千葉ロッテ・梶原広報の広報術(後編)

2018-05-28 18:57 「パ・リーグ インサイト」武山智史
真剣な眼差しでパソコンと向き合う梶原広報【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

真剣な眼差しでパソコンと向き合う梶原広報【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

監督は看板。井口新監督の露出を強く意識

「球団が発信しなければ今後生き残れないと感じます」

昨年1月の記事「千葉ロッテ『広報カメラ』の仕掛け人に聞く」にて千葉ロッテ広報・梶原紀章氏は球団広報の役割についてこう語っていた。そんな梶原氏はどのような思いでファンに情報発信をしているのか…。後編は広報全般の仕事について聞いた。

球団広報として、「商品」であるチームをどう売り出すかを考えるのも大きな役割だ。梶原氏は今年の春季キャンプ、井口資仁新監督の露出を強く意識していた。

「プロ野球において監督は看板です。その人がどんな人で何を考え、どんなチームにしようとしているのかを最初に伝えなければならない。そこが大前提にあってファンは一年間、感情移入して応援しますから。それを伝えないと面白く応援はできないですよね。具体的に『140盗塁。四球は昨年より増やし、できればリーグで一番の四球数を目指す』と数値を出すことで『今年の千葉ロッテは違う』と思わせるように情報発信しました。そういう意味で春季キャンプは井口監督の情報を出すことを必死にやりましたね」

恒例行事となった「We Are」。初年度、そしてオールスターでは…

千葉ロッテがホームゲームで勝利したとき、試合後の「恒例行事」となっているのが選手とファンが一体となった「We Are」だ。元々梶原氏が提案したものだったが、初年度だった2015年はあまり芳しくない反応があった。梶原氏が振り返る。

「最初は強制的な雰囲気がありましたね。ファンからも『やるならもっと気持ちを出してほしい』という声もあり賛否両論でした。中途半端になっている気がして翌年の選手会ミーティングのときに『無理してやる必要はないのでは』と切り出したんです。そうしたら(鈴木)大地が『やりたい選手でやりましょう』と言ってきました。そこで私が定着化するために考えたのが、『We Are』の模様を毎回YouTubeにアップすることだったんです」

球団公式YouTubeの「広報カメラ」の影響もあり、「We Are」はファンの間で浸透していく。梶原氏が「We Are」で大事にしているのは、選手たちによる「手作り感」。そして脈々と受け継がれている千葉ロッテの「伝統」だった。

「あの場面はチアもキャラクターもいないじゃないですか。いかに選手たち自身が自然にやってくれるかを大事にしているんです。千葉ロッテでは選手がヒットを打って出塁すると、ファンからの声援に手を挙げて応える伝統がありますよね。私はあの伝統を残したい思いがあります。球団主体でなく、選手が作り上げるファンサービス。あれが本来ウチの良いところなんですよ」

本拠地・ZOZOマリンスタジアムで開催された昨年のオールスター戦第2戦。3対1でパ・リーグが勝利すると試合後、パ・リーグの選手全員が「We Are」を行い話題を集めた。この出来事は元々ファンからの反応がきっかけだった。

「球団公式twitterに大地の写真をアップしたら、『勝ったらWe Areやるのかな』というファンからのコメントが来たんです。それを見て『確かにそうだよなぁ』と。それで大地に相談し、各球団の選手たちに話しました。twitterのコメントをチェックしていたからこそ、実現できた『We Are』です。ファンの声は大事にしていますよ。中には細かい記録をツイートしているファンの人がいて、ハッとさせられることもありますね」