投打の主力の不振、シーズン途中の監督辞任… 東北楽天、試練続きの2018年

2018-11-26 11:30 「パ・リーグ インサイト」望月遼太

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優勝候補からの最下位フィニッシュ

 まさに予想外のシーズンだったのではないか。昨季はシーズン前半戦を首位で折り返すなど快進撃を見せ、日本一に輝いた2013年以来となるAクラス入りした東北楽天。CSではシーズン2位の埼玉西武を撃破し、1位の福岡ソフトバンクも追い詰めた。若手の台頭もめざましく、今季に向けて大きな希望を抱ける1年だったはずだ。

 しかし、今季は3・4月で6勝19敗1分と、開幕から低迷。その後も低空飛行を続け、交流戦でも6勝12敗で両リーグ最下位と浮上のきっかけをつかめず、6月16日には梨田前監督が辞任を発表。想定外の事態が次々に起こった。

 一時は「東北楽天以外の5球団がAクラス」という珍事が起こるほど、ペナントレースでは蚊帳の外に置かれていたチームは、夏から平石ヘッドコーチを監督代行として再出発を図る。新指揮官は開幕からなかなか定まらなかった打順を固定するなどテコ入れを敢行し、その効果はシーズン後半戦から徐々に表れた。

 オールスター明け直後に今季最長の5連勝を飾り、7月は12勝7敗と初めて勝ち越す。他のチームがこの時期からそろって停滞したことも追い風となり、はっきりとAクラスを視界に捉えるほどのV字回復を果たした。

 しかし、反攻体制を整えつつあったチームに、8月9日、激震が走る。アンチ・ドーピング調査裁定委員会がアマダー選手に対し、アンチ・ドーピング規定違反で6カ月間の出場停止処分を科したのだ。これも象徴的な出来事となり、最終的には58勝82敗3分の最下位に終わる。昨季に膨れ上がった期待感が大きくしぼむような、失意の1年となった。

昨年の快進撃を支えた選手がそろって不振に

 まず、スタートダッシュに失敗した大きな原因は、松井投手と茂木選手というルーキーイヤーからチームを支えていた投打の主力の大スランプだろう。プロ通算100セーブまであと4セーブで開幕を迎えた松井投手だったが、3・4月は防御率6.30。守護神の座から外れて、9月までにわずか2セーブにとどまってしまう。

 だが、8月には12試合で防御率1.72と復調し、9月16日にプロ野球史上最年少で通算100セーブを達成。その後先発に転向し、9月27日の千葉ロッテ戦では5回無失点の好投で新人時代以来となる4年ぶりの先発白星をマークした。最終的な防御率は3.65と、ある程度持ち直しており、来季はその起用法に注目が集まる。

 茂木選手は昨季、プロ2年目ながら主に「1番・遊撃」としてチームを力強くけん引し、リーグ3位の打率.296、当時の球団生え抜き最多17本塁打の好成績を残したが、今季は打率.247で長打の数も半分ほどまで減った。8月16日に死球を受けて戦列を離れてからは、一軍復帰を果たせないままシーズンを終えている。

 他にも、選手会長の岡島選手が6月2日から打率1割台と絶不調から抜け出せず、昨季は26本塁打を放って「恐怖の2番」と称されたペゲーロ選手も、打率.233、17本塁打と振るわなかった。投手陣では、前年まで4年連続で65試合以上に登板し、昨季も65試合に投げて防御率1.06だった福山投手が21試合、防御率6.75に終わっている。11勝した美馬投手も2勝6敗、防御率4.56と誤算だった。

生まれ変わる犬鷲軍団

 しかし、主力に代わって台頭した選手も少なからず存在した。プロ2年目の田中選手は自身初の規定打席に到達し、球団生え抜き新記録の18本塁打に加えて21盗塁と、長打力と俊足の両方を大いに見せ付けた。終盤に数字を落としたが、新人王の有力候補にも挙げられるシーズンを過ごしている。

 また、オープン戦で首位打者に輝いた内田選手は打率.198と苦しみながらも、高卒生え抜きの右打者としては球団初となる2桁本塁打(12本)を放って、その長打力を証明。高卒ルーキーの西巻選手も19歳で遊撃と二塁のスタメンを任されるなど、来季以降が楽しみな存在だ。

 投手陣では昨季のCSで「秘密兵器」だった宋投手が40試合で防御率1.73と、中継ぎの主力に成長。ベテランの青山投手と久保投手も苦しむチームを献身的に支え、来日2年目のハーマン投手も抑えを務めて防御率1.99と大活躍した。

 そして、先発ローテーションの中心としてチームを最後まで支え続けたのが岸投手だ。移籍2年目の今季は開幕から安定したピッチングを続け、なかなか援護に恵まれない中で自身4年ぶりの2桁11勝をマーク。自身初となる最優秀防御率のタイトルも受賞し、33歳にしてさらなる進化を遂げた姿を地元のファンへと見せ付けた。

 また、10月のシーズン終了後は「第2回WBSC U-23ワールドカップ」へ出場する侍ジャパンに、東北楽天から近藤投手、堀内選手、内田選手、西巻選手と、12球団最多の4選手が選出。さらに11月の「2018 日米野球」には岸投手、松井投手、高梨投手、田中選手がジャパントップチームの一員として、MLBオールスターを相手にそれぞれ経験を積んだ。

 さらに、平石監督代行が正式に指揮官へと就任し、石井一久氏を取締役ゼネラルマネージャーに抜擢した東北楽天。多くの選手に戦力外を告げ、埼玉西武の不動の二塁手・浅村選手の獲得に成功するなど、来季の巻き返しに向けた動きは活発だ。それが結実するかどうかは、来季の戦い次第だろう。屈辱のシーズンを糧として、犬鷲軍団は再び大きく羽ばたくことができるだろうか。