88年組 日米で見てみたい夢のマッチアップは?

2016-06-07 00:00 「パ・リーグ インサイト」新川諒

日本ではよく同世代を象徴する一人を表に立てて、◯◯世代や、生まれた年で一纏めにし◯◯年組と呼ぶことが頻繁にある。日本の野球界でも代表的なのが1980年生まれの選手たちを福岡ソフトバンクホークス所属の松坂大輔投手に因んで、松坂世代と呼んでいる。

これは国民的イベントである全国高等学校野球選手権大会である甲子園大会が大きな要因の一つとも思われる。高校1年生から3年生までの選手たちしか出ることが許されない大会とあって同世代の選手たちに自然と注目が集まる。

米国では一つの世代を一纏めに考え、メディアで◯◯世代と言われることはほとんどない。現在メジャーリーグではロサンゼルス・エンゼルスのマイク・トラウト選手(24歳)やワシントン・ナショナルズのブライス・ハーパー選手(23歳)がリーグを代表する選手となったことで若い世代の躍進として見られることはあってもそれぞれの世代や年齢別に分けた考えをする場面はほとんどない。

どちらかと言えば何年にドラフトされたか、「Class of ◯◯(何年組ドラフト)」ということでひとくくりにされることが多い。

日本に比べると、米国では世代ごとに選手たちを捉えない傾向があるが、今回は一つの世代に注目してみることで同世代であってもリーグを代表する選手になるまでの道のりは様々であることを再認識してみたい。

日米でどの世代が一番活躍しているのか?その答えを出すためにはおそらく多くの議論が必要となるだろう。ここではあえて日米でリーグを代表する選手たちを捻出している1988年組にスポットを当ててみたい。この世代に注目すると、現在日本ではリーグを代表する野手が多数存在し、米国ではリーグを代表する投手が多くみられる。さらには日本で成績を残し、メジャーリーグへ活躍の場を移した選手たちもいる。

88年組は甲子園での活躍から北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹投手のあだ名を取り、「ハンカチ世代」と言われることが多かった。この世代では日本を代表する投手となった田中将大投手、前田健太投手の両投手がメジャーリーグへ移籍してしまったことから、野手が中心となる世代に代わりつつある。

2015年シーズンは打率.363、HR34本、32盗塁のトリプルスリーを達成した福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手。そして1シーズン最多となる日本シーズン記録の216安打を放った埼玉西武ライオンズの秋山翔吾選手。共に高校時代は甲子園大会の出場がなく、大学でのプレーを経て2011年ドラフトで現所属球団に指名を受け、入団した。秋山選手は新人外野手としては30年ぶりとなる開幕スタメンを勝ち取り、柳田選手も春季キャンプでは新人唯一のA組スタートと共に期待をされてプロとしてのキャリアをスタートさせた。

共に期待されてのスタートだったが、順風満帆とは行かず、世代を代表する投手の田中投手や前田投手と比較すれば遅咲きで今の地位を勝ち取ったと言えるかもしれない。

メジャーリーグを見てみると88年組を○○世代と呼ぶのであれば、間違いなくカーショー投手世代だろう。2006年MLBドラフト全体7位指名を受けロサンゼルス・ドジャースに入団し、2008年にはメジャーデビューを果たした。すでに3度のサイヤング賞を受賞しており、2014年にはナショナルリーグのシーズンMVPも獲得している。

この世代でカーショー投手に続くのは、ワシントン・ナショナルズに所属するスティーブン・ストラスバーグ投手だろう。高卒時はドラフトされることなく、サンディエゴ州立大学に進学した。北京五輪では、アマチュア選手として唯一のアメリカ代表チームに選出され注目を浴びた。そして迎える2009年ドラフトでは全体1位指名を受け入団。メジャーデビューを果たした翌年にトミー・ジョン手術を受けることになるが、見事復活を果たし今やリーグを代表する投手へと成長を遂げている。

メジャー88年組でも遅咲き選手は多く、ニューヨーク・メッツのジェイコブ・デグロム投手やヒューストン・アストロズのダラス・カイクル投手がその一例となるだろう。

共に大学を経て、カイクル投手は2009年ドラフト全体221位指名、デグロム投手は2010年ドラフト全体272位指名を受け入団。

カイクル投手は2012年にメジャーデビューを果たすも苦しいシーズンが続き、ようやく2014年に投球回200イニングをマークした。そして翌年に更なる躍進を遂げ、20勝到達でアメリカンリーグのサイヤング投手に選出されるまでになった。

一方でデグロム投手はドラフト翌年にトミー・ジョン手術のためシーズンを全休。ようやく2014年にメジャーデビューを果たし、2015年シーズンは初のオールスターに選出された。共に順風満帆ではなかったが、リーグを代表する投手になった。

そして最後に挙げるのは、ニューヨーク・ヤンキースの守護神となったアロルディス・チャップマン投手だ。キューバリーグでプレーを続け、2009年ワールド・ベースボール・クラシックに出場。その後、亡命を経てシンシナティ・レッズと6年契約を結んで入団した。2011年からは主にリリーフ投手として、5シーズン連続で50試合以上の登板を続け、2016年シーズン前にニューヨーク・ヤンキースへ移籍した。

日米で同世代の選手たちを挙げていけばキリはないが、改めて選手を並べていくと色んなストーリーが存在する。鳴り物入りで入団し、期待通りの活躍を見せる者もいれば泣かず飛ばずの数年間を過ごした後に躍進を遂げた選手もいる。そしてそのストーリーが見て取れるように同じ世代だからと言って、ドラフトされる年がみんな同じという訳でもない。

米国では年齢が意識されることは日本に比べて少なく、特に野球界ではメジャー暦(service timeサービス・タイム)が重要であることが多い。リリーフ陣では恒例となっている可愛らしいブルペンバッグを背負っていく役割は年齢の若い選手ではなく、メジャー暦が浅い選手の仕事となっている。

とは言え、やはり同世代は意識してしまうだろう。だがこの機会に日本の同世代だけではなく、世界にはどんな同世代がいるのか、それを知ることでまた違った刺激を受ける機会になればと思う。

(注)主な日米1988年生まれのプロ野球選手たち

<日本人>
先発陣:
田中将大投手(ニューヨーク・ヤンキース)
前田健太投手(ロサンゼルス・ドジャース)
大野雄大投手(中日ドラゴンズ)
吉川光夫投手(北海道日本ハムファイターズ)
大嶺祐太投手(千葉ロッテマリーンズ)

リリーフ陣:
澤村拓一投手(読売ジャイアンツ)
斎藤佑樹投手(北海道日本ハムファイターズ)
高橋朋己投手(埼玉西武ライオンズ)

野手:
柳田悠岐選手(福岡ソフトバンクホークス)
秋山翔吾選手(埼玉西武ライオンズ)
坂本勇人選手(読売ジャイアンツ)
伊志嶺翔太選手(千葉ロッテマリーンズ)
梶谷隆幸選手(横浜DeNAベイスターズ)

<米国>
クレイトン・カーショー投手(ロサンゼルス・ドジャース)
スティーブン・ストラスバーグ投手(ワシントン・ナショナルズ)
ジェイコブ・デグロム投手(ニューヨーク・メッツ)
ダラス・カイクル投手(ヒューストン・アストロズ)
クリス・アーチャー投手(タンパベイ・レイズ)

リリーフ陣
アロルディス・チャップマン投手(ニューヨーク・ヤンキース)
クレイグ・キンブレル投手(ボストン・レッドソックス)
デリン・ベタンセス投手(ニューヨーク・ヤンキース)

野手:
ブランドン・ベルト選手(サンフランシスコ・ジャイアンツ)
エルビス・アンドリュース選手(テキサス・レンジャーズ)
マイク・ムスタカス選手(カンザスシティー・ロイヤルズ)