【高校野球企画】Youthful Days ~まだ見ぬ自分を追いかけて~ vol.12 菊池雄星投手[埼玉西武]

2018-08-31 09:00 氏原英明
成熟しても、心は野球小僧のままで

翌年のセンバツに出場を果たすと1回戦の鵡川高校戦では9回1死までノーヒットノーランの衝撃的な“甲子園復帰”を見せると、決勝まで勝ち上がった。ともに県勢初優勝を懸けて相まみえた清峰高校・今村投手との決勝戦はセンバツ球史に残る投手戦だった。

結果は0対1で敗戦。最後の打者が外野フライに倒れて準優勝に終わり、ゲームセットの瞬間に走者だった菊池投手が名残惜しそうにしてホームベースを踏んでいたのは印象的だった。「神様が日本一にはまだ早いと言っているのだと思います」と菊池投手が語った言葉は、夏へのさらなる成長を予感させた。

そして、夏、菊池投手は甲子園に戻ってきた。もっとも、ここに来るまでは、世間からの注目を浴び続けたのだが、1年夏とはまた違う甲子園の偉大さに気づいたと振り返っている。

「僕らはただ必死にやっていただけだったんですけど、岩手県での反響がすごかった。それまで高校野球に関心がなかったおじいちゃん、おばあちゃんも野球が好きになってくれて、『感動したよ』って言ってくれた。練習試合では、以前までは父母の方しか観戦に来なかったのに、学校のグラウンドが満杯になった。僕らが取り組んでいたことが中学校で流行ったり、そういうのはうれしかったですね」

夏の1回戦は、長崎県大会で今村投手のいる清峰高校を破った長崎日大高校だった。エースを務めていたのが、大瀬良投手で2人は投げ合ったのだった。

準々決勝の明豊高校戦。菊池投手は打者走者として1塁を駆け抜けようとしたときに、相手野手と衝突。この大会は最後まで全力を出し切ることはできなかった。準決勝で堂林選手のいた中京大中京高校に敗退し、菊池投手の甲子園は終わった。

1年夏に甲子園に出場し、脚光を浴びた。紆余曲折があり、菊池投手を奮い立たせてくれたのはライバルたちの存在で、彼の高校3年間は甲子園を軸にして展開された。菊池投手は甲子園の思い出をこう振り返っている。

「甲子園によって注目してもらった3年間でした。いいことばかりじゃなかったのかもしれないけど、皆さんに見てもらって、野球選手として名前を知ってもらえた。僕は甲子園に感謝しています」

現在、チームのエースとして活躍中の菊池投手は、夏になると、時間があればロッカールームで高校野球をチェックしているという。

「〇〇くん、トレーニング変えたら、150キロ出せますね」

この夏、そんな会話を楽しそうにする菊池投手がいた。