうのが本当の自分です。
本当は常に熱いプレーをずっと見せるのが、プロとしては正しいと思いますし、できる限りはそうしたい。その日しか球場に来れないファンの方もいますから。やっぱり、ハッスルプレーですよね。」

熱く、冷静な嶋選手のプレースタイルの裏側には、そんな意識づけがあったと知った。

(前編)「上に立つものは、誰とでも分け隔てなく話せないといけない」
(後編)「プロなので、すべての努力は球場での結果にしてみせないといけない」

嶋選手プロフィール

嶋 基宏(しま もとひろ)/捕手
1984年12月13日生まれ。33歳。岐阜県出身。179センチ82キロ。右投右打。
小学生時に投手として野球を始め、中学では軟式野球部の全国大会出場を経験。中京大中京高校3年春には二塁手でセンバツ出場を果たした。国学院大学で捕手へ転向し、3年時に東都大学野球春季リーグ戦で首位打者を獲得する。2006年大学生・社会人ドラフト3巡目指名で楽天イーグルスに入団し、翌07年に開幕一軍入りを果たすと3月28日(対福岡ソフトバンク)のデビュー戦で初安打を放った。10年と球団創設初の日本一に貢献した13年にベストナインとゴールデングラブ賞を同時受賞し、オールスターには通算で8度選出されている。

【通算成績】1272試合 860安打 23本塁打 284打点 打率.244 長打率.302 出塁率.329
※成績は5月28日現在

提供:サントリービール