「プロだけで記憶に」―「ミラクル星稜」のエース、千葉ロッテ右腕が歩む1軍への道

2018-07-02 21:40 「Full-Count」佐藤直子
「早く壁にぶち当たりたいです」

小学生の頃からプロ野球選手を目指した。公務員や調理師など他の職業のように、努力すればプロ野球野球選手になれると信じていたという。中学や高校での3者面談でも「プロ入ります」の一言を貫いた。

「逆に、将来何をやりたいのか答えられない子たちが不思議でしたね。ケーキ屋さんになりたいんだったら、その目標のままいけばいいのにって思ってたんです」と振り返る。

その信念通り、2015年にプロの門を叩いたが、もしかしたらプロ入りが4年遅れた可能性もあったという。あの「ミラクル星稜」がなければ、大学に進学していたかもしれなかった。

「夏の石川県大会中、体調を崩してまったく状態が上がらなくて、スカウトの方の前でいいピッチングができなかったんです。これは無理だなって思っていたら、甲子園で徐々に戻ってきて。それでもプロか大学か葛藤しましたね。今ではいい選択をしたって思ってます。最高です」

実は、よくも悪くも「ミラクル星稜」の中心にいたのは岩下だった。先発マウンドに上がって3回6失点し、再登板した9回は3者連続三振。そして9回裏には左翼場外へ2ランを運び、奇跡の逆転劇をつないだ。

「時期になると言われますね。でも、めちゃめちゃいい思い出です」とはいうが、今は1日でも早く1軍に上がり、それを上回る活躍をすることが目標だ。

「派手でなくてもいいから濃くしたいですね。もう高校の話をしなくていいくらい、プロの話だけでバチッと記憶に残ることができたら最高です。僕はまだ1軍を経験していないから、壁にぶつかっていない。早く壁にぶち当たりたいです。そうして初めて、その先に進めると思うので」

昨秋のキャンプで井口資仁監督は、投手全員に「しっかりストレートで勝負できる投手になるように」と伝えたという。この時を振り返りながら、岩下は「真っ直ぐで勝負できるって僕にピッタリ。得意です(笑)」と屈託ない笑顔を見せた。

「今年の位置づけはめちゃめちゃ大事。今年中に1度は上で投げないと」。ここまで2軍では13試合に登板し、1勝2敗、防御率6.93。決して見栄えのする成績ではないが、1球1球に1軍昇格への思いを込める。シーズンは残り半分。まずは1度のチャンスを掴むため、2軍で懸命に投げ続ける。