75%以上が女性来場者。「タカガールデー」を生んだホークスのマインドとは?

2016-05-12 00:00 田尻 耕太郎

5月7日、ヤフオクドームが鮮やかなピンクカラーに染まった。超満員観衆の4分の3以上に相当する、29,507人が女性来場者で占められたのだ。

ホークスはその日、本拠地で行われたイーグルス戦で、大人気イベントに定着した「タカガールデー」を開催した。「タカガール」とはホークスを応援する女性ファンの総称。当日はこの日のためにデザインされた「ピンクユニフォーム」や球団オリジナルの「シュシュ」が女性来場者全員に無料配布された。

さらに「タカガール」向けの限定グッズや特別な飲食メニューが登場するなど、ずばりコンセプトは――ホークスを応援する「タカガール」が、かわいく、たのしく、女子らしく、ヤフオクドームを満喫できる――こと。これらの取り組みが「博多っ娘」のハートをがっちりキャッチ。「タカガールデー」のチケットは毎年プラチナ化している。

また、前身の「女子高生デー」(2006年~2012年)から「タカガールデー」と名を変えて以降は来場者数のみならず、女性動員率で、度肝を抜く大型イベントへと大きく進化を果たした。

2014年 28,450人[観衆38,561人(満員)・73.8%
2015年 28,074人[観衆38,500人(満員)・72.9%]
2016年 29,507人[観衆38,500人(満員)・76.6%]

これだけ多くの数の女性が一挙来場することもあり、乳がんの撲滅、検診の早期受診を啓発する「ピンクリボン運動」を広く呼びかける取り組みも毎年行われている。この日の試合では1塁から3塁までのベースやネクストバッターズサークルがピンク色に変更されるが、それは単に「タカガール」を喜ばすためではなく、ピンクリボン運動のシンボルマークが装飾されているのだ。試合前には鳥越裕介コーチをはじめ、選手たち(今年は和田毅投手や今宮健太選手ら)がチラシを手渡すなどして、活動にひと役買っている。

昨今のプロ野球界では、女性をターゲットにしたマーケティングが積極的に行われている。なかでも広島カープファンの「カープ女子」やオリックス・バファローズファンの「オリ姫」などは、一定の市民権を得るほど定着した感がある。

ホークスはそれらに先駆けて、2006年より女性目線の企画を実施してきた。福岡は全国でも特に野球熱の高い地域だ。それでも、球団が福岡市民の「観戦意向」を調査したところ、野球観戦未経験者の観戦意向は、減少傾向にあることが明らかとなっている。趣味嗜好の多様化もあり、プロ野球中継の視聴率低下や、地上波中継の減少により若者世代の野球離れも言われて久しい。

世の中の流行など、大きなムーヴメントを起こすチカラを持つのは、大方女性である。

「やはり我々ホークスとしても、特に若い世代の野球離れについて危機感を覚えていました。そもそも野球は『男性のもの』という概念が強い。でも、果たしてそうなのか。私はひとつの興行であり、老若男女を問わないエンターテインメントとして、プロ野球はあるべきだと考えていました」

以前に別のインタビューを行った際に、女性ターゲットのイベント誕生の仕掛け人となった、福岡ソフトバンクホークスのマーケティング本部長、吉武隆氏はそのように話していた。

前身の「女子高生デー」時代から盛況で、10年経った今、成果も見え始めている。

「現在、ヤフオクドームの来場者は、普段でも女性が半分ほどを占めているのです。しかも10代から60代までほぼ均一に分かれています。柳田悠岐選手や今宮健太選手ら女性に人気のあるイケメン選手が多いのもホークスの特徴ですが、私どもとしても理想に近い形となっています」(吉武氏)

女子高生デーを始めた当時の彼女たちが、今は母親となり、子どもたちを連れて球場へ足を運ぶようになった。そうなれば、おじいちゃん、おばあちゃんも一緒に観戦というケースも多くなる。タカガールたちが、野球ファン、ホークスファンの新規開拓の重要なフックとなっている。

球団のポリシーとして「やるからには徹底してやる」という姿勢もまた、過去に例を見ないような大きな成果も生んだ。1993年のヤフオクドーム開業以来、パ・リーグ観客動員では1位を譲らないホークス。それはチームが強いという単純な理由だけではない。マーケティング側の努力、発想力、行動力がその土台を築いている。