西はどうなる? 過去のFA例から見える、打者よりも難しい投手のFA移籍

2018-11-18 13:00 「Full-Count」広尾晃
オリックス・西勇輝※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

オリックス・西勇輝※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

FA移籍先で50勝以上をマークしたのは工藤公康のみ

 NPBのフリーエージェント(FA)制度は1993年に始まった。一定の年数を所属球団の1軍でプレーした選手は、自由にNPB球団と契約交渉ができるという制度だ。その後何度か制度は改定され、現在は高卒選手は8年、大卒社会人選手は7年に相当する日数、出場選手登録をされると国内FA権を取得できる。海外FA権は一律で9年での取得と定められている。

 今オフは埼玉西武の浅村、炭谷、オリックスの西、広島の丸の去就が注目されているが、FA権を行使して他球団に移籍した投手は移籍先でどれほどの活躍を見せたのか。振り返ってみると、打者以上に、投手は苦戦を強いられていることが分かる。以下はFA権を行使して他のNPB球団に移籍した投手の通算勝利数ランキング。年は移籍年。勝利数はFA移籍先での記録だけ。※は2018年の現役。

◯FA移籍投手の通算勝利数
1999年 工藤公康(福岡ダイエー→巨人)53勝0S0H 2回目
1994年 工藤公康(埼玉西武→福岡ダイエー)49勝0S
2007年 石井一久(東京ヤクルト→埼玉西武)45勝0S4H
2013年 涌井秀章(埼玉西武→千葉ロッテ)45勝0S0H※
2011年 杉内俊哉(福岡ソフトバンク→巨人)39勝0S0H※
2013年 中田賢一(中日→福岡ソフトバンク)39勝0S0H※
2013年 久保康友(阪神→横浜DeNA)29勝0S0H
2013年 大竹寛(広島→巨人)23勝0S0H※
2016年 岸孝之(埼玉西武→東北楽天)19勝0S0H※
2012年 寺原隼人(オリックス→福岡ソフトバンク)16勝0S11H※
2011年 帆足和幸(埼玉西武→福岡ソフトバンク)15勝0S0H
1998年 武田一浩(福岡ダイエー→中日)15勝0S
2001年 前田幸長(中日→巨人)11勝4S12H
1995年 河野博文(北海道日本ハム→巨人)10勝5S
2016年 山口俊(横浜DeNA→巨人)10勝1S1H※
2005年 豊田清(埼玉西武→巨人)9勝22S71H
2015年 高橋聡文(中日→阪神)9勝1S42H※
1994年 川口和久(広島→巨人)8勝4S
2001年 加藤伸一(オリックス→近鉄)8勝0S
1999年 星野伸之(オリックス→阪神)8勝0S
2009年 藤井秀悟(北海道日本ハム→巨人)7勝0S0H
2014年 成瀬善久(千葉ロッテ→東京ヤクルト)6勝0S0H※
2017年 野上亮磨(埼玉西武→巨人)4勝0S1H※
1997年 山崎慎太郎(近鉄→福岡ダイエー)2勝0S
2017年 増井浩俊(北海道日本ハム→オリックス)2勝35S9H※
2010年 小林宏之(千葉ロッテ→阪神)1勝0S21H
2016年 森福允彦(福岡ソフトバンク→巨人)1勝0S6H※
2005年 野口茂樹(中日→巨人)1勝0S4H
2006年 門倉健(横浜→巨人)1勝0S2H
2002年 若田部健一(福岡ダイエー→横浜)1勝0S
2011年 許銘傑(埼玉西武→オリックス)0勝1S10H
1995年 仲田幸司(阪神→千葉ロッテ)0勝0S
1994年 山沖之彦(オリックス→阪神)0勝0S
2000年 川崎憲次郎(東京ヤクルト→中日)0勝0S

 FAでの移籍を経て、移籍先で50勝以上を記録したのは現福岡ソフトバンク監督の工藤公康だけだ。工藤は2度目のFAで福岡ダイエーから巨人にFA移籍して53勝をマーク。埼玉西武から福岡ダイエーに移籍した1回目のFAでも49勝をあげており、これは勝利数2位。続いて石井一久、現役の涌井秀章と続く。福岡ソフトバンクから巨人に移籍した杉内は39勝。埼玉西武から東北楽天に移籍した岸が数字を伸ばしている。

リリーフで活躍した筆頭は22セーブ71ホールドの豊田清

 次にFAで移籍したリリーバーの通算セーブ数、ホールド数を見てみよう。

◯FA投手の通算セーブ数5傑
2017年 増井浩俊(北海道日本ハム→オリックス)35S※
2005年 豊田清(埼玉西武→巨人)22S
1994年 川口和久(広島→巨人)4S
2001年 前田幸長(中日→巨人)4S
1995年 河野博文(北海道日本ハム→巨人)2S
2015年 高橋聡文(中日→阪神)1S※
2016年 山口俊(横浜DeNA→巨人)1S※
2011年 許銘傑(埼玉西武→オリックス)1S

◯FA投手の通算ホールド数5傑
2005年 豊田清(埼玉西武→巨人)71H
2015年 高橋聡文(中日→阪神)42H※
2010年 小林宏之(千葉ロッテ→阪神)21H
2001年 前田幸長(中日→巨人)12H
2012年 寺原隼人(オリックス→福岡ソフトバンク)11H※

 こうやって見ると、リリーフ投手の移籍例、成功例は少ない。セーブ数は今季オリックスへ移籍した増井がトップ。豊田清は22セーブ71ホールドと最も数字を残し、ホールド数2位は阪神の高橋聡文だ。

 FA移籍した投手は、打者以上に成功例が少ないことがわかる。投手は肩や肘の故障で突然投げられなくなることがある。移籍のプレッシャーも大きい。そんな中で、実績を残すのは至難の業だということだ。今季はオリックスの西勇輝がFA宣言をした。西は移籍先でどれだけ活躍できるだろうか?

(広尾晃 / Koh Hiroo)